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2008年11月30日

【一般】

2008年11月29日-30日に東京大学駒場キャンパスで開かれる第80回東南アジア学会研究大会では、第2日に下記の要領で東南アジア文学のシンポジウムを開催いたします。東南アジア学会としては、東南アジア史学会の時代から数えても久しぶりの文学関係のシンポジウムとなります。インドネシア文学、マレーシア文学に関する発表もありますので、関心のある方のご参加をお待ちしています。

[プログラムと趣旨説明] (PDFでダウンロードできます)

日時:2008年11月30日(日) 9:00(受付開始)/9:30-16:15
場所:東京大学駒場キャンパス18号館ホール[地図

シンポジウム1 《東南アジア現代文学の眺望―作家、歴史、社会》

プログラム

9:30-9:35 趣旨説明
青山 亨 (東京外国語大学)

9:35-10:05 発表1
インドネシア:「文学コミュニティ」から見える文学実践の多様化
澤井志保 (東京外国語大学大学院/香港中文大学大学院)

10:05-10:35 発表2
マレーシア:多民族社会の中の華人文学
舛谷 鋭 (立教大学)

10:35-11:05 発表3
ベトナム:ファム・コン・ティエンの詩学
野平宗弘 (廈門大学外文学院)

11:05-11:20 休憩

11:20-11:50 発表4
タイ:タイ現代文学の登場と新ジャンルの挑戦
アット・ブンナーク (タイ中小企業開発銀行)

11:50-12:20 発表5
カンボジア:内戦終結後からの再出発
岡田知子 (東京外国語大学)

12:20-13:30 昼食休憩
13:30-14:30 会員総会

14:45-15:00 コメント1
小野正嗣 (明治学院大学)

15:00-15:15 コメント2
押川典昭 (大東文化大学)

15:15-16:15 総合討論

sea-lit-sympo-200811.png
ポスター](PDFでダウンロードできます)

【追記】
シンポジウムは無事に終了しました。ただし、タイ文学について報告する予定だったアット・ブンナークさんが、反政府市民団体によるバンコク国際空港の閉鎖の影響をうけて来日できず、参加できなかったのは残念でした。

私個人としては、文学研究におけるテキストに焦点をあてる見方と、コンテキストに焦点をあてる見方をあわせもつ複眼的な視点が大事であること、「大きな物語」から「小さな物語」への転換は、対象となる東南アジアの文学作品について見た場合には地域によって差違のある現象であるが、研究者に視点について見た場合には確かに起こっている変化であることの2点が確認できたのは収穫でした。

2008年11月28日

【4年次対象ゼミ】

今週は、報告予定者が出席できなかったので、来週に順延とします。来週は、冬休み前の最終・中間発表になりますから、卒論の全体像が示せるようにまとめてきてください。

【地域基礎】

今週は、外語祭終了後の最初の講義となります。前回に引き続き映画『危険な年』を最後まで見てもらいました。1965年9月30日事件の頃の雰囲気を読み取ってもらえればいいと思います。

そのあと、レポートの第9章「スハルト政権下のインドネシア その2 (1980年代後半~98年)」を報告してもらいました。第3節のアジア通貨危機の途中までで時間がきたので、次回はこの続きから報告をしてもらいます。第10章以降担当の人も準備をしておいてください。

外語祭前に出していた小レポートを提出してもらいました。今日出せなかった人は、来週の月曜日には必ず提出してください。

2008年11月27日

【東南アジア古典文化論】

今週は、外語祭後の最初の講義です。最初に、著作権の「同一性保持権」の考え方が、古典的作品には当てはまらないことを説明しました。続いて、マハーバーラタについての資料を配付し、登場人物の関係、物語の概要を説明しました。

そのあと、ビデオでマハーバーラタを見てもらいました。Peter Brookの1989年の映画Tha Mahabharataの前半を見てもらいました。これはピーター・ブルックが演劇として上演したものを映画化した作品です。多国籍キャストによるシンプルな様式で、「人類の偉大な物語」を描ききっています。

この作品については、以下のウェブページが参考になります。
Internet Movie Databse: The Mahabharata
THE MAHABHARATA: a film by Peter Brook
THE MAHABHARATA: A Family Chart (人間関係を写真入りで整理しています)

3時間のビデオなので、今週を含めて3週かけて見ていく予定です。今週は最初のイントロだけを見ました。次回はこの続きから見ていきます。

外語祭の前に課題を出しておいた第1回小レポートを提出してもらいました。

■今週の配付資料(下からダウンロードできます)
ファイルをダウンロード (220KB, PDF)

2008年11月26日

【インドネシア語読解】

今日は外語祭明けの初日だったせいか出席者が少なかったようです。

予定通り小テスト2を実施しました。来週、結果を返します。

テキストは、p.18の1行目...yang berdosa. まで進みました。来週はこの続きから進めます。

今週のポイントです:

1. A sejalan dengan B
まず、接頭辞se+名詞には以下の3つの用法があることを頭にいれておいてください。
1) se=satu「一つ」 これは基本です。sehari(一日)
2) se=sama「同じ」 kawan sekantor(同じ職場の同僚)
3) se=seluruh「全体」 se-Indonesia(全インドネシア)
sejalanのseは2)の用法と考えるとよいでしょう。つまり、「AはBと道を同じくする」という意味です。この意味から、どのような日本語に訳すかは日本語力の問題です。ここでは、「AはBに通じる」「AはBにつながっている」などと訳すことができます。

2. sipat=siftat
sifatはアラビア語に由来します。インドネシア語にはもともとfの音がないので、インドネシア語風に発音しやすく変化したものがsipatです。同様の例として、英語のNovemberがインドネシア語のNopemberに変化した例があげられます。テキストの単語が辞書にない場合は、このような変化の可能性も考えてみるとよいでしょう。

2008年11月25日

【2008年度の記録】

2008年11月19日(水)から11月25日(火)までの1週間は、第86回外語祭が開かれるため休講となります。ただし、19日は準備、25日は後かたづけの日ですので、外語祭の開催は20日(木)から24日(月)までの5日間となります。

2008年11月24日

【一般】

東京外国語大学の学園祭である「外語祭」が今年度で第86回めを迎え、11月20日(木)から24日(日)まで開催されます。

インドネシア語専攻では2年生が中心の語劇と1年生が中心の料理店の出店をおこないます。語劇は11月20日(木)16時20分から研究講義棟101マルチメディアホールで上演されます。演目は「Rara Jonggrang: Asal Mula Candi Prambanan」(ララ・ジョングラン:プランバナン寺院の由来)です。

料理店は期間中、円形広場で出店します。Bag Bag Bagus!という店名です。この他にも、インドネシア舞踊サークルによるインドネシア舞踊の上演もおこなわれます。

詳しい情報は第86回外語祭公式サイトに順次、掲載される予定です。ご期待ください。

11月20日から外語祭が始まりました。

インドネシア舞踊の様子がインドネシア舞踊サークルのブログtari indonesiaで紹介されています。

ここでは、インドネシア語専攻の屋台と語劇の様子を写真で紹介します。


インドネシア語専攻の屋台は正門から円形広場に入るとすぐ右手です。


おいしいもの、甘いもの、お酒もあるメニューです。


チャンティックなヒロイン、ララ・ジョングラン。


ニヒルな悪役ジャカ・バンドゥン。


ジャカ・バンドゥンの依頼を聞く不気味な魔神バンダワサ。


語劇が終わってほっと一息。

Picasaウェブアルバムですべての写真を公開しています。

2008年11月21日

【一般】

今年の語劇も無事に終わりました。語劇を成功させた2年生のみなさん、お疲れ様でした。来場してくださった観客のみなさん、ありがとうございました。

この機会を借りて、簡単ですが、1984年(第62回)以降のインドネシア語劇の歴史を振り返ってみました。来年はどのような演目になるのか楽しみです。

年  回  タイトル
1984 62 戦場のメインテーマ

1985 63 ニャイ
1986 64 卒塔婆小町
1987 65 マハーバーラタ
1988 66
1989 67 革命の羊達
1990 68
1991 69 地獄の夜
1992 70 ブン ブサール
1993 71 Bapak 父
1994 72 罪の群像
1995 73 チレボンの桜
1996 74 葛藤
1997 75 バラバ
1998 76 NAPI
1999 77 ビラ マラム ブルタニバ マラム
2000 78 死を迎える場所
2001 79 Malam Jahanam(地獄の夜)
2002 80 卒塔婆小町
2003 81 Kertadjaja
2004 82 チャンドラ・キラナ
2005 83 RORO MENDUT
2006 84 スクレニ、バリの娘
2007 85 Siau Ling
2008 86 Rara Jonggrang

2008年11月20日

【一般】

今年も外語祭とともに語劇の季節がやってきました。インドネシア語劇では2年生が中心になってRara Jonggrang(ララ・ジョングラン)を上演します。

■日時:2008年11月20日(木)午後4時20分~5時20分
■場所:研究講義棟101教室(マルチメディアホール)
■詳細は外語祭公式サイトをごらんください。

■物語の紹介
東京外国語大学の語劇は今年で100年を迎えます。その伝統ある語劇にインドネシア語専攻が今年出す演目は「ララ・ジョングラン」となりました。

悲劇のヒロイン、ララ・ジョングラン(ロロ・ジョングランとも言います)の物語はインドネシアでもっとも知られた伝説の一つでしょう。この物語の中心となる舞台は、世界遺産にも選ばれたジャワ島中部のプランバナン寺院遺跡です。このすぐ北どなりには、一対の巨大な羅刹像が門を守るチャンディ・セウ寺院遺跡、南方の丘の上にはラトゥ・ボコ遺跡があり、いずれも物語の中に織り込まれています。現在、遺跡の多くは復元されましたが、長い歳月のなかで崩壊した建物の石材が散乱する様子は、現代の観光客にも異世界に迷い込んだような気持ちを引き起こさせます。数世紀前のジャワの農民たちが、魔神が造り上げようとして途中で放棄したのだ、と想像したのも無理はありません。

プランバナン寺院はもともと9~10世紀頃のマタラム王朝が建立したヒンドゥー教の寺院でした。中心に三つの祠堂がありますが、なかでも一際高くそびえ立つのが、中心のシヴァ祠堂です。この祠堂には、シヴァ神の石像のほかに、息子ガネーシャ、妃ドゥルガーなどの像が納められています。このドゥルガー像はヒンドゥー教では「マヒシャという阿修羅を退治する者」という名前で知られており、実はかなり血生臭い由来があります。しかし、その姿は細腰でたおやかな若い女性の姿に描かれており、一つの石像作品と見たとき、ララ・ジョングラン、すなわちジャワ語で「ほっそりとした乙女」という名前が付けられたのも納得がいきます。

マタラム王朝の中心がジャワ島の東部に移ってからは、頻発する地震や火山の爆発のため、プランバナン寺院は崩壊したまま、朽ちていきました。やがて住民もイスラームに改宗し、寺院の意味は記憶から失われていきました。そこで、荒廃した巨大な建造物の由来や、石像の意味を説明するために、住民は、新しい記憶、ララ・ジョングランの物語を創りあげたのです。

こうして1000年を超える時空を超えて過去と現在の二つの世界が重なるところに、この伝説は生まれました。王女ララ・ジョングランは架空の存在であっても、その伝説はまさに人々の心の中に生きているプランバナンの物語と言ってよいものです。2006年に発生した中部ジャワ地震では祠堂の一部に被害が出ましたが、幸いにも倒壊することは免れました。物語が伝承され続ける限り、遺跡は人々の文化財として守り続けられることでしょう。

最後に、劇の上演にあたっては、今年から本学の特任外国教員になられたスハンダノ先生に脚本の制作から学生の指導まで多大な努力をしていただきました。スハンダノ先生がいらしたガジャマダ大学はジョグジャカルタにあり、プランバナンはそのすぐ東にあります。今年の語劇のテーマとして最適な選択であったと思います。

2008年11月18日

【大学院】

Jones, Trade
Jones, Early tenth century Java the inscriptions. Dordrecht, Holland ; Cinnaminson, U.S.A. : Foris Publications, 1984
■Early tenth century Java the inscriptionsに収められた第1章。2008年11月18日。

2008年11月17日

【リレー講義】

11月17日月曜1限に、東南アジア地域基礎IIのリレー講義「東南アジア研究入門」の第5回として、「歴史:古代史」を担当します。担当日は11月10日から11月17日に変更されました。

【追記】
本日、担当の授業を無事に終了しました。東南アジアの歴史を考える場合に役に立つ時代区分の枠組みをグループワークを通じて整理したたあと、古代における「インド化」の特徴と重要性を説明しました。

次週は外語祭で休みなので、次回は12月1日になります。

■配付資料は下からダウンロードできます。
ファイルをダウンロード (1.2MB, PDF)

2008年11月15日

【一般】

2008年11月15日(土)に神田外語大学では第2回インドネシア語スピーチコンテストを開催します。東日本にある大学の学生および社会人の方を参加対象としています。

日時:2008年11月15日(土)午前10時30分から18時(予定)まで
場所:神田外語大学ミレニアムホール 千葉市美浜区若葉1-4-1
主催:神田外語大学
後援:インドネシア共和国大使館
協賛:インドネシア文化宮、日本インドネシア語検定協会

参加申し込みの締め切りは10月20日です。詳細は神田外語大学ウェブサイトの案内のページをご覧ください。

2008年11月14日

【地域基礎】

今週は、DVDで映画『危険な年』(The Year of Living Dangerously, 1982, 英語字幕版)の解説資料を配付し、続きを鑑賞しました。ビリーがガイにワヤン(影絵芝居)の意味を説明する場面から、ジルが暗号通信で伝えられた情報をガイに教える場面までです。次回は、この続きから見る予定です。

来週は外語祭のため休講なので、次回は11月28日です。小レポートの課題を出したので、次回の授業時に提出してください。

■今週の配付資料(下からダウンロードできます)
ファイルをダウンロード (60KB, PDF)

■次回提出の小レポート課題(下からダウンロードできます)
ファイルをダウンロード (358KB, PDF)

2008年11月13日

【4年次対象ゼミ】

今週は、インドネシアの風刺マンガ家スダルタ氏をテーマにしているF君の卒論指導をおこないました。風刺画の歴史についての節をスダルタ氏の略歴を扱った第3章の最初にいれること、最後の章には卒論全体の結論を書き込むようアドバイスしました。

S君には、羽衣型民話以外の民話もあつかうかどうか、早急に決めるようにアドバイスしました。羽衣型民話以外の民話も扱う場合には、インドネシアのどの民話をあつかうかフリースの民話集のなかから選択し、それに対応する日本の民話の典拠を確定することが必要です。羽衣型民話に限定するのであれば、日本、中国、その他の地域に見られるテキスト例をもあつめて、東アジア圏の羽衣型民話全体をあつかうようにするとよいでしょう。

【東南アジア古典文化論】

今週は、ビデオを使ってタイのラーマキエン、バリのケチャに見られるラーマ物語を紹介しました。

次週は、外語祭のため1回休講です。次回は11月27日に、物語の「同一性」の問題に続いて、マハーバーラタについての講義から始めます。マハーバーラタの登場人物一覧を配付したので、来週までに人物の関係図を作ってきておいてください。

■今週の配付資料(下からダウンロードできます)
ファイルをダウンロード (162KB, PDF)

今週は、第1回小レポートの課題を出しています。欠席した人は下の案内をよく読んで、その指示にしたがってください。
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東南アジア古典文化論(青山 亨)第1回小レポート課題「ラーマーヤナ」

形式:A4判用紙に横書き800字以内。上部にレポート題目(上記)、氏名、学生番号を明記。
提出:2008年11月27日(木)授業時間中。
評価:平常点に加算。
課題:以下の指示にしたがって英語の電子版の参考文献を読んでレポートを作成する。

1) 学内のパソコンから次のサイトにアクセスしてください:
http://www.tufs.ac.jp/common/library/local/online/ondb-j.html

2) Gale Virtual Reference Libraryの「接続」をクリックし、Gale Virtual Reference Libraryの検索画面に入ってください。

3) 検索ボックス(Findの右の箱)に半角英字で「Ramayana」と入力し、Searchボタンをクリックしてください。

4) 検索結果が表示されたら、最初の検索結果「1. R?m?yana. Velcheru Rao.」をクリックし、宗教百科事典のR?m?yanaについての論文を表示してください。なお、右上の翻訳語の欄からJapaneseを選び、Translateボタンをクリックすると日本語訳が表示されます(機械翻訳なので参考程度に)。

5) この文章を読んで次の設問に答えてください:
現在、標準的なラーマーヤナのテキストとみなされているのは、ヴァールミーキ作とされているサンスクリット語の7巻本のラーマーヤナである。この論文を読んで、現存するラーマーヤナがどのような経緯で成立したのか、また、そのなかでヴァールミーキがどのような役割をになっているのかを説明しなさい。

【インドネシア語読解】

今週のBBCニュースは、Sistem tsunami diresmikan (津波警報システムの導入)でした。

訳はよくできていました。しかし、訳語の選択にもっと注意をしてほしいと思います。
 lapisan bumi 「地球の層」という訳よりは「地層」
 kawasan pantai 「浜辺の地域」という訳よりは「海岸地帯」
文章のタイプや文脈によって訳語を考えるようにしてください。

テキストは第2章第1パラグラフのdan lain-lainnyaまで終わりました。次回は、この続きから進みます。

今週のポイントは:
1. bukan saja A, melainkan juga B. 「Aだけではなく、Bもである」という構文です。英語のnot only A, but also Bに対応します。
2. merasa heran ketika melihat... 情動を表す動詞・形容詞のあとの接続詞は情動の原因・理由を示す語を導く働きをもっています。日本語に訳すときは、「...を見て驚く」の「て」くらいの軽い訳をつけておくとちょうどよい場合が多いです。

第2章以降のテキストのコピーをもらっていない人は633まで取りに来てください。

次回は、外語祭で1回休講があるので、11月26日になります。今日したところまでを範囲に小テストをおこないますから、しっかりと復習をしておいてください。


2008年11月10日

【3年次対象ゼミ】

今日は、卒研のテーマとしてインドネシア語の本を日本語に翻訳することを計画しているYさんと、卒論のテーマとしてtumpeng(スラマタン儀礼のときに供される、円錐形のごはんにいろいろなおかずを添えたジャワ料理)を取り上げる予定のSさんに報告をしてもらいました。

Yさんはまだ翻訳の対象とする本を決めていないので、今回は翻訳論についての本(鈴木主税『私の翻訳談義』河出書房新社、1995年>朝日文庫、2000年)のレジュメを報告してもらいました。

原語のテキスト→日本語のテキストの「直訳」ではなく、原語テキスト→テキストの意味→日本語のテキストの「意訳」が大切なことが主張されています。議論のなかでは、日本語のテキストが時代とともに古くなるために、新しい訳が必要とされることがあることが指摘されました。冬休みが始まる前に翻訳の対象となる本を決めるとよいでしょう。

Sさんの報告は、スラマタンについての英語のエッセーの和訳に基づいておこなわれました(Landung Simatupang, "A Taste of Metaphor: Food in a Javanese Selamaten," Latitudes, February 2003).

Tumpengについては、それぞれの食べ物に込められた象徴的意味、日本のお節料理との比較、tumpengがジャワの文化からインドネシアの文化へ変化した政治的背景、ご飯を黄色に着色することの意味など、いろいろと調べるてみるとおもしろい点があるようです。

次回は、まだ発表していない3名の報告をお願いします。

2008年11月 9日

【一般】

第39回日本インドネシア学会研究大会が2008年11月8日、9日の2日間にわたって、以下のように東京外国語大学で開催されます。本学会会員でない方もご参加いただけますので、関心のある方々のご参加をお待ち申し上げます。

大学生および大学院生は無料、一般の方は参加費(資料代など)1000円のお支払いをお願いいたします。

日時:2008年11月8日(土)~11月9日(日)
場所:東京外国語大学 留学生日本語教育センター さくらホール
主催:日本インドネシア学会

ご注意:予定されていたPusat BahasaのDendy Sugono氏の報告が中止となりましたので、1日めのプログラムに変更があります[2008年10月31日]

第1日 11月8日(土)
13:00 開会挨拶
左藤正範(学会会長)

テーマ発表「インドネシア語教育の実践」
13:10-15:20

A-1 Totok Suhardiyanto(慶應義塾大学)
Kamus Elektronik sebagai Penunjang Pembelajaran Bahasa Indonesia: Pemanfaatan Stemming untuk Meningkatkan Kemudahan Penggunaan Kamus Elektronik

A-2 安田和彦(京都産業大学)
インドネシアのテレビ録画映像の活用について

A-3 Suhandano(東京外国語大学)
Preposisi dan Afiks pada Verba dalam Bahasa Indonesia

15:25-16:25 総合討論
16:30-17:30 学会総会
18:00 懇親会 東京外国語大学特別食堂
(懇親会費3000円)

第2日 11月9日(日)
自由研究発表
9:30-11:45

B-1 末延俊生(拓殖大学)
Pelesapan Preposisi pada Konstruksi Frasa Preposisiona Lokatif dan Temporal dalam Bahasa Indonesia

B-2 長南一豪(獨協大学院生)
インドネシア語心理動詞のカスケード構造

B-3 吉久晶子(南山大学院生)
小説『ラウマネン(Raumanen)』に見る近代インドネシアの国家、民族、神の位置

B-4 Edy Priyono(京都産業大学)
Sebuah Tinjauan tentang Singkatan di Majalah Bisnis Jepang dan Indonesia

11:45 閉会挨拶
左藤正範

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ポスターのPDFファイルをダウンロード(変更済み)

2008年11月 8日

【一般】

東京外国語大学でのインドネシア語専攻の様子がインドネシアの新聞に紹介されました。

インドネシアを代表する新聞Kompas誌ウェブ版の2008年11月4日の紙面に掲載されたJepang "Tak Kenal" Indonesia(インドネシアを知らない日本)という記事のなかで紹介されました。2007年の外語祭でアチェの伝統舞踊を演じた本学の学生たちの写真も掲載されています。

Japanese students perform Acehnese dance

執筆者は本学インドネシア語専攻の特任外国語教員として2006-2007年度のあいだインドネシア語・文学の教鞭をとっていただいたウントゥン・ユウォノ(Untung Yuwono)先生です。

日本の社会ではまだまだインドネシアのことが知られていないなか、インドネシアのことを知ってもらうための努力がなされている例として東京外国語大学のインドネシア語専攻や日本インドネシア学会が紹介されています。これは、今年が日本とインドネシアの国交樹立50周年であることを記念して書かれた記事です。

Terima kasih, Pak Untung. (ウントゥン先生、ありがとうございます。)

2008年11月 7日

【地域基礎】

今週は、第8章の残りと、第7章「インドネシア国軍(その起源・展開・現在)」の報告をしてもらいました。第7章の報告はよくまとまっていたと思います。

そのあと、DVDで映画『危険な年』(The Year of Living Dangerously, 1982, 英語字幕版)の途中まで鑑賞しました。ビリー・クワンがガイ・ハミルトンにワヤン(影絵芝居)の意味を説明する場面までです。次回は、この続きから見る予定です。

2008年11月 6日

【2008年度の記録】

来年度3年次にあがる方は、11月25日から12月1日までに希望するゼミを教務課にとどけなければなりません。ゼミ決定のプロセスを助けるために、届け出期間に先立って、各教員が個別にゼミについてのガイダンスを開くことになっています。

青山ゼミについては、11月6日(木)の3限に633で個別ガイダンスを開きます。参加する人は遅れないように来てください。このゼミは総合文化コースと地域・国際コースの両方に開いていますので、ガイダンスも両コースの人を対象としています。

個別ガイダンスに参加できない人は、オフィスアワーに来室するかメールで相談してください。

【4年次対象ゼミ】

今週は、インドネシアと日本の民話の比較をしているS君の卒論指導をおこないました。とりえあえず、天女の民話(羽衣伝説)を取り上げているようなので、日本側の民話の典拠を示すことと、日本での先行きちんと押さえることをアドバイスしました。

来週はF君の番ですが、S君にももう一度来てもらうようお願いしました。

【東南アジア古典文化論】

今週は、最初に登場人物の関係について確認したあと、インドネシアのプランバナン寺院の浮き彫りに見られるラーマ物語を基本的な資料とし、ラーマ王子の物語の展開を追いました。続いて、現代の芸能におけるラーマ物語の表現についても少しふれました。

最後に、「古典」における「同一性保持」の問題についても考えてもらう予定でしたが、時間がたりなかったので、来週にまわします。

同一性保持の問題については以下を参考にしました。
中川譲「クリエイティブコモンズ」『Web担当者Forum』インプレスR&D 2007年2月1日
Wikipedia「おふくろさん騒動」

来週は、続いて現代のバリ島やタイの芸能に見られるラーマ物語について講義する予定です。

2008年11月 5日

【一般】

第44代アメリカ合衆国大統領にバラク・オバマ氏が当選しました(就任は来年1月20日)。

ところで、オバマ氏とインドネシアの間には深い縁があります。

オバマ氏の母親はアメリカ人、父親はケニア人ですが、この結婚が破綻した後、母親はインドネシア人の男性と再婚し、小さなオバマ氏をつれてインドネシアのジャカルタに移り住みました。

このような事情なため、オバマ氏は6歳から10歳までジャカルタのメンテンに住み、地元の公立小学校に通っています。オバマ氏は1961年生まれなので、ジャカルタに住んでいたのは1967年から1971年までになります。、スハルト政権が始まった時期でまだ1965年の9月30日事件の余波が残っているころです。10歳までだったのは、このときからアメリカで教育を受けさせるためにハワイに住む母方の祖母に預けられたためです。こちらにインドネシアの小学校時代のオバマ氏の写真があります。

ちなみに、オバマ氏の母親とインドネシア人の夫との間には娘マヤ(Maya)が生まれており、オバマ氏の(父親違いの)妹になります。つまり、オバマ氏にはインドネシア人の血をひいた妹がいるということです(国籍はアメリカですが)。

アメリカ合衆国の歴代大統領のなかでもここまでインドネシアと縁が深い大統領はほかにいないでしょうし、これからも生まれないように思います。

【追記】
オバマ氏が通っていた小学校は国立メンテン第1小学校(Sekolah Dasar Negeri (SDN) Menteng 01)だとわかりました。

【追記】
インドネシア時代のオバマ氏についての興味深いデータをのせたObama Anak Indonesiaというタイトルのインドネシア語の記事をBerita Indonesiaのサイトで見つけました。タイトルは「インドネシアの子ども、オバマ」という意味で、インドネシア人のオバマ氏への親近感をうかがわせるタイトルです。

インドネシア時代に撮った家族写真も載っており、母親の再婚相手のインドネシア人男性(オバマ氏の継父)ロロ・ストロ(Lolo Soetoro)さんの顔をみることができます。ちなみにSoetoroのoeはuの旧綴りですから、現在の綴りではSutoroになります。したがって、「ソエトロ」ではなく「ストロ」が正しい読み方です(スカルノやスハルトと同じく典型的なジャワ人男性の名前)。

【インドネシア語読解】

今週のBBCニュースは、Cina potong suku bunga lagi(中国人民銀行[=中国の中央銀行]による再利下げ)でした。

この中に、secaraを使った構文が2か所ありました。訳し方に注意してください。

diharapkan secara luas untuk...
...することが広く期待されている。/...してほしいという期待が広まっている。

mengakibatkan tekanan terhadap pertumbuhan ekonomi secara keseluruhan
全体としての経済の成長に(マイナスの)圧力をもたらす。

そのあと、前回おこなった小テストの答案を返却し、次回以降の読解のテキストのコピーを配付しました。テキストのコピーをもらっていない人は633まで取りに来てください。

テキストは、p.16の第2パラグラフの途中(melainkan individualistisの文)まで終わりました。次回は、この続きから始め、第1章が終わったら、新しく配った第2章のテキストに入ります。

Perasaaan ikut memiliki atau menjadiの文と、Berlainan dengan di Indonesiaの文は、やや複雑な文なので、文の仕組みをしっかりと理解してください。

2008年11月 4日

【大学院】

ジーン・レイブ、エティエンヌ・ウェンガー「正統的周辺参加」「実践、人、社会的世界」「実践共同体における正統的周辺参加」
ジーン・レイブ、エティエンヌ・ウェンガー『状況に埋め込まれた学習-正統的周辺参加-』産業図書、1993
■『状況に埋め込まれた学習-正統的周辺参加-』に収められた第1章、2章、第3章。2008年11月4日。

          

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