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ジャワ文化概説

2007年2月 9日

今学期最後の授業となる今週は、マジャパヒト朝時代に作られた仏教叙事詩『スタソーマ』を取り上げました。バリ島のクルンクンにあるバレ・カンバンの天井画のスライドを使って物語を紹介しました。インドにはない独自の物語であること、仏教を主題にしていること、舞台の設定がカリ・ユガであることなどに、ジャワ独自の創作である特徴があらわれています。バリは14世紀にマジャパヒトによって征服されることによって、文化的にヒンドゥー・ジャワの一部になりました。これが、ジャワ島がイスラーム化しても、ヒンドゥー・ジャワの伝統を残している理由です。

課題レポート1と2の返却をしました。今日、欠席した人は青山まで受け取りにきてください。

期末レポート(3)を受け付けています。今日、出せなかった人は、2月13日(火)までに青山に直接提出してください。

それでは、2学期のあいだお疲れ様でした。

2007年2月 2日

2月2日の講義では、14世紀~15世紀のジャワの状況を、マジャパヒト王国の宮廷詩人プラパンチャが表した『デーシャワルナナ』(De?awarṇa)を中心に使って説明しました。来週は、最終回です。ジャワからバリに伝わった仏教叙事詩『スタソーマ』(Sutasoma)について説明します。

今週は、学期末レポートの課題を出しました。課題は以下のとおりです。

下記の設問に答え、2007年2月13日(火)午後5時までに青山研究室(633)に提出しなさい。(来週の授業時間中でもかまいません。)レポートは、全体でA4判レポート用紙1枚にまとめなさい。最上部に氏名、学生番号を明記し、末尾に参考にした文献の一覧を付けること。(2月13日は火曜日です。当初、月曜日と書いていたのは誤りです。訂正します。)

インドネシアの人口の9割近くがイスラーム教徒である。しかし、インドネシアの国章には、ヒンドゥー教の神話に出てくるガルーダの姿が描かれている(図参照)。また、インドネシアの国営航空会社の名称はガルーダ・インドネシア航空である。イスラム教徒が多数派を占めるインドネシアにおいて、このようにヒンドゥー教に由来するシンボルが使われている理由を、インドネシアの中で多数派を占めるジャワ人の文化の歴史的背景にさかのぼって、予備知識のない人(この授業を受けたことのない人)にもわかるように、説明しなさい。

garuda-pancasila.jpg


2007年1月26日

今週は、マハーバーラタの「枝葉」となる物語と題して講義をおこないました。中心となるパーンダワ一族とカウラワ一族の争いの物語を幹とすると、それに付随したり、派生したりする「枝葉」にあたる物語がたくさんあります。その中にはジャワ独自の物語も少なくありません。これらの物語はワヤン・クリやワヤン・オランあるいは舞踊の形で現在にいたるまで表現されつづけられています。

今回は以下のエピソードとその背景を説明しました。
1. アビマニュの結婚
2. スプラバワティとスリカンディの争い
これは、アビマニュの結婚に続くエピソードです。ここでビデオで、ジャワ舞踊「ブクサン・スリカンディ・スラデワティ」を鑑賞しました。スラデワティはスプラバワティの双子の姉妹です。
3. アルジュナの結婚
これについては、すでに紹介ずみです。
4. デワ・ルチ
これについては、課題2の中で紹介ずみです。物語は、マハーバーラタの登場人物と背景を使いながら、イスラーム神秘主義の神人合一の経験を描いています。

冬休み以降に出した課題1と課題2を回収しました。まだの人は来週までに提出してください。来週、もう一度レポートの課題(課題3)を出します。今学期の評価は三つの課題の内容と出席点の合計によって判定します。

来週は、本日配ったデーシャワルナナに関するレジュメに基づいて14世紀後半のジャワの状況について考えます。

2007年1月12日

1月12日(金)は、青山が研究会参加のため出張するので不在ですが、授業は通常通りに開講します。この日の授業時間はマハーバーラタのビデオ(先週の続き)を見てもらいます(出欠もとります)。

また、講義の代わりに、指定の論文を読みレポートを作成する課題(課題2)を出します。課題は1月12日の授業時間中に配布しますが、受け取れなかった学生は633まで取りに来てください。このウェブサイトでも以下をクリックするとダウンロードすることができます。

java-culture-winter-report.pdf (PDF形式,1MB)

課題レポートは1月26日の授業時間中に提出してください。

なお、1月19日(金)はセンター入試前日のため全学的に休講です。

2006年12月18日

12月19日の授業では、Peter Brookの1989年の映画Tha Mahabharataの前半を見てもらいました。これはピーター・ブルックが演劇として上演したものを映画化した作品です。多国籍キャストによるシンプルな様式で、「人類の偉大な物語」を描ききっています。続きは来年の1月12日に見ます。

今日の授業で冬休みの宿題(課題1)を出しました。課題を読んでレポートを作成し、1月26日(金)の授業時間中に提出してください。


【課題1】添付されている『宝物集』巻5からの抜粋を読み、物語の粗筋をまとめたうえで、『宝物集』の物語とその典拠となっている『ラーマーヤナ』との相違点をまとめなさい。

■テキストのダウンロード 『宝物集』巻5からの抜粋 (800KB、PDFファイル)


2006年12月15日

今日は、マハーバーラタの物語の続きを説明しました。また、マハーバーラタの登場人物の名称のサンスクリットでの読み方と現代ジャワ語での読み方の比較をおこないました。ジャワ語のマハーバーラタには、サンスクリットのマハーバーラタには見られない登場人物があります。女性戦士スリカンディや、4人の召使いであるパナカワンたちなどが代表的な例です。

そのあと、ビデオでワヤン・クリによる「アルジュナの婚礼」の上演を紹介しました。これは、マハーバーラタの第3編「森林編」の中にある短いエピソードを一つの物語として独立させたジャワ独特の物語です。

来週は、12月19日に金曜日の授業の振り替え授業があります。

2006年12月 8日

今日から、マハーバーラタの説明に入りました。まず主要な登場人物の関係を示したあと、物語の粗筋の説明にはいり、第3編「森林編」が終わるところまで進みました。来週は、第4編の説明から始めます。

マハーバーラタは、物語の基本的な筋(幹の部分)よりもそこから分かれたエピソード(枝葉の部分)の方に面白さの秘密があります。粗筋はあくまでも基本的部分にすぎない点を含んだうえで、講義を聴いてください。

2006年12月 1日

今週はラーマーヤナについての講義の最終回です。ラーマーヤナの登場人物の名前のサンスクリット、現代ジャワ語、タイ語の対照表を使って、名前の違いと共通性を確認しました。

引き続いて、タイの宮廷舞踊コーンによるラーマキエンの上演をビデオで鑑賞しました。今回、鑑賞したラーマキエンは、ラーマとトッサカン(ラーヴァナのこと)との決戦の場面が描かれています。シータが出てこないこと、ラーマが勝利したあと車に乗ってアヨーディヤーへ凱旋することなどが特徴的です。

続いて、ジャワにおけるラーマーヤナの受容と変化を「古典的」ラーマ物語と「近世的」ラーマ物語をキーワードにして読み解きました。とくに「近世的」ラーマ物語には、1)イスラームの世界観の枠組みの中にあること、2)ラーヴァナの物語が物語全体の初めに出てくること、3)シータがラーマの妹であり、かつ、ラーヴァナの娘であるとか、ハヌマーンがラーマの息子といった複雑な関係をもつこと、に特徴があります。

来週から、ラーマーヤナに並ぶもうひとつのヒンドゥー叙事詩であるマハーバーラタについての講義になります。配付資料にいれたマハーバーラタの登場人物一覧とあらすじをよく読んで、自分なりに整理をしておいてください。

2006年11月17日

今日のジャワ文化概説では、先週に引き続いて、ヒンドゥー叙事詩「ラーマーヤナ」について講義をおこないました。

前半は、先週に続いて、9世紀に建立されたプランバナン寺院の浮き彫りをスライドで紹介しながら、ラーマーヤナの物語をたどりました。このなかで、いくつかの注意点をあげています。

1. 言葉の力。言葉、とくに神やバラモンや王によって発せられた言葉は、必ず実行または実現されなければならないという物語的約束があります。これが未来についての言葉であれば予言、相手を傷つける言葉であれば呪いということになります。ラーマーヤナでは、発せられた言葉によって登場人物の行動が規定される場面があり、物語の展開の鍵をにぎることになります。

2. 森と都の対比。森は危険な所として描かれています。森は野獣や化け物が徘徊するところであり、普通の人間が入るところではありません。森に入っていく人間は、猟師のような特別な職業をもつ人か、修行者のように自らの意思で文明の生活を捨てた人々です。森の化け物は、マラリアのような伝染病がはびこっていた古代においては、目には見えなくても現実に人間を危険にさらす存在を、物語的に表現したものだと言えるでしょう。

3. 肉体に出入りする霊。古代インド的生命観では、地上に肉体をもって存在する生き物は、死ぬと、その肉体から霊が抜け出し、新たな生命形態を得ると考えられていました。これが輪廻転生の考え方です。しかし、ジャワでは、生まれ変わるという側面よりも、もともと天界にいた存在が、何かの理由で(罪に対する罰として)地上に肉体をもった存在として生まれ変わり、それが死ぬことによって、霊を捉えていた肉体を脱して、本来の姿に戻って天界へと帰還するという側面が強調されています。この、死による肉体からの霊の解放と、天界への帰還を、ジャワやバリではモクサと呼んでいます。

プランバナン寺院の浮き彫りを紹介したあと、現在のワヤン・クリ(人形影絵芝居)やワヤン・オラン(人間が演じる芝居)やラーマーヤナ・バレーを紹介し、ジャワでは1000年以上の年月を経ても、ラーマーヤナの基本的な構造やディテールが維持され、イスラームが多数派をしめるようになっても、民衆の間で愛好されていることを示しました。

最後に、バリのケチャッのビデオを紹介し、スグリウォ(スグリーヴァ)に破れたスバリ(ヴァーリン)がモクサする場面を示して、プランバナン寺院の浮き彫りに見られるモクサの概念が現在も生き続けていることを説明しました。

来週が外語祭のため、休講です。次回の講義は、再来週になります。タイのラーマキエンなど、大陸部でのラーマーヤナの展開に触れる予定です。

2006年11月10日

今日のジャワ文化概説では、ヒンドゥー叙事詩「ラーマーヤナ」に入りました。前回、配布した「ラーマーヤナの概要」に基づいて、登場人物の関係を整理したあと、物語の粗筋をスライドを使いながら説明しました。今週はシーターがラーヴァナに誘拐される場面までです。来週はこの続きを説明したあと、現在のジャワやバリなどでラーマーヤナがどのように受け入れられているかを見ていきます。

授業で見せたスライドをPDF形式で載せたので、欠席した人は見ておいてください。今日は7ページの最後まで進みました。出席した人も参考にしてください。

  • 題名:プランバナン寺院浮き彫りに見るラーマーヤナ
  • ファイル形式:PDF 1272KB
  • ファイル名:ramayana_in_prambanan.pdf
  • 右をクリックしてダウンロード→ramayana_in_prambanan.pdf

2006年10月26日

10月27日金曜4限のジャワ文化概論は、私が学外の研究会に出席するため休講とします。授業の進行には差し支えないよう配慮します。

先週の授業を欠席し、配付資料#04「ラーマーヤナの概要」をまだ持っていない受講生は633研究室のドアに掛けてある封筒から一人1枚ずつ取っていくか、あるいは下記からダウンロードしてください。

ラーマーヤナの概要(ワードのdocファイル)

来週11月3日は休日ですから、次回は11月10日となります。ラーマーヤナの登場人物の相関関係と物語の粗筋の整理をしてきておいてください。

続きを読む ≫

2006年10月20日

今週第3週の前半では、先週に引き続き、ジャワ語文学史の後半として、15・16世紀以降の現代ジャワ語文学史の概要を説明しました。

後半では、レジュメ#03に入り、古典インド的宇宙時間として4ユガとその意味を、古ジャワ語文学作品と関連させながら説明しました。今日は、ラーマーヤナまでだったので、来週はマハーバーラタから話を始めます。

ラーマーヤナの物語の登場人物一覧と粗筋(レジュメ#04)を配布したので、来週までに、人物の関係と粗筋を頭にいれておいて来てください。

今日、初めて出席した人は、来週火曜日の昼過ぎ以降に、レジュメを取りに来てください。

          

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