≪ 2018年10月 | トップ | 2018年12月 ≫

2018年11月29日

【4年次対象ゼミ】

今週は、ToさんとTaさんの卒論指導を行いました。

Toさんの卒論は、なぜ1982年に公立校におけるジルバブが禁止されたのかを考察するもので、全体の構成について検討しました。あと3章と4章が残っていますが、順調に進んでいることを確認しました。

Taさんの卒論は、明朝末期の中国人苦力の大量出国を現在の経済難民の視点で読み解こうというものです。東南アジアへの華人移住の歴史を跡づけるという方向性を確認しました。

次回は、Fさん、Muさん、Aさんの卒論指導を行いますが、これまでの卒論指導を事情で受けられなかった人にも対応する予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週は、Hさんに以下の文献の書評レジュメを報告してもらい、Kさんの司会で議論を行いました。

  • 山岸智子「《うなじ》をめぐる政治的対立―イラン女子サッカーチームのユニフォーム問題について―」『スポーツ社会学研究』(2010, 18巻2号pp.53-66)
    (DOI  https://doi.org/10.5987/jjsss.18.2_53

論文中の「魂と肉体」については十分な説明がないのですが、論文抄録の内容から「健全な精神は健全な肉体に宿る」という(古代ローマの詩人の言葉に由来する)西洋の近代的なスポーツ観を指していると推測されます。これをイランの近代主義的知識人が国民の精神と国家に奉仕する肉体に読み替えたということです。具体的には学校の体育教育や女性のスポーツ活動に結実します。しかし、1978-79年のイラン革命の結果、スポーツにおける男女隔離の原則の公的実施が進みます。ただ、この原則は国外では通用しないので、女性選手の国外試合ではイスラーム法に適したユニフォーム着用という課題が生じ、これが国際的に競技を統括する組織(サッカーだとFIFA)との軋轢を生むことになります。イランにおけるイスラームとスポーツの問題ですが、インドネシアにおける問題を考える上でも十分に参考にできる理解をもつことができたと思います。

なお、FIFAの立場については、反イスラームと捉えるよりは、あらゆる宗教からの中立性の維持と捉えるべきだという意見がありました。

今回は、古代ギリシアに遡る西洋の「裸体主義」へのイスラームからの批判については議論する時間はありませんでしたが、また別の機会にできるとよいと思います。

次回は、Mさんに書評レジュメの報告をしてもらう予定です。

S__101482498.jpg

2018年11月21日

【一般】

2018年11月21日(水)~25日(日)に東京外国語大学の第96回外語祭が開催されます。インドネシア語専攻関係では、例年のように1年生は料理店、2年生は語劇、インドネシア舞踊部はインドネシア舞踊公演をおこないます。なお、場所・時間は変更される場合があるので、最新の情報にご注意ください。今年は、インドネシア語専攻2008年卒業の加藤ひろゆきさんの講演+Special Liveもあります。(更新:2018-11-22)

外語祭の詳細は外語祭公式サイトをご覧ください。


インドネシア語劇

2018年のインドネシア語劇のタイトルはPangeran dan Raja Hantu(パンゲラン・ダン・ラジャ・ハントゥ)「王子と幽霊の王」です。ジャワ島の民話で、王国の隠された秘密を探る旅に出た王子の冒険の物語です。ぜひご観覧ください。

・日時:2018年11月22日(木)10:00-10:50
・場所:アゴラ・グローバル内 プロメテウス・ホール
・詳細は外語祭の語劇プログラムをご覧ください。

最新の情報はインドネシア語劇 Twitterも参照してください。

Pangeran dan Raja Hantu

会場のアゴラグローバル入口 幽霊王の囚われた王子と姉たち 終幕の挨拶 両親にお別れの手紙を書く王子


インドネシア料理店

インドネシア料理店Masakan Indonesiaでは、定番のミー・ゴレン(炒飯)やサテ・アヤム(串焼鳥)、デザートのピサン・ゴレン(揚げバナナ)、インドネシア料理店に欠かせないビル・ビンタン(ビール)、新メニューのホワイト・コーヒーなどが揃っています。

・場所:円形広場17番ブース(正面入口から入ってすぐ左手)
・詳細は外語祭の料理店プログラムをご覧ください。

最新の情報はインドネシア料理店 Twitterも参照してください。


インドネシア舞踊

インドネシア舞踊部のインドネシア舞踊を見る機会は、研究講義棟104教室で毎日複数回行われる教室公演と11月22日に101教室で開催されるダンスフェスティバルへの出演があります。都合のつく日時を選んでご観覧ください。

教室公演 研究講義棟104教室 開始時刻10分前に開場 毎回30分程度 途中の出入り自由
・11月21日(水)13:00 15:00(2回)
・11月22日(木)15:00 17:00(2回)
・11月23日(金)10:30 12:30 15:00 17:00(4回)
・11月24日(土)10:30 12:30 15:00 17:00(4回)
・11月25日(日)11:30 15:00 17:00(3回)

ダンスフェスティバル 研究講義棟101教室
・11月22日(木)13:30~

最新の情報はインドネシア舞踊部のTwitterFacebookInstagramを参照してください。

indonesian dance 2018.png


講演+Special Live

今年の外語祭ではゲスト企画としてインドネシア語専攻2008年卒の加藤ひろあきさんの講演とライブがあります。加藤さんは歌手・俳優・翻訳家としてインドネシアの芸能界を拠点に大活躍中です。ぜひご観覧ください。

・テーマ「外国の芸能界から見た日本―外大での学びと今―」
・日時:2018年11月24日(土)13:00~14:30
・会場:研究講義棟1階101教室
・料金:Eチケ前売券・当日券 600円
・スペシャル・ライブも同時開催

外語祭加藤ひろあき講演会デジタルポスター.jpeg

2018年11月15日

【4年次対象ゼミ】

今週は、Rさんの卒論指導を行いました。卒論のテーマであるジャカルタの交通渋滞を緩和する方法を検討しました。交通渋滞を緩和するには、道路の整備と道路を利用する乗用車の数の減少の二つの方策が必要であること、後者はさらに車両の数を制限する方策と乗用車利用者を公共交通手段に誘導する方策の二つからなると結論づけました。公共交通手段としてはバス(トランスジャカルタを含む)、鉄道、地下鉄(2019年開通予定)などがあり、乗用車に対する公共交通手段の優位性を高めるための課題を検討しました。

次回は外語祭のため一回お休みです。再来週はMaさん、Toさん、Taさんの卒論指導を行う予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週は、Mさんに以下の文献の書評レジュメを報告してもらい、Kさんの司会で議論を行いました。

  • 岡本正明「民主化したインドネシアにおけるトランスジェンダーの組織化と政治化、そのポジティブなパラドックス」『イスラーム世界研究』(9巻, pp. 231-251、2016年)

インドネシアにおける男性からの女性のトランスジェンダーであるワリア(waria)の組織化と政治参加について分析した論文です。議論ではLGBTについて概観したあと、ワリアを肯定するイスラーム的言説(ディスコース)がナフダトゥル・ウラマのウラマーから出されたことに焦点をあてて、その意味について検討しました。聖典の「解釈」の位置づけを切り口にしてイスラームの基本的な理解をさらに深める必要が指摘されました。

イスラームの基本については、まずは以下の文献が読み始めるのがよいでしょう。

ナフダトゥル・ウラマに代表されるインドネシアのリベラル派イスラームの潮流については以下の文献が参考になります。

  • 青山亨「インドネシアにおけるリベラル派イスラームの新思潮―ウリル・アブシャル・アブダラのコンパス紙論説をめぐって」『東京外大東南アジア学』(9巻、pp. 24-41、2004年)

なお、論文にも出てきたジョグジャカルタは2006年に「ジョグジャカルタ原則」が採択された場所でもあり、LGBTの歴史とも縁のある都市です。

次回は外語祭があるので一回お休みです。再来週11月29日に、Hさんに書評レジュメを報告してもらう予定です。準備をお願いします。

S__100196357.jpg

2018年11月 8日

【4年次対象ゼミ】

今週は、MuさんとAさんの卒論指導を行いました。Muさんの卒論については、在日ムスリムの教育問題について聞き取り調査をすることになりました。Aさんの卒論は、「はじめに」と「インバウンド増大の現状とジャカルタ都市観光の現状」とを二つに分けることにしました。ジャカルタ都市観光については、コタのオランダ植民地時代の建築群、MRT建設にともなう都市観光計画、ジャカルタ周辺地域への周遊の可能性についてさらに調べることになりました。

次回は、KさんとRさんの卒論指導を行う予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週は、Kさんに以下の文献の書評レジュメを報告してもらい、Wさんの司会で議論を行いました。

インドネシアにおいて都市部に対して農村部に貧困世帯が多いのは教育格差と関連があることを実証的に明らかにした研究です。都市部における貧困と教育格差との関連や貧困削減のためにはどのような教育が必要なのかが、今後の卒論の課題となりそうです。

次回は、Mさんに書評レジュメを報告してもらう予定です。準備をお願いします。

20181108192849.jpg

2018年11月 1日

【4年次対象ゼミ】

今週は、TaさんとFさんの卒論指導を行いました。Fさんの卒業研究は、日本を訪れたインドネシア人の家族に日本の交通法規の基本や交通マナーを理解してもらう絵本を作るという方向でコンセプトが固まりました。Taさんの卒論は、清朝末期の華人の大量移住を現代の難民の問題と比較して考えるという方向性を確認しました。いずれも本国の保護が得られない移住者であった点で共通性があるという結論になりました。

次回は、MuさんとAさんの卒論指導を行う予定です。

【3年次対象ゼミ】

今週は、Wさんに以下の文献の書評レジュメを報告してもらい、Uさんの司会で議論を行いました。

二重国籍問題については、二重国籍が生じた要因としての血統主義と出生地主義についての議論が行われました。また、スハルト政権まではインドネシア国民(バンサ)を構成する民族(スク)として華人が認められていなかったのに対して、スハルト政権後にはインドネシア国民を構成する民族として華人が認められた点が重要であることを確認しました。

次回は、Kさんに書評レジュメを報告してもらう予定です。準備をお願いします。

          

カテゴリー

過去のお知らせの記録

新規エントリーの投稿
[権限をもつユーザのみ]