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リレー講義

2012年1月26日

映画『マックス・ハーフェラール』の鑑賞の第3回をおこないました。

■『マックス・ハーフェラール』(Max Havelaar、1976年、オランダ映画、161分)
■オランダ語・インドネシア語、英語字幕付き
■日時:2012年1月12日1月19日・1月26日 木曜日2限
■教室:アゴラ・グローバル、プロメテウス・ホール
■履修登録をしていない人にも参加を認めています。

第3週(1月26日)は、最終回です。マックス・ハーフェラールがついに県知事の罷免を訴える決意にいたりますが、理事官、総督からも相手にされず、辞任を迫られます。映画は、オランダ領東インドに神の栄光が及ぶことを祈るオランダ本国の人々という皮肉な場面で終わりになります。今週は174人分のワークシートの提出がありました。

■今週の配付資料
film-max-havelaar-20120126.pdf (466KB, PDF)

・授業で使用したDVD Max Havelaar の購入はアメリカのAmazon.comからすることが可能です。


毎回、提出されたワークシートには目を通しています。今週提出されたワークシートのなかに、質問があったのでお答えします。

【質問】
マックス・ハーフェラールがインドネシアでオランダ語とインドネシア語を使っていたのは、実際にそうだったのでしょうか。

【回答】
オランダ人植民地官吏がインドネシアの植民地統治を実行するためには現地の言語を知っている必要がありました。インドネシア語(当時はマレー語と呼ばれていました)は現地での共通語として使用されていました。そのほかに中部・東部ジャワではジャワ語、西部ジャワではスンダ語も使われていました。ちなみに、マックス・ハーフェラールの妻ティーネがアディンダに語り聞かせていた「日本の石工の物語」もインドネシア語で語られていました。

2012年1月19日

映画『マックス・ハーフェラール』の鑑賞の第2回をおこないました。

■『マックス・ハーフェラール』(Max Havelaar、1976年、オランダ映画、161分)
■オランダ語・インドネシア語、英語字幕付き
■日時:2012年1月12日・1月19日・1月26日 木曜日2限
■教室:アゴラ・グローバル、プロメテウス・ホール
■履修登録をしていない人にも参加を認めています。

第2週(1月19日)は、バイテンゾルフで総督から奨励を受けたマックス・ハーフェラールがルバック県の副理事官に着任する場面から、マックス・ハーフェラールの自宅の回りに蛇が現れる場面までです。来週(1月26日)は映画の最後まで鑑賞します。

コーヒーに関する参考サイト
世界のコーヒー生産
コーヒーの生産地マップ
コーヒーの歴史
コーヒー栽培の拡大

■今週の配付資料 『マックス・ハーフェラール』第2回
film-max-havelaar-20120119.pdf (293KB, PDF)

2012年1月12日

2012年1月12日木曜日2限に、総合科目IIのリレー講義『表象としての映画 (テーマ「レトロ」retrospective)』の一部として「インドネシア」を担当します。1月12日、1月19日、1月26日の3回講義をおこないます。
■『マックス・ハーフェラール』(Max Havelaar、1976年、オランダ映画、161分)
■オランダ語・インドネシア語、英語字幕付き
■日時:2012年1月12日・1月19日1月26日 木曜日2限
■教室:アゴラ・グローバル、プロメテウス・ホール
■履修登録をしていない人にも参加を認めています。

Max Havelaar

今回は、1976年公開のインドネシア・オランダ合作映画『マックス・ハーフェラール』(Max Havelaar)を上映します。オランダ語とインドネシア語。英語字幕付き。上映時間161分。監督は、1986年に『追想のかなた』(De Aanslag)でオランダ人としては初めてアカデミー外国語映画賞を受賞したフォンス・ラーデマーケルス(Fons Rademakers)。1982年公開の『ブレードランナー』で世界的にブレークしたオランダ人俳優ルトガー・ハウアー(Rutger Hauer)が出演しています。

19世紀半ばのオランダ領東インド(現在のインドネシア)のジャワ島を舞台に、理想主義をいただく若い植民地行政官マックス・ハーフェラールの苦悩と挫折を描きます。原作は1860年に発表されてオランダ文学史に残る名作『マックス・ハーフェラール―もしくはオランダ商事会社のコーヒー競売』(Max Havelaar, of de koffieveilingen der Nederlandsche handelsmaatschappij)です。この作品の一部は、インドネシア語専攻語が2009年の外語祭で語劇「サイジャとアディンダ」として発表しました。

およそ1世紀半前のオランダによる植民地支配を改めて振り返る(retrospect)ことの意味を考えてみたいと思います。

第1週(1月12日)は、総督からルバック県の副理事官に任命する旨の手紙を受けとったマックス・ハーフェラールが、新しい任地での未来を妻に語る場面までです。来週(1月17日)は、バイテンゾルフ(現在のボゴール)でマックス・ハーフェラール夫妻が総督と会う場面から鑑賞します。

■今週の配布資料
film-max-havelaar-20120112.pdf (606KB, PDF)
【注】今週の配付資料には訂正すべき事項があります。「オランダ領東インドの統治機構」の図と「マックス・ハーフェラールの舞台」の地図は第2週(1月19日)の資料を参照してください。

・映画についての詳細:Internet Movie Database (英語)
・原作の日本語訳『マックス・ハーフェラール』(amazon)
・2009年度インドネシア語劇「サイジャとアディンダ

【注】オランダ人の名前をカタカナ表記するのは困難です。監督フォンス・ラーデマーケルスは日本ではあまり知られていないので、できるだけオランダ語の発音に近くなるように表記しました。俳優ルトガー・ハウアーは、オランダ語なら「リュトヘル・ハウエル」、英語なら「ラトガー・ハウアー」と書くべきと思われますが、ここではすでに日本で知られている表記を採用しました。

2011年11月30日

リレー講義『民族と民族問題の諸相』「インドネシア」の第3回を担当しました。インドネシアについての最後の回である今週は、国民国家インドネシアにおける外来少数民族である華人の位置をとりあげました。受講生は236人でした。

■2011年度 民族と民族問題の諸相
第1回 2011年11月9日 インドネシアにおける多民族の共存
第2回 2011年11月16日 国民国家インドネシアに対抗する民族
第3回 2011年11月30日 インドネシアにおける外来少数民族 (今週)

■今週の配付資料 民族と民族問題の諸相:インドネシア第3回
ファイルのダウンロード (649KB, PDF)
(開くためにはパスワードが必要です。パスワードは授業時にお知らせします。)

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2011年11月16日

11月16水曜日4限に、総合科目IVのリレー講義『民族と民族問題の諸相』の一部として「インドネシア」を担当しました。第2回の今週は224人の受講生がいました。このあと外語祭後の11月30日に第3回講義をおこないます。

今週は、国民国家インドネシアに対抗する少数民族の問題を、アチェ、東ティモール、パプアの事例をとりあげて、検討しました。

■2011年度 民族と民族問題の諸相
第1回 2011年11月9日 インドネシアにおける多民族の共存
第2回 2011年11月16日 国民国家インドネシアに対抗する民族 (今週)
第3回 2011年11月30日 インドネシアにおける外来少数民族

■今週の配付資料 民族と民族問題の諸相:インドネシア第2回
ファイルのダウンロード (663KB, PDF)
(開くためにはパスワードが必要です。パスワードは授業時にお知らせします。)

2011年11月 9日

11月9水曜日4限に、総合科目IVのリレー講義『民族と民族問題の諸相』の一部として「インドネシア」を担当しました。第1回の今週は239人の受講生がいました。このあと11月16日と11月30日の2回講義をおこないます。

昨年度と同様に、全3回のなかで、東南アジアの多民族国家としてのインドネシアを紹介し、第1週では国民国家インドネシアにおける多民族の共存を、第2週では国民国家インドネシアに対抗する民族、あるいは国家のなかで対立する民族を、第3週では国民国家インドネシアにおける外来少数民族である華人の位置をとりあげます。

■2011年度 民族と民族問題の諸相
第1回 2011年11月9日 インドネシアにおける多民族の共存 (今週)
第2回 2011年11月16日 国民国家インドネシアに対抗する民族
第3回 2011年11月30日 インドネシアにおける外来少数民族

昨年度までおこなった講義の内容は「2010年度の記録」を参照してください。

■今週の配付資料 民族と民族問題の諸相:インドネシア第1回
ファイルをダウンロード (1.2MB, PDF)
(開くためにはパスワードが必要です。パスワードは授業時にお知らせします。)

2011年10月25日

10月25日火曜日1限に、総合文化コース専修専門(宗教学)のリレー講義『世界に現れる「神」』の第4回として、「インドネシアの神・神々・カミ」を担当しました。受講生は256名でした。

コメントシートはすべて読ませもらいました。質問の中からいくつか代表的なものを選んで、回答したいと思います。似た質問や関連する質問は整理してまとめている場合もありますので、ご了承ください。また、過去の年度の講義でも類似したあるいは関連した質問に回答しているので、ぜひそちらも参考にしてください。

2010年度の講義での回答
2009年度の講義での回答
2006年度の講義での回答
2004年度の講義での回答


質問 1 バリ島に観光旅行に行ったとき豚を生贄(いけにえ)にする儀礼をみました。あれはイスラームではなくヒンドゥー教ですか?

回答 1
ご指摘のとおりヒンドゥー教の儀礼です。イスラームでは豚は不浄とされているので生贄として犠牲にすることはありません。バリ島では住民の9割以上がヒンドゥー教徒で多数派を占めていますから、観光客がバリ島で目にする行事のほとんどはおのずとヒンドゥー教の儀礼ということになります。


質問 2
キリスト教でも神のことをAllahと呼ぶとは知りませんでした。もう少し説明してください。

回答 2
よく誤解されていることですが、アラビア語のAllahとは「イスラームの神」のことではなく、「神」のことです。したがって、アラビア語をしゃべるキリスト教徒も自分たちの神をAllahと呼びます。インドネシア語には大量のアラビア語からの借用語がはいっているので、インドネシアのキリスト教徒は神のことをアラビア語起源のAllahと呼んだり、マレー語起源のTuhanと呼んだりします。Allahは日本語の「神」、英語の「God」、Tuhanは日本語の「主」、英語の「Lord」に対応しています。


質問 3
イバン人の信仰についての講義で、インドネシア語で「公務員」を意味するpegawaiは、イバン人の言語で「儀礼」を意味するgawaiと関連があり、「儀礼をする人」という意味だという説明がありました。すると、インドネシアでは公務員として働くということは、一般の人よりも神に近い存在になるということなのでしょうか?

回答 3
結論から言えば、pegawaiと呼ばれる職業の人たちが一般の人々よりも神に近い存在とされることはありません。もっとも、公務員という職業が収入の安定した望ましい職業とみなされている事実はありますが。

ここで、授業での説明を補足しておきます。まず、インドネシア語ではpegawaiは「公務員」(pegawai negeri)だけではなく、一般的な「職員」も指します。次に、インドネシア語には、語幹に様々な接頭辞や接尾辞を付けることで派生語を作るという特徴があります。pegawaiという語の場合、「行為の主体」を意味する接頭辞pe-が語幹gawaiに結びついたものとして分析することができます。しかし、現在のインドネシア語では、語幹gawaiが他の接辞に付いた派生語は使われていません。つまり、現在のほとんどのインドネシア人にとってgawaiという語幹自体の意味はわからなくなっていると言えます。インドネシア語のpegawaiとイバン語のgawaiに関連があることは両者の比較分析の結果から出てくる結論です。

ちなみにgawaiという語は、10世紀頃の古ジャワ語文献にも見られる語で、そこでは「仕事」、「職業」、「祝祭」と言った意味で使われています。したがって、もともとgawaiという語は、宗教的なことから世俗的なことまでを包含した「おこない」一般を指す語であると理解したほうがよいと考えられます。


質問 4
イバン人は比較的新しいキリスト教徒になったという説明を受けました。すると、キリスト教の信仰と土着的な精霊信仰が併存しているということなのでしょうか。

回答 4
そのとおりです。講義ではイスラーム教徒の社会でも土着の信仰が続いていることを主に示しましたが、同様のことはキリスト教徒の社会でも見られます。スラウェシ南部のトラジャ人の葬送儀礼などはその典型的な例でしょう。関心のある人は自分で調べてみてください。新しく入ってきた宗教(とくにイスラームやキリスト教のような大宗教)と土着の信仰の関係というのは、けっして1つのあり方だけではなく、多様な形態があることに注意してほしく思います。

2011年6月27日

今週は地域基礎IIで「宗教と社会(その1)全体とイスラーム」を担当しました。

東南アジア全体の宗教の多様性を説明してから、映像資料「イスラム潮流 第1回すべてはメッカに始まる ~世界に広がる13億人~」(NHK, 1999年)の一部を見て、世界に広がるイスラーム共同体の中にある東南アジアを理解してもらいました。そのあと、東南アジアへのイスラームへの伝播、東南アジア諸国におけるイスラームの位置づけの違い、最近のイスラームの傾向を概観しました。

来週は、今週の講義内容についてのテストをおこなうので、配付資料をしっかりと復習しておいてください。

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2011年5月26日

今週は、多言語・多文化社会(歴史と現在)の授業のなかで「多民族国家インドネシア」を担当しました。

この授業では、インドネシアの多民族性の特徴を、隣国マレーシアと比較しながら検討し、さらに、多民族性の歴史的な背景を説明しました。また、多民族であっても共存が可能である一方で、民族対立の要因も存在することを指摘しました。


・「多言語・多文化社会の歴史と現在:インドネシア」(ファイルをダウンロード, 884KB, PDF)

2011年4月18日

今週は地域基礎IIで「歴史(その1)概要と古代」を担当しました。

東南アジアの文化の多様性を理解するためには東南アジアの歴史を知る必要があります。東南アジアの歴史の超構造化年表を使って、空間的広がりと時間的展開を視覚的に理解してもらいました。

そのあと、インド文明が東南アジアの広範な地域に影響を及ぼした古代を概観しました。この時代の文化の具体的な展開は、木曜4限の青山の東南アジア古典文化論で扱っています。

2011年4月11日

2011年度には以下のリレー講義を分担しています。

【1学期】
月曜日1限 4月18日 227 地域基礎 II:東南アジア研究入門 歴史(概要・古代)
月曜日1限 6月27日 227 地域基礎 II:東南アジア研究入門 宗教(全体・イスラーム)
木曜日1限 5月26日 226 多言語・多文化社会(歴史と現在):多民族国家インドネシア

【2学期】
火曜日1限 10月25日 101 世界に現れる「神」:インドネシアの神・神々・カミ
水曜日4限 11月9日・16日・30日 101 民族と民族問題の諸相:インドネシア
木曜日2限 2012年1月12日・19日・26日 プロメテウス・ホール 表象としての映画:インドネシアに関連する映画

          

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