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2020年1月16日

【3年次対象ゼミ】

今週は今年度最後のゼミです。先週に続いて残りの5名の人に、卒論のテーマに関係する文献の書評の報告をしてもらいました。

  • 外川昌彦『宗教に抗する聖者:ヒンドゥー教とイスラームをめぐる「宗教」概念の再構築』2009、世界思想社.【リンク
  • 内海敦子「茨城県大洗町のインドネシア人 : 日系三世と「研修生」のケーススタディ」『明星大学研究紀要. 人文学部・日本文化学科』27 (2019): 106-87.リンク
  • 酒井理「日本におけるシェアリングビジネスの課題」『法政大学キャリアデザイン学部紀要』12 (2015): 117-132.【リンク
  • 合田美穂「東南アジア華人移民の歴史およびマレーシアとインドネシアにおける華人移民の適応パターン」『甲南女子大学研究紀要 人間科学編』41 (2004): 45-55.【リンク
  • 松野明久「インドネシアの排外主義 : 政治的な策謀がもたらす国民統合の危機」『未来共生学』2018 (5): 107-124.【リンク

書評の対象にした文献については、以下の情報を記載してください。

  • 雑誌論文または論集所収論文の場合:著者名、論文題名、雑誌名(または論集書名)、刊行年、巻号、ページ
  • 書籍の場合:著者名、書名、刊行年

茨城県大洗町のインドネシア人コミュニティについては、東京外国語大学に提出された以下の博士論文が参考になります。これは、東京外国語大学学術成果コレクションで閲覧することができます。

  • 吹原豊『移住労働者の日本語習得研究 : あるインドネシア人コミュニティでの調査から』博士論文、東京外国語大学2017年学位授与.【リンク

東南アジアの文化については、昨年刊行された信田敏宏編『東南アジア文化事典』(2019、丸善出版)が参考になります。通常の事典とはちがって、項目がカテゴリーごとに分類されて配列されており、各項目が2ページ見開きでしっかりと解説されています。みなさんの卒論のテーマに近いものをあげると、「東南アジアの華人」、「東南アジアの宗教」、「衣服」、「バティック」、「バリ州の文化的景観」、「在日インドネシア人」などがあります。パラパラと目を通すだけでも勉強になりますし、各項目にあげられた参考文献を通して理解を深めるきっかけにもなります。ぜひ手にとってみてください。

さて、今年度のゼミは今週で最後です。

先週と今週の報告をもとに、卒論の制作計画を立て、来年度の最初のゼミの時間に提出してください。また、以下の文献について書評jレジュメを作成し、同じく来年度の最初のゼミの時間に提出してください。

  • 青山亨「インドネシアの華人:同化からと統合へ」長谷部美佳・受田宏之・青山亨編『多文化社会読本 多様なる世界、多様なる日本』2016、東京外国語大学出版会、112-128.

また、ゼミでも紹介しましたが、3月28日(土)と29日(日)に東洋大学白山キャンパスでインドネシア研究懇話会(通称KAPAL「カバル」)の第2回研究大会が開催されます。関心のある人はぜひ参加してみてください。ボランティアも募集中です。詳細はカパルの公式ウェブサイトをご覧ください。

それでは、充実した冬学期を過ごしてください。4月にお会いしましょう。また、留学に行く人は実りある留学生活を過ごしてください。

2020年1月 9日

【4年次対象ゼミ】

今週は今年最初のゼミです。卒論・卒研発表会の開催と卒論集の作成について打合せを行いました。卒論・卒研発表会は1月24日(金)を予定しています。引き続きしっかりと準備を進めてください。

青山ゼミで卒論・卒研を提出した人は、卒論・卒研の要旨を500~600字程度にまとめて、今月末をめどに青山まで提出してください。要旨は青山のウェブサイトに掲載する予定です。過去の要旨を参考にしてください。

【3年次対象ゼミ】

今年最初のゼミでした。年末に出した2つの課題である、Act of Killingのリポートと卒論のテーマに関係する文献の書評レジュメを提出してもらいました。

Act of Killingのリポートは、コメントを付けたものを全員に返却しました。お互いのリポートも読んで、一つの映像についていろいろな見方ができることを確かめてください。

そのあと、卒論のテーマに関係する文献の書評の報告をしてもらいました。今週は、3名の人にしてもらいました。残りの報告は来週してもらう予定です。

  • 白川俊介『ナショナリズムの力』2012、勁草書房.【リンク
  • 永野由紀子「インドネシア・バリ島におけるグローバル・ツーリズム下での移住者の増加と伝統的生活様式の解体―デンパサール近郊プガモン村の事例―」『山形大学紀要 社会科学』37, no.2 (2006): 161-208.【リンク
  • 服部美奈「在日インドネシア人ムスリム児童の宗教的価値形成:名古屋市における自助教育活動の事例から」『異文化コミュニケーション』19 (2007): 1-28.【リンク

来週は今学期最後の授業になります。卒論のテーマの絞り込みを進めてください。

【補足 2020-01-16】

在日インドネシア人ムスリム児童については、立川日本語・日本語教育研究所から2019年に刊行された『日本語文化の研究 別冊2 外国人児童生徒への日本語支援研究』が参考になるでしょう。

2020年1月 4日

【インドネシア語専攻で勉強する人のために】

毎年、年末になると学生のみなさんの卒論原稿をチェックする時期がきます。原稿の中には、論文の構成も明快だし、データもきちんと処理できているのに、読んでいて文意が伝わらないということがよくあります。

その理由は、多くの場合、日本語の書き方に問題があるためです。卒論での望ましい日本語とは、読み手を感動させる日本語ではなく、自分が伝えたいことが、誤解なく正しく読み手に伝わる日本語のことです。

ここでは、多くの論文に共通して見られる日本語の問題点について指摘しておきます。原稿が一通り完成したら、最初から最後まで読み直して、ここで挙げられている問題がないかチェックを行ってください。

書き始めのときは問題がなくても、何度も書き直しているうちに、文意が伝わらない日本語になっている場合があります。必ず提出前に全体を読み直しましょう。

以下の例文では、典型的な誤りと訂正した例を挙げています。例文は短いので、誤りにはすぐ気づけると思いますが、長い文になってくると、気づかない場合があります。文の構造に注意を払いながら読み直してください。

1. 主部と述部の照応ができていない。

  • オランダ植民地政庁によってイスラーム勢力を抑制した。
    ⇒オランダ植民地政庁がイスラーム勢力を抑制した。(能動態で照応)
    ⇒オランダ植民地政庁によってイスラーム勢力が抑制された。(受動態で照応)

2. 読点(、)のあるべきところに読点がない。
論文の場合、とくに、「条件を示す文」および「逆接の文」の区切りに読点を付けることで、読みやすさが大きく向上します。

  • 1998年にスハルト政権が崩壊すると華人に対する政策が大きく変わった。
    ⇒1998年にスハルト政権が崩壊すると、華人に対する政策が大きく変わった。(条件)
  • インドネシアは1945年に独立を遂げたが華人の地位についての明確な取り決めはまだなかった。
    ⇒インドネシアは1945年に独立を遂げたが、華人の地位についての明確な取り決めはまだなかった。(逆接)

このほかの読点の用法についてはことば研究館の説明が分かりやすいです。また、アイデムの説明もビジネス向きで有用です。

3. 語順が不適切である。
修飾関係にある語が離れすぎないよう注意してください。

  • この儀式は残念なことに神聖であるという理由から写真撮影が認められなった。
    ⇒この儀式は神聖であるという理由から残念なことに写真撮影が認められなかった。(「残念なことに...認められなった」の距離に注意)

2020年1月 1日

【一般】

インドネシア共和国の祝日には宗教関連の祝日が多く、そのほとんどが毎年日にちを変えます。そこで、参考のために、2020年のインドネシア共和国の祝日を掲載しました。

2020年のインドネシア共和国の祝日および政令指定休日は、人間開発・文化担当調整相のもとで2019年8月28日に開催された大臣級会合に国家機構活性・官僚改革相、宗教相、労働相の三大臣が出席して決定されました。一覧作成にあたってはインドネシア政府通信・情報省のウェブページ(「2020年の国民の祝日ならびに政令指定休日の日程」)を参照しました。今年は例年になく日程が早く決まりました。

1月1日 (水) 西暦2020年新年
1月25日 (土) イムレック(孔子暦2571年新年)
3月22日 (日) イスラ・ミラジュ(ムハンマド昇天祭)
3月25日 (水) ニュピ(サカ暦1942年新年)
4月10日 (金) キリスト受難日(聖金曜日)
4月24日 (金) 《ラマダン(断食月)の始まり》
5月1日 (金) 国際労働者の日(メーデー)
5月7日 (木) ワイサック(仏教大祭:仏陀の生誕、成道、入滅.仏暦2564年)
5月21日 (木) キリスト昇天祭
5月22日 (金) *
5月24日 (日) イドル・フィトリ(断食明け大祭)
5月25日 (月) イドル・フィトリ(断食明け大祭)
5月26日 (火) *
5月27日 (水) *
6月1日 (月) パンチャシラ誕生の日
7月31日 (金) イドル・アドハ(犠牲祭)
8月17日 (月) インドネシア共和国独立記念日
8月20日 (木) イスラム暦1442年新年
10月29日 (木) マウリッド(ムハンマド生誕祭)
12月24日 (木) *
12月25日 (金) クリスマス(キリスト生誕祭)

上記の日付のうち、名称のある日が祝日で、公休日となります。*印のある日は、祝日とは別に、連休とするために政府によって祝日の前後に設けられた政令指定休日(cuti bersama)です。

注1)断食月の始まりは祝日ではありませんが、参考のために示しておきました。

注2)断食明け大祭は2日間あります。ジャワ語のルバランという名称でも知られています。

注3)伝統的なイスラームの考え方ではイスラーム暦の月の始まりは新月の観察に基づくことになっているため、断食明け大祭の儀礼が実施される日は地域や主催組織によってずれることがあります。

注4)これまでニュピはインドネシア語でHari Raya Nyepi(「ニュピの祝日」の意)と呼ばれていましたが、ヒンドゥー教徒のためとして宗教相からの要望に基づき2020年からHari Suci Nyepi(「ニュピの聖日」の意)に改められました。これは、ニュピは慎む日であって祝う日ではないというバリのヒンドゥー教徒の気持ちを尊重したためと推測されます。

          

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