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2017年6月29日

【4年次対象ゼミ】

今週は、KさんとIさんに卒論の進捗状況を報告してもらいました。

Iさんには北スマトラでおこなうフィールドワークの調査計画、Kさんにはハラル医薬品についての調査の中間報告をしてもらいました。

次回は、Iさんにはフィールドワークでおこなう聞き取り調査の内容について、Sさんにはジョグジャカルタで予定しているドキュメンタリー映画の構成について報告してもらう予定です。

時間があれば、卒論作成に必要なWordの技法について説明をする予定です(とくに、セクション、ページ番号、脚注、アウトラインの使い方)。

【3年次対象ゼミ】

第3章では、アメリカ(主として南アメリカ)においては、言語が共通であっても一つのネーションとはならないこと、ネーションを立ち上げた主体が下層階級ではなく上層のエリートであったという問題意識から、南アメリカのエリート層が本国のスペイン人とは異なる現地生まれのクレオールとして差別されたことが、アメリカ人としての意識を生み出したこと、にもかわらず、南アメリカの急峻な地形により隔たりが、一つネーションではなく複数の行政単位を基礎とした諸ネーションへの分裂を招いたことを確認し、さらに、とくに後者のプロセスにおいては、遍歴するクレオール役人とクレオール印刷業者が大きな役割を果たしたとアンダーソンが指摘していることを確認しました。

次回は、10月に予定されている大阪大学・南山大学との合同ゼミに向けて、発表内容の準備と事前発表をしてもらう予定です。

2017年6月26日

【大学院】

修論ゼミでは、研究生のKさんに研究計画書の修正版について報告してもらい、研究の背景と狙いに関する議論を深めました。

院生ゼミでは、ベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体』(書籍工房早山、2006年)の第4章「クレオールの先駆者たち」をTさんに報告してもらいました。クレオールの役人の遍歴による空間認識とクレオールの印刷業者の新聞出版による地方単位の情報共有が、スペイン語を話すアメリカがいくつもの国民に分かれた要因とするアンダーソンの議論を確認しました。

続いて、博士後期後期課程のKさんに香港での調査を視野に入れた研究計画について報告してもらい、議論をおこないました。

次回は、第5章「古い言語、新しいモデル」をTさんに報告してもらう予定です。また、加えて、博士後期課程のYさんに博士論文の構想について報告してもらう予定です。

2017年6月22日

【4年次対象ゼミ】

今週は、再度予定を変えてSさんに新しく卒研の構想について報告してもらいました。

「仕事と生活」というテーマで、ジョグジャカルタのインフォーマル・セクターで働く人々に密着したドキュメンタリー映画を制作する計画を報告してもらいました。

次回は、KさんとIさんに卒論の進捗状況を報告してもらう予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続いてベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』から、「第3章 国民意識の起源」の報告をもとに議論をおこないました。

第3章では、ラテン語の性格の変化、宗教改革、行政俗語の発展という消極的な要因と、出版資本主義の発展という積極的な要因から、俗語の標準化が進み、国民意識の形成に道を開いたことを確認しました。

次回は、「第4章 クレオールの先駆者たち」の報告をもとに議論をする予定です。

2017年6月19日

【大学院】

修論ゼミでは、Aさんに修論の第1章であつかう翻訳理論の歴史について報告をしてもらい、その内容について議論をおこないました。翻訳理論一般で扱う翻訳の仕方(アプローチ、スタイル)の類型と、Aさんが扱っている日本語からインドネシア語への翻訳における対人関係表現の表現の問題とは区別して議論するとよいことを確認しました。

院生ゼミでは、ベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体』(書籍工房早山、2006年)の第3章「国民意識の起源」をAさんに報告してもらいました。ラテン語が宗教者による聖典の言語として知識人の公用語であった地位から没落するなかで、様々な方言や俗語が標準化されて公用語の地位を獲得するプロセスにおいて、出版資本主義が大きな役割を果たしたことを確認しました。また、出版資本主義とならんで教育制度も重要であることが指摘されました。

次回は、第4章「クレオールの先駆者たち」をTさんに報告してもらう予定です。また、加えて、博士後期課程のOさんに香港での調査計画について報告してもらう予定です。

2017年6月15日

【4年次対象ゼミ】

今週は、「ジャワにおける鳩飼い文化」をテーマにしているFさんに、夏休みのジョグジャカルタにおけるフィールドワークの計画と卒論構成について報告してもらい、検討を行いました。

次回は、予定を変えてKさんに卒論の進捗状況について報告してもらう予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続いてベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』から、先週できなかった「序」の報告と、今週初めて読む「第2章 文化的根源」の報告をもとに議論をおこないました。

第2章では、「宗教共同体」、「王国」、「時間の了解」の3つのトピックが挙げられています。その中で、とくに「時間の了解」の部分が理解しづらいようでした。議論の結果、中世(宗教共同体と王国の時代)における「メシア的時間」から近代(国民国家の時代)の物理的で「均質で空虚な時間」への変化があったことを確認しました。

次回は、「第3章 国民意識の起源」の報告をもとに議論をする予定です。

2017年6月12日

【大学院】

修論ゼミでは、研究生のRさんに研究の中間報告をしてもらい、その内容について議論をおこないました。日本人のイスラームに対するイメージの形成にマス・メディアのニュース報道が大きく影響していることが明らかになりました。その一方で、現在ではソーシャル・メディアの影響が大きいことも指摘されました。

院生ゼミでは、ベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体』(書籍工房早山、2006年)の第2章「文化的根源」をRさんに報告してもらいました。ラテン語による宗教共同体が解体することで俗語による新しい想像の共同体が生まれたこと、俗語による近代小説において同時代の我々という意識が共有されるようになったことなどが確認されました。

次回は、第3章「国民意識の起源」をRさんに報告してもらう予定です。

2017年6月 8日

【4年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続き映画Gieの後半を最後まで鑑賞しました。1969年にSoe Hok Gieが26歳の若さで登山中に事故死するところまでが描かれています。

この映画は、Gieが残した日記をもとに1983年に出版されたCatatan Seorang Demonstranを原作としています。あわせて読むと理解が深まるでしょう。

次回は、Fさんにインドネシアでの調査計画について報告してもらう予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週から以下の本から数章を選んで読んでいきます。けっして読みやすい本ではありませんが、得るところが大きいと思います。

初回の今週は「序」の報告予定者が休みだったので、参加者全員で少しずつ「序」を読んでみました。

パラグラフの最初の文にパラグラフのトピックが、最後の文にパラグラフの結論(トピックの再提起)がくることが多いことに注意して読むと、難解な文章も比較的読み解きやすいと思います。ネーションもしくはネーションネスが現代においてもその力を失っていないこと、ネーションとは文化的人造物である、というのが今週読んだ範囲のポイントでした。

この文章が最初に公刊されたのが1983年であることを考えると時代の変化が感じられますが、同時にここでアンダーソンが述べていることが今でも有効性を持っていることが分かります。

次回は「序」の残りを概観したあと、「第2章 文化的根源」の報告をもとに議論をする予定です。

2017年6月 5日

【大学院】

修論ゼミでは、研究生のKさんに研究計画案を発表してもらい、その内容について議論をおこないました。横浜の高齢者介護施設でインタビューをおこなってデータを集め、その分析結果を来年2月に研究報告として提出する予定であることを確認しました。

院生ゼミでは、ベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体』(書籍工房早山、2006年)の序章を全員で検討しました。「ナショナリズム」が、自由主義やファシズムといった「主義(イズム)」とは異なり、人類学的な意味での「宗教」や「親族」と共通点のある「想像された(政治的)共同体」であること、それゆえに、「無自覚的で」「自然で」「歴史的継続性があるもの」として認識されることを確認しました。

次回は、第2章「文化的根源」をRさんに報告してもらう予定です。

2017年6月 1日

【4年次対象ゼミ】

今週は、インドネシア映画を卒論のテーマに取り上げているSさんの提案で、Gie(Riri Riza監督、2006年、147分)を見ることにしました。今回は1965年9月30日事件が発生した直後までを見ました。次回は続きを見る予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週はTさんに山口・金子・津田「序 英雄大国インドネシア」の書評レジュメを報告してもらい、議論を行いました。

次に、これまでの報告に関連して、以下の3つの課題に意見を出してもらい、議論をおこないました。

  • A) この論文ではナショナリズムと植民地支配との関係はどのようなものと考えられているか?
  • B) この論文での植民地支配の時代の「インドネシア」とは何か?(説明不足でしたが、植民地化される前の時代を含めています)
  • C) この論文での地方文化の目録化とは何を意味しているのか?

A)については、植民地化されることによって、それまで一体性がなかった諸王国や諸地域が一つの領域になったこと、半植民地・独立運動のなかで植民地支配をおこなう「彼ら」に対する「我々」という意識(ネーションの意識)が生まれたこと、独立してからも植民地支配に行われていた政策や慣行が国民統合のための政策や慣行として再利用されたことなどが確認されました。

B)については、植民地支配の時代にはまだ現在のインドネシアは存在していなかったという意味での括弧付きのインドネシアであることが指摘されました。それに加えて、植民地化される前に存在していたマジャパヒトの領域がオランダの研究者によって明らかにされたことによって、独立後のインドネシアにとって栄光ある回復すべき過去の領域となったことも確認されました。

C)地方文化が共通の指標によって整理され、カタログのように一覧可能となることが目録化であることが確認されました。目に見える目録化の例として、タマン・ミニ・インドネシア・インダ公園が挙げられました。

来週以降は、今回の論文にも関連があるアンダーソンの『想像の共同体』から何章か選んで読むことにしています。

          

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