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4年次対象ゼミ

2023年2月 3日

2022年度インドネシア語専攻卒業生による卒業論文発表会が2月3日に以下のとおりに開催されます。どなたでも自由に参加できます。

  • 日時:2月3日(金) 11:10~ (11:30開始)
  • 場所:研究講義棟 104号室

2022年度の青山の卒論ゼミでは5名が卒業あるいは卒業予定です。その内訳は、1名が2022年9月に卒業し、4名が2023年3月に卒業を予定しています。卒業題目と要旨は以下のとおりです。

2022年9月卒業

  • 中島ひな子『インドネシア・イスラーム超⼊⾨』(卒論)

2023年3月卒業予定

  • 岡野悠人『バリ料理研究~バリ文化とつながるバリ料理~』(卒研)

【要旨】本研究ではバリ料理とはなにか、バリ島に存在する料理にはどんなものがあるのか明らかにしていきながら、そうしたバリ料理と密接に関わるバリの社会や文化についても考察していくことを目的とする。研究の構成としては、筆者自ら行った現地でのフィールド調査や書籍・インターネットからの文献を基に"バリ人が日常的によく作る料理(バリ島以外にも存在する料理を含む)やバリの文化/地域性が反映されたバリ島特有の料理"をいくつか取り上げ、①料理の説明/レシピ②その料理の写真という2つの基本的構成要素に加え、料理に関連したバリ島の文化・宗教にも触れながらそれぞれの料理を紹介していく。

それぞれ取り上げる料理は大まかに3つの項目に分かれており、1つ目はバリ料理の基本編として、バリ料理の概要や主に使われる食材・調味香辛料の特徴を述べている。2つ目は日常で食べられるバリ料理編として、先に挙げた食材や調味香辛料を使った主菜/主食・デザート/飲み物をレシピとともにそれぞれ紹介している。そして3つ目はバリ・ヒンドゥーの儀礼で作られる料理編として、まずバリ・ヒンドゥーの基本的な概念に触れながら実際に儀礼で作られる料理をフィールドワークの情報を基に説明している。

ただバリ料理を食べるだけではなく、料理の振舞われ方や作られる目的など料理がもつ意味を注意深く観察してみると、そこにはバリ人が大切にしている観念や生活の在り方といったバリ文化のエッセンスが料理に散りばめられていることが分かる。また、多種多様なバリ料理の中には、必ず共通した基本となる調味香辛料が存在し、それがあらゆる料理の根幹をなしていることも明らかとなった。

  • 鈴木佑理『カルティニとバティック --女性解放と職業教育の観点から--』

【要旨】本研究では、カルティニが試みた女性解放において、彼女にとってバティックが持った意味を明らかにした。とりわけ、生産上の特性、女性が生産において大きな役割を果たすというバティックの側面に着目して、女性の仕事という文脈上それはカルティニにとってどのような存在であったのかを考察した。その際、彼女がオランダ人の文通相手に送った複数の手紙や先行研究を参照した。

加えて、バティックの特性やラスムに存在したバティックの生産工場での女工たちの待遇に関する記述などを参照しつつ、女性の仕事としてのバティックの可能性とその障害について検討した。最後に、その障害に対しカルティニが取りうれた選択についても検討した。

結論として、バティックは、⼥性の⾃⽴というカルティニの⽬的を達成するためのピースの1つになりうると捉えられていたと推察されることが分かった。しかし、そこにはバティック生産工場で働く女工達への劣悪な待遇が障害として存在し、バティック生産の技能の習得がそのまま当時の女性の自立に繋がるわけではないことも分かった。そして、その問題に対しカルティニが取りえた選択肢として、バティックの商品価値を上げ、搾取を廃し、女工たちに渡る利益をより多くすること、もしくはそもそもそのような問題を抱えるバティックを職業教育の科目に選ぶのではなく教師や助産師としての教育に注力することを挙げた。

  • 田中春南『1974年婚姻法からみるスハルト政権とイスラーム勢力の関係』(卒論)

【要旨】インドネシアの婚姻法は1974年に制定されたUndang-Undang Republik Indonesia Nomor 1 Tahun 1974 tentang Perkawinan(婚姻に関する1974年第1号法:以下「74年婚姻法」とする。)である。同法はインドネシア初の統一法としての婚姻法であり、全国民に適用される。しかし、法案が提出された際、イスラーム勢力は同法の内容がイスラーム法に反していると反発を示した。当初、政府はインドネシアはイスラーム国家ではないためイスラーム法に沿った法案修正の必要性はないとしていたが、最終的には政府がイスラーム勢力に妥協するという形で内容は修正され、制定に至った。本稿では、74年婚姻法の制定過程から見えてくるスハルト政権とイスラーム勢力の関係を考察することを目的としている。

イスラーム勢力の反発の影響力を知っていたスハルトはイスラームの非政治化を目指していた。法案への反発があった際も対抗する姿勢を見せたものの、事態は改善されなかった。そこでスハルトはムシャワラ(協議)・ムファカット(合意)という意思決定方法を導入した。これにより政府とイスラーム勢力の合意が実現され、制定に至ったことが明らかとなった。しかし、この合意には政府による妥協が多く含まれている。なぜ、イスラームの非政治化を目指したスハルト政権は法案修正を行ったのか。ここには、イスラーム勢力を警戒しながらも、旧宗主国であるオランダとは異なる、インドネシア独自の政治を実現したいというスハルトの方針が表れていていると考える。

  • 秀島鈴『インドネシアにおける月経教育について』(卒論)

【要旨】近年国際開発の場では、月経問題とそれらの解決が重要な開発アジェンダとなっており、インドネシアも国際NGOや民間企業による支援の対象となっている。そこで、本研究では、インドネシアにおける月経問題の現状とその背景の考察、そしてそれらに対する解決策の分析を通して、現在のインドネシアの月経教育への提言を行っている。

現状として、インドネシアには、月経中に学校を休む、学校にいる間はナプキンを交換しない、月経期間中に差別を受けるといった月経対処にまつわる課題が依然として残っている。そうした問題の背景には、1)月経に関するタブー観、2)イスラーム教における月経への穢れ観、3)イスラーム教育での月経観の教授、4)地域の慣習や言い伝え、といった文化人類学的な要素が存在していることが考えられた。

そこで、そうしたインドネシアに特異な問題背景にアプローチするべく取り組まれた、UNICEFと花王の共同プロジェクト「インドネシア月経衛生管理プロジェクト」の一環として行われた月経教育、特にその際に用いられた教材「RAHASIA DUA DUNIA」を取り上げ、分析を行った。その結果、インドネシアの月経教育の課題として、「地域特有の根底にある文化・宗教的背景を踏まえた解決策を講じる」「課題解決に関わる人たちの当事者意識を高める」ことの必要性が浮き彫りになった。そして、それらにアプローチする方法として、UKS(学区保健活動)のさらなる推進によるインドネシアの月経教育の改善の必要性について論じた。

  • 松本優希『タマン・シスワと当時のインドネシアにおける民族主義者との関係性について』(卒論)

【要旨】タマン・シスワは1922年にインドネシアを代表する民族主義者、スワルディ・スルヤニングラットによって設立された教育機関であるが、タマン・シスワは単なる教育機関ではなく当時の民族主義者たちと大きくかかわっていた。本稿では、タマン・シスワと当時の民族主義者たちが具体的にどのような関係にあったのかについて論じた。

まず第2章では、タマン・シスワ設立当時の状況やタマン・シスワの活動史、タマン・シスワの目的や原則など、上記の論点を述べるうえで必要な背景知識を紹介している。そして第3章では3つの事例、すなわち①タマン・シスワ学校数の拡大、②PPPKIの第1回大会、③私立学校闘争をあげタマン・シスワがオランダ植民地政府の支配からの脱却を図るうえで当時の民族主義者たちと協力関係にあったことを示している。特に、①と③の事例からタマン・シスワはインドネシア民族主義者が民族運動を展開するうえで活力となっていたことがわかった。

インドネシアがオランダから独立した後、タマン・シスワは他の教育機関との相違点を見出すことができず勢力を失っていくが、インドネシアにとってタマン・シスワは重要な意味をもっていた。例えば、複数のタマン・シスワ関係者が文部大臣や教育委員会の長などのポストに就きインドネシア現代教育の基礎をつくった。タマン・シスワは現在、インドネシア各地に130校存在しており、①教育の普及、②インドネシア文化の発展への貢献、③タマン・シスワの教えを広げていくことの3つの役割を教育活動を通して果たしている。

2023年1月12日

今週は2023年最初のゼミです。

来週の1月16日が卒論・卒研のオンライン提出の期日です。まだ提出していない人も多かったので、卒論作成にあたって困っている点について相談に応じました。今日の相談でおおかたの課題は解決した思うので、期日にむけて卒論・卒研の作成に全力を尽くしてください。

続いて、卒論・卒研発表会の開催と卒論集の作成について打合せを行いました。卒論・卒研発表会は試験期間中に対面による実施を予定しています。

最後に、青山ゼミで卒論・卒研を提出した人は、卒論・卒研の要旨を500~600字程度にまとめて、1月28日までに青山に提出してください。要旨は青山のウェブサイトに掲載する予定です。具体例は過去の要旨を参考にしてください。

皆さん、卒論の作成お疲れ様でした。

2022年12月22日

今週は今年最後のゼミでした。

原稿がほぼできている人には原稿のファイルを、まだの人には目次を含む概要のファイルをアップしてもらい、卒論の内容について最終報告をしてもらい、提出までに検討すべき事柄を確認しました。卒論は12月22日から1月16日までの期間に教務課が指定したGoogle Classroomに提出してください。

Hさん:インドネシアの月経教育について。世界的な動向のなかにあるトピックを、インドネシア特有の状況から読み解き、具体的な改善案に結び付けようとする政策提言的な卒論になりそうです。

Mさん:タマン・シスワと民族主義運動について。タマン・シスワは、政治からあえて距離を置くことで、インドネシア民族主義運動がオランダによって弾圧された1930年代にも、民族主義運動の精神を継承することができたとすれば、興味深いことです。

Sさん:カルティニとバティックと職業教育について。若くして亡くなったカルティニの言動を辿っていくと、民族主義運動の先駆者という後代からのレッテル以上に、女性を含む民衆の商品生産とヨーロッパの市場を結びつけるプロデューサーないしはエージェント的な役割が見えてきそうです。

Tさん:1974年イスラム婚姻法について。(植民地以来のオランダが作った法律を脱し)インドネシア人自身が作った法律を導入したいという意向と、イスラームの政治的影響を排除したスハルト政権の意向がどのようにイスラム婚姻法として結実したかが明らかになると興味深いです。

Oさん:バリ料理について。食材、調味料、主食・主菜、デザート・お菓子の4つの領域からバリ料理とその文化的背景を読み解く興味深い卒業研究になりそうです。

次回は1月12日です。卒業発表会および卒論集作成について説明をおこないます。

健康に気を付けて、よい新年が迎えられるようがんばってください。

2022年12月15日

今週は、卒論執筆のなかでゼミ生が悩んでいることについて相談を受けました。

1. 用語・概念の取扱い。用語・概念は同時代の当事者たちが使っていたものと、当事者の外の観察者や後代の研究者が名付けたものとが区別できることに注意をはらっておくとよいでしょう。たとえば、インドネシアの「民族主義」や「ナショナリズム」は後者であり、必ずしも当事者たちが使っていたわけはありません。これらを区別したうえで、卒論の中ではどう使うかを意識しておくことが大切です。

2. 卒論の構成と注。卒論を書いていると、本筋のテーマには必ずしも関係しない事柄の説明に文章が多くさかれ、全体の構成のバランスが崩れることがあります。そのような場合には、注を使うと問題を回避できる場合があります。本体の説明は最小限におさえ、注により詳しい説明を移すとよいでしょう。

3. 社会的意義。提案型の卒論であれば、社会的意義は明確ですが、そうでない卒論の場合、とくに文系の卒論では、社会的意義は必ずしも明確でないことがあります。社会的意義を示すことは必須ではありませんが、テーマをより広い文脈に置くことで、現在の社会的課題を理解する助けになるようであれば、そのことを「はじめに」の中で書くことは十分に価値があるでしょう。

4. ソーシャル・メディアの扱い。ソーシャル・メディアを情報源に使うことは、現代の卒論ではよくあることです。個人情報が含まれている場合は、仮名にするなどの工夫をするとよいでしょう。

次回は、今年最後のゼミです。卒論提出前の発表会を予定しています。卒論の構成と情報源が分かるよう、目次と参考文献の部分を提示して、卒論の概要を報告してください。また、卒論の原稿が(ほぼ)出来ている人は原稿も提出してください。

2022年12月 8日

今週は、卒論を作成するうえで最低限知っておくべき機能について説明をしました。主な項目は以下のとおりです。

  • スタイルの設定:とくに「見出し」の設定(TEXT BODY, BIBLIO, HEADING1, HEADING2など)
  • ページ番号の挿入と設定
  • 改ページとセクションの設定
  • 「扉」と「目次」の作成

詳しくは以下のページやネットの情報を参考にしてください。

2022年12月 1日

今週は、Sさんにカルティニと女性教育についての卒論の進捗報告をしてもらいました。カルティニは、女性教育を通じて、女性が職業をもち、自立した人生を送れることを目指したことを確認しました。とくに、女性が自分の意思に反して結婚を強制されないことが重要ですが、その理由の一つとして、カルティニ自身の母が第二夫人として日陰の人生を送らざるをえなかったことがあります。また、カルティニの思想を理解するうえでは、カルティニがオランダ語を通じて読んでいた当時のヨーロッパの女性権利拡張の思想を考慮することが必要となります。最後に、職人がほぼ一貫して工程に関与できる木彫りと異なって、分業体制にならざるを得ないバティック生産においては、どこまで女性が自立しうるのか、検討が必要であることが示されました。

次回は、卒論を作成するうえで役に立つWordの使い方について説明をおこないます。

2022年11月17日

今週はOさんにバリ料理についての卒業研究の進捗を報告してもらいました。バリでのフィールドワークから得られた豊富なデータに基づいた興味深い報告となりました。基本的な方向性は問題ないことを確認したあと、12月22日の最終報告会までに形がまとまるよう、全体の進行計画を検討することの必要性を確認しました。

来週は外語祭のため休講のため、次回は12月1日です。Sさんの進捗報告を予定しています。

2022年11月10日

今週はHさんに進捗報告をしてもらいました。卒論のテーマは、インドネシアでの月経対処に関する地域特有の問題とその取り組みについてです。夏学期中に多くの資料を集めることができ、多角的な視点からインドネシアにおける月経対処について議論できる段階まで進捗していることが確認できました。とくに、独立戦争中の1948年の労働法に女性の生理休暇が認められていることが分かったのは興味深いです。

今後の方向として、学校教育現場での保健衛生についてさらに資料を集めることになりました。これについてはDirektorat Sekolah Dasar(教育文化科学技術省初等学校局)が進めているUsaha Kesehatan Sekolah(学校保健活動)の取り組みに焦点をあてるとよいことが見えてきました。とくにManajemen Kebersihan Menstruasi(月経衛生管理)がキーワードになることが分かりました。

次回は11月17日になります。Oさんに進捗報告してもらう予定です。ペーパーを準備して提出してください。

2022年10月27日

今週はTさんに進捗報告をしてもらいました。「1974年婚姻法」自体についての先行研究が少ないので、婚姻法自体ではなく婚姻法が作られたスハルト体制のあり方について焦点をあてることを確認しました。

とはいえ「1974年婚姻法」ではイスラーム勢力を抑えようとするスハルト政権とシャリーア法の原則を盛り込もうとするイスラーム勢力との妥協の産物であることは確かですから、一夫多妻制、離婚、相続などの焦点になったトピックから少なくとも一つを選んで、実際の条文や判例を踏まえた分析があると説得力が増すでしょう。また、イスラーム教徒に対する「手引き書」についても該当する部分を読み込むことができれば説得力が増すでしょう。

1974年婚姻法の成立の背景には、オランダ植民地支配期には手つかずだった統一的な家族法を作る必要があったこと、スハルト政権にイスラーム勢力に対する警戒心があったこと、国際的な世論が婚姻法の成立にも影響を与えた可能性があることを確認しました。

来週11月3日は文化の日で祝日のため、次回は11月10日になります。Hさんに進捗報告してもらう予定です。ペーパーを準備して提出してください。

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2022年10月20日

今週はMさんに「タマン・シスワと当時のインドネシアでの民族運動との関係性」というテーマで、卒論の進捗報告をしてもらいました。「民族運動ではなく、政治運動とするべきか否か」という問題設定が立てられています。この議論をするためには、まず、「民族運動」(正確には民族主義運動)と「政治運動」の定義をはっきりさせるとよいでしょう。

民族主義運動を植民地支配からの民族(=nation)の独立を目指す運動と定義するのであれば、ブディ・ウトモは民族主義運動ではなく、民族主義前史としてとらえるべきでしょう。また、政治運動を政治的な目的(植民地支配からの独立も含む)を実現するための運動と定義するのであれば、民族主義運動の多くは政治運動の中に含まれることになります(ただし、合法的な手段による独立が実現困難な場合には、非合法的な手段による独立、武力による独立の達成が目的になる場合もあります)。タマン・シスワは民族意識を重視した教育をおこなったという点で、広い意味での民族主義運動の一部に含まれるでしょうが、タマン・シスワ自体を政治運動とみなすことはできないと思われます。

また、タマン・シスワの民族教育という場合、その民族がジャワやバリという民族(ethnic group)の意味なのか、インドネシアという独立前にはまだ存在していない国民(nation)の意味なのか、区別する必要があること、さらに、後者であっても、実際にはジャワの文化がインドネシア国民の文化を代表しているという事情があったことに留意する必要があることが確認されました。

次回は、Tさんに進捗報告をしてもらう予定です。
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2022年10月13日

今週は、卒論の重要なポイントである引用の仕方、出典表示の仕方、参考文献リストの書き方の3領域について確認をおこないました。

次回は、Mさんに卒論の進捗報告をしてもらう予定です。

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2022年10月 7日

昨日から秋学期のゼミが始まりました。この日は出席した4名に夏学期の進捗状況について報告してもらいました。
  • Oさん:バリ料理と料理から分かるバリ文化と社会
  • Hさん:インドネシアにおける月経をめぐる慣習や認識
  • Tさん:1974年婚姻法と当時のスハルト体制との関係
  • Mさん:独立前の民族主義運動および独立後のスカルノ政権の政策とタマンシスワとの関係

今年度の卒論提出期日は1月16日が予定されています。それに向けて年内最後の12月22日のゼミまでに卒論を完成させ、ゼミで報告できるようにしてください。

来週13日には卒論作成の注意点(1)として引用(citation)の仕方について私から説明します。その後は、週ごとに一人ずつ報告してもらい、卒論の進捗と課題に基づいて議論をしようと思います。

10月20日にMさん、10月27日にTさん、11月10日にHさん、11月17日にOさん、12月1日にSさんを予定しています。 報告にさきだって進捗をまとめたペーパーを提出してください。ペーパーには論文の構成と参考文献リスト(読んだものとこれから読むもの)を必ずつけてください。 このチャンネルには私からも参考になる文献を紹介していきます。

それでは、卒論の完成にむかってがんばりましょう。

2022年7月14日

今週は、今学期最後のゼミになります。卒論の中間報告および夏学期の計画について報告してもらいました。卒論の方向性が定まっている人もいますが、まだ迷っている人は早めに方向性を定め、夏学期の資料収集を有効に進めてください。卒論のテーマと構成及び夏学期の研究計画について2ページ程度にまとめようお願いしています。まだの人は急ぎ「課題の提出」にアップしてください。

秋学期の最初の週では、夏学期の進捗を報告してもらいます。準備をしておいてください。それでは充実した夏学期を過ごしてください。

2022年7月 8日

今週は、「近代派」と「保守派」をキーワードとして、インドネシアのイスラームについて検討をしました。「近代派」と呼ばれるムハマディヤは19世紀後半以降のイスラーム復興運動の影響をうけてイスラームの改革を目指し、教育や医療にも力を入れるのに対して、「保守派」と呼ばれるナフダトゥル・ウラマは、ジャワのウラマを中心に結成され、ジャワのイスラームの伝統的な慣行を守ろうとしており、宗教的にはむしろ寛容な立場であることを確認しました。

次回は、今学期最後のゼミです。今年度卒論提出予定の人には卒論の進捗報告、提出をしない人は夏学期以降の計画を報告してもらいます。

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2022年6月30日

今週は、「サントリ」と「アバンガン」という二つのキーワードを中心に、インドネシアのイスラームについて検討しました。前者は「敬虔なムスリム」、後者は「不熱心なムスリム」という意味合いが使われますが、その実態は時代や地域によって異なることを確認しました。

次回は、引き続きインドネシアのイスラームについて、「改革派」と「保守派」という二つのキーワードを中心に検討する予定です。

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2022年6月23日

今週は、先週に続いてイスラームについて検討しました。クルアーン(神の啓示)、ハディース(ムハンマドの言行録)に加えて、法学者の合意と類推がイスラーム法の法源であること、人間の行為は、義務から禁止にいたる五つの範疇に分けて理解されていること、また、実際には、時代と地域によって解釈、実践のあり方には幅があることを確認しました。

次回はインドネシアのイスラームに焦点をあてる予定です。

2022年6月16日

今週は、以下の文献の書評レジュメをもとにインドネシアのイスラームについて検討しました。今週はとくにアダット(慣習」の概念を手がかりに、インドネシアのイスラームの理解を深めました。

次回も引き続きインドネシアのイスラームについて検討します。

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2022年6月 9日

先週がボート大会のために休講だったので、今週は2週間ぶりのゼミとなりました。

小林寧子「国家・英雄・ジェンダー:カルティニ像の変遷」の書評レジュメの残り部分について検討をおこないました。カルティニを考えるうえでは、アベンダノンが編集した書簡集がもたらした社会的影響とそれが作りだしたカルティニのイメージと、実際にカルティニが残した大量の書簡から読み解けるカルティニ自身のイメージの間には大きな乖離があることを確認しました。

次回からは、以下の文献の書評レジュメをもとに、インドネシアのイスラームについて検討します。

2022年5月26日

今週は、先週に引き続いて小林寧子「国家・英雄・ジェンダー:カルティニ像の変遷」の書評レジュメをもとに、プラムディヤ・アンタ・トゥールとシティスマントリ・スロトによるカルティニの伝記を取り上げました。プラムディヤの共産主義の反封建主義、階級闘争史観に基づいたカルティニ像と、シティスマントリの民族主義の先駆者としてのカルティニ像の違いを確認しました。

来週はボート大会のため全学的に休講となるので、次回は6月9日です。次回は、小林寧子「国家・英雄・ジェンダー:カルティニ像の変遷」の書評レジュメの残りと、イスラームに関連する新しい文献の書評レジュメについて検討する予定です。課題の文献は追って連絡します。

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2022年5月19日

今週は、先週に引き続いて小林寧子「国家・英雄・ジェンダー:カルティニ像の変遷」の書評レジュメをもとに議論をおこないました。

カルティニのイメージは、アベンダノンに代表されるオランダ領東インドの倫理政策派のオランダ人によって、ジャワの女性教育の主導者であり、開明的植民地政策の成功例として、その後のインドネシア民族主義者によって、インドネシア民族主義の先駆者として、スハルト政権期には理想的な母として描かれてきたことを確認しました。

次回は、引き続き書評レジュメをもとに検討をおこないます。

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2022年5月12日

今週は連休明け最初のゼミとなりました。連休の活動を報告してもらったあと、小林寧子「国家・英雄・ジェンダー:カルティニ像の変遷」の書評レジュメをもとに議論をおこないました。

まず最初のこの論文が収められた『歴史の生成:叙述と沈黙のヒストリオグラフィ』に、カルティニについての論文が収められた意図を理解するために、本のタイトルについて検討しました。「ヒストリオグラフィ」とは「歴史を書くこと」を意味します。歴史を書くということは、できごとをありのままに書く、という意味での素朴な記述ではなく、何らかの視点から、「語ること」と「語らないこと」を選択したうえで、ストーリーとして配列したものであることに留意する必要があります。

叙述とは「語ること」であり、沈黙とは「語らないこと」であると理解することができるでしょう。また、歴史記述の対象となる物体や人物自身がその成立の意図や内心の本音を「語らない」こともあります。これもまた「沈黙」と理解することができるでしょう。なお、人間の場合は、本人自身が自分の本心に気づいていないことがありえます(参考:ジョハリの窓)。

このように、歴史の記述は認識によって構築されたできごとの記述であるという意味で、「歴史は生成された」ということができます。ちなみに、このように、私たちが考える「できごと」「ものごと」とは、できごとやものごとそのものではなく、ある認識、視点、解釈によって構築されたものであるとする立場を「構築主義」と言います。アンダーソンが「国民」とは「想像された共同体」であると主張したのは、構築主義のよい例だと言えるでしょう。

小林論文は、カルティニのイメージも、ある時代の人々の認識によって作られたものであり、時代が変わることによってそのイメージが変わってきたことを跡付けている点で、この本のテーマに沿ったものだといえます。

続いて、年表をもとに「寄生貴族」と「モデルン」という言葉を手掛かりに、カルティニの育った家庭および社会環境について検討しました。カルティニが自分のことをたんに「カルティニ」(ラデン・アジュン・カルティニではなく)と呼んでほしいと手紙に書いた理由もよく理解できたと思います。

次回は、引き続き、書評レジュメに基づいて議論をおこなう予定です。

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2022年4月28日

今週は、先週のミニ課題の振り返りをおこなったあと、以下の論文をもとに議論を進めることにしました。

  • 小林寧子「国家・英雄・ジェンダー:カルティニ像の変遷」小泉順子編『歴史の生成:叙述と沈黙のヒストリオグラフィ』(京都大学学術出版会、2018年、pp. 23-73)【附属図書館

この論文では、これまでの「女子教育の先駆者」、「女性解放唱道者」、「民族覚醒の母」といったカルティニ像の変遷をたどり、それぞれのカルティニ像が造り出された歴史的文脈を明らかにしようとしています。

次回は連休明けになります。書評レジュメを作成し提出したうえで、ゼミでの議論に臨んでください。書評レジュメの作成にはいつものように「レジュメの基本」に準拠してください。

2022年4月21日

先週に引き続き、ミニ課題の続きとして、オランダ領東インドに渡ってからのシュピースについて検討しました。

そのあと、このミニ課題と同じテーマ(ガムラン音楽)と材料(資料)をもとに、卒論にふさわしい構成(問いと答え)に組み替えるとしたら、どのような可能性があるか、みなさんに意見を述べてもらいました。

今回のミニ課題がみなさんの卒論制作に役立つことを期待しています。

次回からは、卒論制作の参考となるような、みなさんの卒論テーマに即した先行研究を少しずつ読んで、議論をおこなう予定です。

2022年4月15日

卒論を作成するにあたっては、テーマの選定、資料の収集とともに課題となるのが、適切な問いを立て答えを導く、すなわち、どのように論を立てるかという構成の問題があります。

具体的に考える手がかりとして、今週から、ミニ課題を読んで、一つのテーマと材料からどのように論(問いとその答え)を立てるかを考えてもらうことにします。

  • 青山亨. 2022.「世界につながったガムランの響き」『地球の音楽』(東京外国語大学出版会)pp.12-17

今週は、課題にしたがって、ガムランの特徴、1889年パリ万国博覧会の意義、ヨーロッパを離れるまでのシュピーズの生涯について報告をしてもらいました。
次回は、オランダ領東インドに渡ってからのシュピーズについて検討を進める予定です。

2022年4月 7日

2022年度春学期最初のゼミです。今週は、一人一人の近況および卒論の進捗を報告してもらいました。

しばらくは就活で卒論に専念できない時期が続くので、春学期はいろいろな文献を読んでコメントを述べてもらう予定です。

          

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