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【3年次ゼミ】6月1日

【3年次対象ゼミ】

今週はTさんに山口・金子・津田「序 英雄大国インドネシア」の書評レジュメを報告してもらい、議論を行いました。

次に、これまでの報告に関連して、以下の3つの課題に意見を出してもらい、議論をおこないました。

  • A) この論文ではナショナリズムと植民地支配との関係はどのようなものと考えられているか?
  • B) この論文での植民地支配の時代の「インドネシア」とは何か?(説明不足でしたが、植民地化される前の時代を含めています)
  • C) この論文での地方文化の目録化とは何を意味しているのか?

A)については、植民地化されることによって、それまで一体性がなかった諸王国や諸地域が一つの領域になったこと、半植民地・独立運動のなかで植民地支配をおこなう「彼ら」に対する「我々」という意識(ネーションの意識)が生まれたこと、独立してからも植民地支配に行われていた政策や慣行が国民統合のための政策や慣行として再利用されたことなどが確認されました。

B)については、植民地支配の時代にはまだ現在のインドネシアは存在していなかったという意味での括弧付きのインドネシアであることが指摘されました。それに加えて、植民地化される前に存在していたマジャパヒトの領域がオランダの研究者によって明らかにされたことによって、独立後のインドネシアにとって栄光ある回復すべき過去の領域となったことも確認されました。

C)地方文化が共通の指標によって整理され、カタログのように一覧可能となることが目録化であることが確認されました。目に見える目録化の例として、タマン・ミニ・インドネシア・インダ公園が挙げられました。

来週以降は、今回の論文にも関連があるアンダーソンの『想像の共同体』から何章か選んで読むことにしています。

          

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