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4年次対象ゼミ

2021年1月 7日

今週は今年最初のゼミです。

最初に、それぞれが提出した卒論について、自分なりによくできたと思う点と、もっとよくできたはずと思う点について、発表してもらいました。

卒論・卒研発表会の開催と卒論集の作成について打合せを行いました。卒論・卒研発表会は1月22日(金)にオンラインによる実施を予定しています。分担を決めたので、各班ごとにしっかりと準備を進めてください。発表会のプログラムはこのブログに掲載する予定です。オンラインの案内は学務情報システムの学生向けお知らせに掲載します。

最後に、青山ゼミで卒論・卒研を提出した人は、卒論・卒研の要旨を500~600字程度にまとめて、1月15日までに青山に提出してください。要旨は青山のウェブサイトに掲載する予定です。具体例は過去の要旨を参考にしてください。

皆さん、卒論の作成お疲れ様でした。

2020年12月24日

今週は、卒論提出直前最終報告会でした。全員にA4判1枚で卒論の骨子(目次+概要+参考文献一覧)を提出したうえで簡潔に報告してもらい、現在の悩みどころについて検討しました。いずれもおおむね卒論としての形が整ってきていることが確認できました。

今年度はコロナ禍のため、オンラインによる提出になっていますが、提出に先立って、随時、原稿のチェックと相談に応じるので、スラックで連絡をしてください。

次回は、卒論提出後の2021年1月7日になります。卒論の振り返りと卒業までの活動についての確認をおこないます。それでは、満足のいく卒論が完成することとよい新年をむかえられることをお祈りしています。

2020年12月17日

今週は、HAさんに「在日インドネシア人のムスリムの子どものイスラーム学習の現状と課題」というテーマで卒論の概要を報告をしてもらいました。

全体として構成がしっかりとしており、参考文献やデータもよく集められている点がよかったと思います。別に2名のインフォーマントに対してインタビューが実施されているので、そこから抽出される情報を、該当する章の中で、記述を補強するデータとして活用できることを指摘しました。また、外国籍の子どもたちについても国際人権規約に基づいて教育の機会が保証されていること、一方で、政教分離の原則から国や自治体がイスラーム教育を行う学校を設置することはできないことを確認しました。

次回12月24日は、卒論提出直前最終報告会です。A4判1枚で卒論の骨子(目次+参考文献一覧)を準備して提出してください。

2020年12月 3日

今週はHKさんに「露天商がインドネシアにおいて果たす役割」というタイトルで卒論の章立ての報告をしてもらいました。

全体としてコンパクトにまとまっており、まとめでの結論の方向性がしっかりと見えている点がよかったと思います。議論のなかでもたくさんの有意義な質問やコメントが出されました。タイトルについても「ジャカルタ都市開発における露天商の役割」といった形に絞り込んだ方がよいという意見が出されました。利用している文献については、スハルト時代と民主化以降の時代では背景がかなり異なるので、どの時代の記述なのかを意識して、その時代の文脈のなかで理解するように努めるよう指摘しました。また、現状を理解するうえでは、メディアの記事にも目を配るとよいというコメントがありました。

来週は、1年生のTOEIC受験のため全学的に休講となります。次回12月17日はHAさんの報告を予定しています。

2020年11月26日

今週は、IAさんに、「日本での経験は研修/就労終了後も活かされているのか(介護職)」というタイトルで、卒論の構成について報告してもらいました。

現在、日本では、インドネシアからの人材を含めて、外国人介護人材の受入れにあたっては、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、在留資格「技能実習」、在留資格「特定技能」という4つの制度が運用されています。このように複雑な仕組みになっているのは、その時々の政策や状況の変化にあわせてその場しのぎの対応が続いてきた結果と言えます。当然、そのしわ寄せが当事者である外国人に負わされてきました。このような観点から見ると、きわめて意義のあるテーマだと思います。

この分野では最近、以下の文献が出版されており参考になります。

現在も流動的な分野であるので、取り組みが難しいところがありますが、特定技能まで視野にいれた聞き取りを行うことで、独自の視点が盛り込める可能性が指摘されました。

ゼミでは、引用の仕方などのテクニカルな問題についても話し合うことができました。

次回は、HKさんの報告を予定しています。

2020年11月12日

今週は、KMさんに「インドネシアにおける地震・津波から考える防災の在り方」というタイトルで卒論の章立ての報告をしてもらいました。

包括的なアプローチをしており情報が多様で豊富な反面、卒論としてのまとまりが弱い点が指摘されました。全体として、共助(地域、コミュニティー内の相互協力)の観点でまとめることで、筋の通った卒論になるだろうと指摘しました。また、議論では、行政の制度面(ハード面)を扱う部分に続けて、防災教育のプログラムについての記述を加えることで、最後の、住民の防災意識(ソフト面)を扱う部分にうまく繋ぐとよいという指摘がありました。

次週は外語祭のため休講です。次回11月26日には、IAさんに報告をしてもらいます。

2020年11月 5日

今週は、KMさんに「インドネシアにおけるプラスチック汚染の対策はどうあるべきか」というタイトルで卒論の章立ての報告をしてもらいました。

理論的な説明と現状の分析のバランスが取れた章立てと感じました。議論では、リプレースよりも前にリデュースを考えるべきという意見が出ました。また、マイクロプラスチックについては大きな懸念材料ではあるけれども、研究がまだ進んでいないので、プラスチックごみに論点を絞った方がよいと指摘しました。インドネシアの特徴としてリサイクル産業がインフォーマルセクターによって担われている部分が大きいので、先行文献を調べてみるとよいと指摘しました。

次回はYIさんに報告をしてもらいます。

2020年10月29日

今週は、OYさんに「愛国心とは何か ―盲目的愛国と批判的愛国~日本の愛国の未来~」というタイトルで卒論の章立てを報告してもらいました。

議論の中心にある盲目的愛国と批判的愛国の概念が、将棋面貴巳『日本国民のための愛国の教科書』百万年書房、2019)に基づいているので、そのことは卒論のなかで明確にしておく必要があります。議論の中では、ナショナリズムとの関係をどうとらえるのか、たとえばインドネシアを考える場合にはナショナリズムとの関係は不可分なので、その点を明らかにした方がよいという指摘がありました。また、愛国心は英語でpatriotismということから分かるように、必ずしも近代的な「国家」に限定された感情ではないことに注意を払うべきでしょう。

思想的な論文なので、演繹的な議論の進め方と帰納的な議論の進め方をうまく組み合わせる工夫が必要です。内容を深めるには、さらに文献を読み込む必要があると感じました。

次回は、KMさんの報告を予定しています。

2020年10月22日

今週は、THさんに「ゴジェックがインドネシアに与えた影響は何か」というタイトルで卒論の章立てを報告をしてもらいました。

現在の事象を対象にした卒論なので、章立ても時系列ではなくトピック別になっていること、資料も文献だけではなくネットの情報も多用していることが特徴です。論理的にしっかりと構成されており、内容に即した資料にも目配りされていると思われます。

議論のなかで、なぜ2010年代になってインドネシアにシェアリングエコノミーが発展したのかの説明の説得力がまだ弱い、また、ゴジェックパートナーをめぐる記述の中でもう少し企業に与えるインパクトについての説明が欲しい、というコメントが出ました。全体として順調に進んでいるという印象を受けました。

次回は、OYさんの報告を予定しています。

2020年10月15日

今週は、WKに独立期のインドネシアの宗教政策について、独立前の民族主義運動にさかのぼって報告してもらいました。

スカルノと宗教政策とすべきか、インドネシアの近代化と宗教政策とすべきか悩んだようですが、報告を聞くかぎりでは、インドネシアの近代化と宗教政策を主眼とし、近代化の主導者の一人としてスカルノを位置付けるのが適当だと感じました。

宗教政策のなかではとくにイスラームが重要になっているので、19世紀後半から20世紀にかけての世界的なイスラーム改革運動についても目配りする必要があることを指摘しました。インドネシアのムハマディヤもナフダトゥルウラマもこの大きな潮流のなかで理解する必要があります。

この2回は歴史的な現象を扱う卒論が続いたので、来週は、現代の状況をテーマにしたTSさんに報告してもらいます。

2020年10月 8日

今週は、TKさんに「インドネシアのナショナル・コスチュームとしてのクバヤ」について報告をしてもらいました。

書く材料としての資料は着実に集めているので、書くこと自体には問題は少ないという印象です。ただ、ポルトガルの到来から始まってオランダやイギリスの植民地支配を経て独立に至る経緯が背景にあるので、事物の因果関係を時系列に誤りなく整理しておく必要があると指摘しました。また、華人、マレー人、ジャワ人、バリ人という地域や民族の広がりもあるので、クバヤの利用におけるそれぞれの役割を明確にしておく必要があることも指摘しました。

次回は、WKさんに報告してもらう予定です。

2020年10月 1日

今週は秋学期最初のゼミとなります。内定式で出席できなかった人もいましたが、夏学期の活動と卒論の進捗状況について報告をしてもらいました。

次回からは、毎週1人程度のペースで、卒論の構成について報告をしてもらいます。卒論の構成や書き方について悩んでいることがあると思うので、どんどん出してください。

2020年7月16日

今週は春学期最後の授業です。卒論作成に向けての研究計画および卒論の構成(何をどの順番で論じるか)と章立て(構成を具体的な章・節の見出しにしたもの)を全員に報告してもらいました。

今年は例年とちがってインドネシアでの現地調査ができないという特別な状況にあります。文献資料(ネットを含む)の利用や、ネットでのインタビュー、アンケートといった新しい方法の活用も試みてください。

大学からは、秋学期から対面授業とオンライン授業に加えて、少人数クラスについては対面授業も認めるという方針が出されていますが、最近の新型コロナウイルス感染拡大の状況をみると、人数の多いこのゼミについては、秋学期もとりあえずオンライン授業を続ける予定です。初回のゼミ(10月1日)には全員参加してもらいますが、そのあとは、数名ずつのローテーションで卒論指導を行う予定です。

ただし、12月最後のゼミ(12月24日)には、卒論提出直前最終報告会を全員参加でおこないます。(1月の卒論提出期日ではなく)この日が卒論提出日のつもりで執筆計画を立てておいてください。

それでは、秋学期の再会まで、健康に気を付けて実りのある夏学期を過ごしてください。

2020年7月 9日

今週はOYさんに、日本とインドネシアのナショナリズムの比較という卒論のテーマに関連して、「東京都知事選挙と行動する保守」というテーマで報告をしてもらいました。

7月5日に投開票された東京都知事選挙では、現職の小池百合子(無所属)が当選しましたが、この報告では、行動する保守を自認する桜井誠(日本第一党)が、前回の東京都知事選挙では11万票の得票であったのに対して、今回は17万票を得票したことを取り上げ、その増加は、古谷経衡の分析に基づき、行動する保守が広義の右翼から分離し、独自の投票行動を取ったためであると結論づけました。

報告のあと、日本とインドネシアのナショナリズムの比較という卒論の構想のなかに、この報告をどう位置付ければよいか議論をおこないました。その中で、現状のテーマはかなり間口が広いのでさらに絞り込む必要があることを確認しました。

また、インドネシアの初代大統領スカルノはナショナリストとは言えても保守派とは言えないことからわかるように、保守派とナショナリストの関係は、インドネシアと日本との間で、また、日本の中でも時代によって、異なることを確認しました。

この議論をもとに、保守、ナショナリズム、右翼といった概念と、それらと対になる革新、リベラル、左翼といった概念、そして両者の関係をじゅうぶんに理解して整理しておくことが必要であることを確認しました。

保守に関わる概念の整理という意味では以下の文献が入門用として参考になるでしょう。

  • 宇野重規『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』(中央公論社、2016)(Amazon

次回は春学期最後のゼミになります。夏学期・秋学期にかけての卒論作成に向けての研究計画および(もし可能なら)卒論の構成(章立て)をまとめ、報告してもらう予定です。

2020年7月 2日

今週は、IAさんに卒論のテーマである技能実習制度と特定技能制度について報告をしてもらいました。

今回は、制度を理解するという趣旨だったので、二つの制度、とりわけ、現在も主流となっている技能実習制度について説明がありました。

実習生の生活の実情に迫るためには、生活水準や賃金についてより具体的に調べることが必要だという意見をもらいました。

また、移民の受け入れという観点から考える場合には、ドイツとの比較が有効であろうという指摘もありました。ちなみに、ドイツ在住の外国人の割合は11.5%です。それに対して、2019年6月末の時点で日本にいる中長期在留者の数は251万1,567人で、それに特別永住者数31万7,849人を合わせると在留外国人の数は282万9,416人となります(法務省出入国在留管理庁)。これは人口の2.2%に過ぎないことに留意する必要があります。

テーマについてはさらに絞り込む必要があります。たとえば、インドネシア人の技能実習生にとって、インドネシアに帰国したのち、技能実習で学んだ技能がどれだけ役に立っているのか、あるいは立っていないのかについて、検討してみるとよいかもしれません。

次週は、OYさんに報告をしてもらう予定です。

2020年6月25日

今週は、HKさんに卒論のテーマであるインフォーマルセクターについて報告をしてもらい、議論をおこないました。主な参照文献は以下のものです。

  • 大井慈郎, 2013, 「東南アジア首都郊外のインフォーマルセクター-インドネシアの露天商を事例に-」『社会学年報』東北社会学会, 42:85-96. [link]
  • 松薗(橋本)祐子, 2006, 「インフォーマル・セクター研究の系譜:過剰都市化論からグローバル化の中での労働のインフォーマル化へ」『淑徳大学総合福祉学部研究紀要』40: 101-115. [link]
  • 鳥居泰彦, 積田和, 1981, 「学界展望:経済発展とインフォーマル・セクターの膨張」『三田学会雑誌』74(5):419-464. [link]

最初に、インフォーマルセクターが、1960年代になってアフリカの都市雑業層を指す概念として提起され、その後、東南アジアでの研究にも応用されるようになったことを確認しました。1960年が「アフリカの年」と呼ばれ、17の植民地がいっきに独立国になったことにも留意しておくべきでしょう。

また、インフォーマルセクターで働く人々の貧困問題の解決を目指す場合、インフォーマルセクターからフォーマルセクターへの移動を目標とするのか、インフォーマルセクターの中での自立を目標とするのか、についてしっかりと考える必要があることを確認しました。後者を促進するものとしてマイクロクレジットがあります。

インフォーマルセクターの問題には多様なアプローチが可能なので、今後、どのような切り口で分析をするのか絞り込むとよいでしょう。

次回は、IAさんに報告をしてもらう予定です。

2020年6月18日

今週は、HAさんに在日インドネシア人についての基本的データとインドネシアにおける子どものイスラーム教育について報告してもらいました。他の受講生からも、自身の海外での経験など、興味深いコメントをもらうことができました。

  • 中田有紀(2005)「インドネシアにおけるイスラーム学習活動の活性化―大学生の関与とそのインパクト」『アジア経済』46 (1) 35-52.(link

インドネシアのイスラームは政教分離を指向し、また、寛容なイスラームであると言われていますが、これはインドネシア人のイスラームに対する認識が低いという訳ではなく、むしろインドネシア人のムスリム意識はスハルト政権期から高まっていることを確認しました。

イスラーム教育については、モスクなどの学校外での教育活動が重要であるとの認識を持ちました。今後、モスクやコミュニティ(バーチャルを含む)でのフィールドワークを視野に入れた調査を進めることを確認しました。

次回は、HKさんに報告をしてもらう予定です。

2020年6月11日

今週は、TKさんにビジネスとしてのGo-JEKをテーマに報告をしてもらいました。主な出典は以下の論文と日本経済新聞の記事です。

  • Coupez, Alice. Sharing economy: a drive to success - The case of GO-JEK in Jakarta, Indonesia. Louvain School of Management, Université catholique de Louvain, 2017. Prom. : Brognaux, Christophe ; Lejeune, Christophe. http://hdl.handle.net/2078.1/thesis:12596

報告ではナディム・マカリムが2010年に起業したGO-JEKが社会に与えたインパクトを7点に整理してくれました。もともとあったオジェックのサービス(これ自体すでにライドシェアと言えます)をスマホの配車アプリと結びつけることで総合サービス業へと展開している様子がよくわかりました。

議論の中では、GO-JEKの運転手の雇用形態が、GO-JEKよる雇用なのか、委託業務なのか、という点が話題になりました。この点は、運転手の福利厚生にも影響があり、調べる必要があることが確認されました。

また、銀行口座開設の普及がその後のキャッシュレスビジネスの展開につながったことが確認されました。

同業のGrabとの比較も話題になりました。シンガポールを拠点に置くGrabは、シンガポール市場が小さいことの裏返しで積極的に国際展開をしています。一方、GO-JEKはインドネシア市場が大きいだけに、そこで満足するのか、国際展開に成功するのかが興味深いところです。

日本におけるシェアライドの将来にもつながる興味深いテーマでした。

次回は、HAさんの報告を予定しています。

2020年6月 5日

今週は、Yさんにインドネシアの災害・防災をテーマとする卒論の中間報告をしてもらいました。

主に引用している論文は以下でした:

  • Iuchi, K. (2016). Planning systems for risk reduction and issues in pre-disaster implementation. In Greiving S., Ubaura M., & Tešliar J. (Eds.), Spatial planning and resilience following disasters: International and comparative perspectives (pp. 231-256). Bristol, UK; Chicago, IL, USA: Bristol University Press. doi:10.2307/j.ctt1t8966q.19
  • James, E. (2008). Getting Ahead of the Next Disaster: Recent Preparedness Efforts in Indonesia. Development in Practice,18(3), 424-429. Retrieved June 5, 2020, from www.jstor.org/stable/27751937

報告では2004年のスマトラ沖地震によるアチェの津波被害をきっかけに整備されたインドネシアの防災政策の現状についてまとめられていました。アチェの復興で政府による再建計画が住民の反対によって変更された点に、政府と住民との関係性に注意が払われました。議論には出ませんでしたが、海外の支援団体の動向にも注目する必要があるでしょう。

また、政府と住民の間にあって仲介する人あるいは組織の重要性について指摘がありました。後者についてはMuhammadiyah Disaster Management Centerに注目するとよいでしょう。このように、インドネシアの防災を考えるうえではイスラームについての議論が不可欠です。

今後の課題として、自助・共助・公助の関係性について、防災と減災の考え方の違いについて検討することが確認されました。

次回は、TKさんにビジネスとしてのGo-Jekをテーマに報告をしてもらう予定です。

2020年5月28日

今週は「なぜプラスチックごみは問題視されているのか」というテーマでKさんに報告してもらいました。参考にした主な文献は以下でした。

  • Akenji, Lewis, et al. 2019. Circular Economy and Plastics: A Gap-Analysis in ASEAN Member States. Institute for Global Environmental Strategies, pp. 14-20.

この報告をもとにプラスチックごみやごみのリサイクルについて議論を行いました。その記録を下にあげておきます。

whiteboard-20200528.png

この報告は卒論の序文に相当する部分で、このあとごみ処理システムにおけるインフォーマルセクターの貧困層の役割や、政府の政策や施策について調べる予定であることを確認しました。

次回は、Yさんにインドネシアの災害・防災をテーマとして報告してもらう予定です。

2020年5月21日

今週は、「ナショナル・コスチュームとしてのクバヤ(インドネシアでのクバヤの歴史)」というテーマでTKさんに複数の文献をもとに報告してもらい、議論を行いました。引用された主な文献は以下のとおりです。

  • Lukman, Christine Claudia, Yasraf Amir Piliang and Priyanto Sunarto. 2013. Kebaya Encim as the Phenomenon of Mimicry in East Indies Dutch Colonial's Culture. Arts and Design Studies, vol. 13, pp. 15-22. [PDF]
  • 中谷文美. 2013. 「伝統染織を着るということ--インドネシア、バリ島の手織布の地域内自給とその変容--」『文化共生学研究』(岡山大学大学院社会文化化学研究科)第12号, pp. 1-20. [PDF]
  • Boehlke, Heidi. 2005. "Kain-Kebaya." Encyclopedia of Clothing and Fashion, edited by Valerie Steele, vol. 2, Charles Scribner's Sons, pp. 294-295. Gale eBooks

クバヤの普及には以下の段階があることを確認しました。

1. 現地社会での受容の段階:イスラームの影響(アバヤが語源)で現地社会の上流階級の女性がクバヤ(アバヤが語源)の着用を始め、やがて庶民も着用。
2. 外来者への拡大の段階:プラナカンやユーラシアンの女性が着用(独自の変化)し、やがてオランダ人女性も着用。

20世紀初頭の国籍法の改正で、プラナカン女性が二重国籍(オランダ臣民籍と中国籍)を持つことになり、オランダ女性に似たデザインのクバヤの着用が認められたというポイントは興味深かったです。

このあと、以下の文献を取り寄せて読む計画であることを確認しました。

  • Lee, Peter. 2014. Sarong Kebaya: Peranakan Fashion in an Interconnected World 1500-1950. Asian Civilisations Museum.

次回はKさんにプラスチックごみのテーマで報告してもらいます。

2020年5月15日

今週は、Wさんの書評レジュメをもとに、インドネシア独立前後に起きた「ジャカルタ憲章」をめぐる論争について議論をしました。書評レジュメの対象には、以下の論文が使われました。

  • Elson, R. (2009). Another Look at the Jakarta Charter Controversy of 1945. Indonesia, (88), 105-130.
    Retrieved April 30, 2020, from www.jstor.org/stable/40376487

ジャカルタ憲章のいわゆる「7語」"dengan kewajiban menjalankan syari'at Islam bagi pemeluk-pemeluknya"の削除は、インドネシア独立の維持という目前の共通の課題に取り組むために、政教分離の世俗国家を目指す民族主義者たちと政教一致のイスラーム国家を目指すイスラーム主義者たちとの間で行われた妥協である、ということを確認しました。

政教分離といっても現実にはさまざまなタイプの国家がありうる点にも注意を払う必要があります。

次週以降は、TKさん、Kさん、Yさんの順番で卒論に関わる書評レジュメを発表してもらうことにします。

2020年5月 7日

今週は、先週時間が無くて報告できなかった2名に報告してもらいました。

最初に、Hさんに、在日インドネシア人ムスリム児童の教育という研究テーマに関係する研究論文の書評レジュメを報告してもらいました。

基本的な制度の在り方を理解しておくというよいでしょう。外国人の観点からは法務省、教育の観点からは文科省のデータを押さえておく必要があります。

法務省は日本に在留する外国人の統計を出しています。

文科省は「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査」を実施しています。インドネシア語を母語とする児童生徒は個別の数字があがっていないのですが比較的少ないことが分かります。

第2世代の在日インドネシア人に聞き取り調査を実施するのではあれば、そのために必要な事項を整理しておくとよいでしょう。

続いて、Oさんに、アメリカによるフィリピン植民地支配とフィリピンの「植民地ナショナリズム」の形成を論じた論文の書評レジュメを報告してもらいました。

  • Abinales, Patricio N. (2002). American Rule and the Formation of Filipino "Colonial Nationalism". Southeast Asian Studies 39 (4): 604-621. http://hdl.handle.net/2433/53705

これは雑誌論文なので、このような形式で書誌情報を整理しておく必要があります。

この論文では「フィリピン化」(Filipinization)がキーワードとなっています。これが「フィリピン人によるフィリピンの統治を促進すること、ただし、アメリカのやり方に準じた統治の方式であること」を意味するのであれば、オランダ領東インドにおいて「インドネシア化」政策がとられたのかどうかという観点から、インドネシアの事例と比較すると興味深いかもしれません。

基本的な理解を深めるうえで以下の2冊をまず読んでおくとよいでしょう。

  • 永積昭『インドネシア民族意識の形成』東京大学出版会、1980年
  • 増原綾子・鈴木絢女・片岡樹・宮脇聡史・古屋博子『はじめての東南アジア政治』有斐閣、2018年

来週は、Wさんに「ジャカルタ憲章」論争を踏まえてインドネシアにおける宗教と政治の関係について整理して報告してもらう予定です。

2020年4月30日

今週は、前回の課題である、オンラインデータベースを使って卒論のテーマに関わる文献を探したうえで、その文献がどのように卒論に使えるのかを報告してもらい、議論をおこないました。

次回は、今日、時間が無くて検討できなかった報告について議論を行います。

なお、今週からはSlackを使ってゼミ内の連絡や情報交換をすることにしました。Slackの招待を行ったので履修生は必ず参加してください。

2020年4月23日

新年度春学期の最初の4年次ゼミは新型コロナウイルス対策のためZoomによるオンラインで行いました。

今週は、受講生一人一人の研究テーマと進捗状況を説明してもらいました。研究テーマを絞り込んで、卒論で扱える具体的なテーマにするためには、テーマに関連する先行研究を多数読み込むことが大切です。図書館の利用が制限されているため、ゼミでは、大学附属図書館のオンライン・ジャーナルやオンライン・データベースに学外からアクセスする方法を紹介しました。詳細はこちらから読むことができます。

CiNiiでは日本語の論文、ProQuestやJSTORでは英語の人文社会系の論文を検索したり閲覧したりすることができます。

次回のゼミは、これらのデータベースを使って、自分の研究テーマにかかわる論文を複数読んで、それが自分の論文の中でどのように使えるかをレポートしてください。

とくに、どのような「問い」を立てることができるか、よく考え抜いて、次回のゼミで報告してください。一つの先行研究では、視点が限られるので、複数の論文を読み進めて多角的に見ることも大切です。

今回は、先週Zoomでプレミーティングをしたおかげもあり、ブレークダウンセッションも含めて順調に行ったと思います。

          

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