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2006年12月19日

【2006年度の記録】

2006年12月19日は火曜日ですが、金曜日の授業の振り替えとなっています。したがって、したがって、今年最後の火曜日の授業は12月12日、今年最後の金曜日の授業は12月19日となります。注意してください。

【インドネシア語読解】

12月19日(火)は金曜日の振り替え授業の日だったのですが、教務課に依頼した掲示に間違いあったために、出席者がなく、自然休講となりました。冬休みの宿題として用意していたテキストは、年明けに宿題として出すことにします。

振り替え授業があることは学生便覧に出ているのですが、あらかじめ授業時間中にももっと告知しておくべきだったと反省しています。

ともあれ、Selamat Tahun Baru(よい新年を)。

2006年12月18日

【ジャワ文化概説】

12月19日の授業では、Peter Brookの1989年の映画Tha Mahabharataの前半を見てもらいました。これはピーター・ブルックが演劇として上演したものを映画化した作品です。多国籍キャストによるシンプルな様式で、「人類の偉大な物語」を描ききっています。続きは来年の1月12日に見ます。

今日の授業で冬休みの宿題(課題1)を出しました。課題を読んでレポートを作成し、1月26日(金)の授業時間中に提出してください。


【課題1】添付されている『宝物集』巻5からの抜粋を読み、物語の粗筋をまとめたうえで、『宝物集』の物語とその典拠となっている『ラーマーヤナ』との相違点をまとめなさい。

■テキストのダウンロード 『宝物集』巻5からの抜粋 (800KB、PDFファイル)


2006年12月17日

【一般】

12月16日に開催された東南アジア学会関東部会12月例会で、「歴史的視点から見た東南アジアと文明世界」というテーマで報告しました。比較文明学会との合同開催だったので、盛況でした。

プログラムの詳細は東南アジア学会ウェブサイトの案内をご覧ください。

《東南アジア学会関東部会12月例会》
日時: 12月16日(土)午後1時30分より
会場: 東京大学 赤門総合研究棟 8階 849号教室
総合テーマ:文明から見た東南アジア・東南アジアから見た文明
報告者:
染谷臣道(国際基督教大学教授、比較文明学会会長)
「諸文明が創出したジャワ心学(Kawruh Jiwa)という叡智」
青山亨(東京外国語大学教授)
「歴史的視点から見た東南アジアと文明世界」

2006年12月16日

【一般】

12月16日(土)と17日(日)に東京外国語大学研究講義棟115において国際シンポジウムアジア・アフリカ史資料学の現在と地域文化研究が開催されました。

青山は16日の第1セッション(10:10-11:50am)で「アチェ文化財復興支援室の活動について」の題目で報告をおこないました。

プログラムの詳細は21世紀COEプログラム「史資料ハブ地域文化研究拠点」のお知らせをご覧ください。

2006年12月15日

【ジャワ文化概説】

今日は、マハーバーラタの物語の続きを説明しました。また、マハーバーラタの登場人物の名称のサンスクリットでの読み方と現代ジャワ語での読み方の比較をおこないました。ジャワ語のマハーバーラタには、サンスクリットのマハーバーラタには見られない登場人物があります。女性戦士スリカンディや、4人の召使いであるパナカワンたちなどが代表的な例です。

そのあと、ビデオでワヤン・クリによる「アルジュナの婚礼」の上演を紹介しました。これは、マハーバーラタの第3編「森林編」の中にある短いエピソードを一つの物語として独立させたジャワ独特の物語です。

来週は、12月19日に金曜日の授業の振り替え授業があります。

【インドネシア語読解】

今日は、BBCのニュース「一夫多妻制の議論」の報告が長かったので、テキストの方は一人分しか進みませんでした。

来週は、12月19日に金曜日の授業の振り替え授業があります。p.18の第2パラグラフから始めます。

【2006年度の記録】

最近のBBC Indonesia.comのニュースからKontroversi poligami di Indonesia (2006年12月6日)を、読解授業を受けている2年生が翻訳したものです(一部手を加えてあります)。

インドネシアにおける一夫多妻制の議論

インドネシア政府は、現在は文民国家職員によってのみ行われている二人以上の妻を持つことを禁止する規則を改訂しようとしている。

この改正は、一夫多妻制の条件を厳重にし、適用の条件を拡大することになる。

この計画は、有名なイスラム教師の2度目の結婚の議論が起こった後で政府によって公表された。

しかし、Sigit PurnomoというBBC記者によって報告されたように、この計画は社会集団で賛否両論を得ている。

以下がBBCによってインタビューされたジャカルタにおけるいくつかの社会集団の意見である。

「私は政府の規則に賛成しません。なぜならば全ての人はそれぞれの自由を持っているからです。不貞になるよりは、一夫多妻をする方がいい。」とある男性は言った。

「それぞれの個人に任せます。その家族の中では、ただ彼らとアッラーのみが知っているのです。この事実から含意されることは、イスラムの知識をもつ者はその意味を明らかにしなければならない。言葉を換えれば、使徒ムハンマド以外には、私の見解によれば、この世界に能力のある者はいない。」とある女性は言った。

「私は一夫多妻制に反対です。どこに一夫多妻の妻の一人にされたい女性がいるのでしょう。どこに第二夫人になりたい女性がいるのでしょう。」と違う女性は付け加えた。

社会の見解は、その政府の計画に対しての一夫多妻制についての議論を表している。

この討論は、しばらく前に、著名な宗教人が再婚したり、ある国民議会議員を巻き込んだセックス・ビデオのスキャンダルが出た後再び跳ね上がった。

その結果、政府は結婚についての政府の規則の改正の必要を感じた。

Nasaruddinn Umurという宗教省のイスラム社会育成局長は、その規則改正はただ一夫多妻制の条件を厳重にするだけだと言った。

Nazaruddin Umurはまた国民に一夫多妻制を合法化するために宗教立証を用いないように要求した。

「おそらく地方の高官がジャカルタへ行けば、途端に不貞を働き、結婚してしまうだろう。結婚はこのように簡単にできるのだ。さあ、妻はどうなる、後に残った子供たちの運命は?」

「もしこのようなことが規制されなかったら、‘我々は将来よい世代を創りあげなければならない’と書かれたコーランによって(あってはならないと)念押しされている問題を引き起こすことになるだろう。コーランの節にあったでしょう?」 とナサルディンは付け加えた。

「よって、一夫多妻に付随する規則の考案と議論は非常に長引いている。一夫多妻に便宜を与える法典が存在しないのだ。それがあれば一夫多妻の条件をみつけることができるのだが。」一夫多妻が完全に禁止されることはないだろうと述べるナサルディンは、さらにそう付け加えた。

「一夫多妻の条件を満たすことのできる者なら(複数の妻を持っても)よいだろう。その条件も、守らなかった場合に禁固刑や罰金が課されるものでは厳しすぎる。」とナサルディンはのべた。

不貞と一夫多妻の違い

一方で、福祉正義党の国民議会メンバーであるアル・ムザミル・ユスフ氏は、一夫多多妻はイスラムの中では許されるという見解を持っている。

そしてムザミル・ユスフ氏は、政府規制の改訂によりかえって不貞が助長されることを懸念している。

「一夫多妻は義務ではない。しかし許される。つまり、妻が複数いなければいけないわけではないが、いても構わない。しかし、公正という前提条件がある。この公正さを我々ははっきりと表明しなければならない。」

「女性の権利が注目されている社会の文脈の中に公正さが存在するが、これが不貞の[議論の]域にまで踏み込んでしまってはならない。」とユスフ氏は述べた。

これまで一夫多妻は、夫が妻から同意を得て妻子の生活を保証する能力がある場合に、宗教裁判所の許可を得て可能となった。

しかし、婚姻を規制する1990年政府規定第45条では、文民公務員の一夫多妻禁止についてしか述べられていない。

規定の改訂は、後に国民議会議員を含む政府高官や地元有力者に対し、二人以上の妻帯ができないよう規制する予定である。

【ポイント】
1. pegawai negeri sipil このsipilは民間ではなく、軍人ではなく文民の」という意味です。この語句は「文民国家公務員」という意味です。
2. dikemukakan「前に出された>公表された」
3. Nanti daripada zina, lebih bagus kita poligami. nantiの基本的意味は「あとで」という意味ですが、この例文のように「このようなことがあっては困るという事態を予想する」場合に使われることがあります。例文は「不貞になるよりは、一夫多妻をした方がいい。」という意味です。
4. Direktur Jenderal jenderalは英語のgeneralに相当します。語句は「局長、長官」という意味です。
5. Rasullulah 「使徒」の意。預言者(nabi)が神の言葉を預かるだけなのに対して、使徒は積極的に神の言葉を他の人々に伝えようとする人のことです。

2006年12月14日

【4年次対象ゼミ】

今日のゼミは、冬休み前卒論・卒研最終報告会の第2回として、5名の報告がありました。4名が卒論、1名が卒研です。卒論の原稿がまだ最後までできあがっていない人は、冬休みに全力投球でがんばってください。行き詰まりがあれば、他のゼミ生や指導教員に相談してください。

他の人も、原稿の部分がある程度できあがったら時点ごとに、メールで指導教員に送って、コメントを求めてください。

今日は、ゼミのあとで忘年会です。

次回は1月11日で、全員集合です。卒論・卒研の提出前後に、1)著作権移譲の許諾書の提出、2)卒論・卒研の要旨の提出、3)卒論・卒研発表会の開催をお願いする予定です。

以下、今日のポイントです。

1. 本文の中での参照文献の指示は、以下の形式にしたがってください。

1) ロンボク島の観光開発にはバリ島とちがう傾向が見られる[山田太朗 2004]。
2) 山田[2004]によれば、ホロホロ島の観光開発にはハラハラ島とはちがう傾向が見られる。
3) 最近の研究によれば、ホロホロ島の観光開発にはハラハラ島とは以下の3点でちがう傾向が見られるという[赤石次郎 2006; 山田太朗 2004]。

2. 図や表などがたくさんある場合は、巻末の付録にまとめてもかまいません。論文の全体の構成は以下のようになります。

FONT MATTER 扉・目次
BODY 本文(複数の章に分かれます)
BACK MATTER 付録・注・参考文献目録

3. 図や表を使う場合には、必ず本文の中で参照するようにしてください。たとえば、

1) ホロホロ島への観光客の数は過去10年間に倍増した(表3参照)。
2) 図5で示したように、カピカピ山の周辺には5つの宗教的施設が分布している。

【4年次対象ゼミ】

メーリングリストでもお知らせしたように、12月14日のゼミは、通常の4限(午後2時50分から)ではなく、午後5時からの開始になります。ご注意ください。冬休み前の最後の報告会になるので、卒論・卒研はできるだけ完成に近い状態に仕上げておいてください。ゼミのあとは忘年会の予定です。

2006年12月13日

【2006年度の記録】

東南アジア課程所属学生向け来年度授業計画の説明会を以下の要領で開催します。東南アジア課程の1年生から3年生はぜひ参加してください。

非常勤講師コマの削減にともなう履修可能コマの減少に対して、東南アジア課程としてどのように対応するかを説明します。

 日時:2006年12月13日(水)午後3時(約45分ほど)
 場所:227教室
 対象:東南アジア課程に所属する1年生、2年生、3年生
 内容:
 1)東南アジア課程地域専門科目の来年度の授業計画について―変更点とその狙い―
 2)質疑応答

2006年12月12日

【3年次対象ゼミ】

今日は今年最後のゼミとなります。皆さんには冬季休業前の中間報告として、卒論・卒研の目次ないしは構成、要旨、参考文献をまとめたものを提出してもらいました。テーマとしては次のようなさまざまなものが揃いました。*印のあるものは、卒研による提出を予定しているものです。

Transition of Chinese media in Indoensia
現代における巡礼
インドネシアにおける宗教教育
ガムランの日本への影響
文様に表れるジャワの歴史・文化*
ジョグジャカルタの舞踊における癒しの効果*
バリ・ヒンドゥーの方角における色の象徴
インドネシアにおけるイスラームの受容と地域の伝統的概念の融合
インドネシアの女性労働者
インドネシア人の名前の名付け方
割礼と女性性器切除(FGM)
今回の中間発表でこれまで予定してきた研究テーマから大きく変更した人もいます。この時点での研究テーマの変更にはリスクを伴いますが、興味のないテーマでだらだらと進めるよりは、いさぎよく早めに軌道修正した方がよいと思います。大切なことは、自分の心の情熱に炎を燃やすことができるテーマを見つけることです。テーマを変更した人は、冬休みの間に新しい研究計画を立ててきてください。

それ以外の人たちは、冬休みの間に、卒論・卒研の中のある部分(どこでもいいですが、「はじめに」あたりが無難でしょう)を書いてきて、休み明けに提出してください。できるだけ、本番で出してもいいつもりの完成した文章を出してください。これは、内容を見ることを目的とするのではなく、皆さんの文章の書き方をチェックし、必要ならば修正すべきポイントをアドバイスすることを目的としています。

次回は1月16日です。それではよい新年を迎えてください。

【地域基礎】

今週は「パプアニューギニアの社会と文化」と「華人アイデンティティ」の報告をしてもらいました。夏休みの課題として今回のレポートの作成を指示したときに、選択できるテーマの一つとして出したのが「トラジャまたはパプアの社会と文化のいずれか」というものでした。実は、このパプアはニューギニア島西部のパプア州のつもりでだったのですが、今回の報告者は、パプアニューギニアのこととして報告されました。誤解を防ぐためにも、課題テーマの発表時には、ニューギニア島西部のパプアと書いておくべきだったと反省しています。

この地域は、スハルト時代にはイリアンジャヤ州と呼ばれていましたが、2002年にパプア州に改称し、さらに2003年には、最西部を西イリアンジャヤ州が分離しました。したがって、ニューギニア島のインドネシア側の部分については、正式には西イリアンジャヤ州およびパプア州と書かなければなりません。[ウィキペディア「パプア州」の項目を参照]

いずれにせよ、今回の報告は2人ともしっかりとした調査に基づいた、中身のある報告だったと思います。

今年の授業は今日が最後です。次回は、1月16日に「インドネシアの経済」と「日本の対インドネシアODA援助」についての報告を予定しています。

冬休み中の宿題があります。インドネシアに関連する本を一冊読んで、そのレジュメをA4判1枚にまとめて、1月16日に提出してください。それでは、良い新年を迎えてください。

以下、今週の報告に関連するポイントです。

パプアニューギニアの嗜好品としてベテル・チューイングがあげられています。チューイング・ガムのようにベテルの実をかむことをいいます。これはパプアニューギニア独特の嗜好品というわけではなく、インドネシアでもかつては広く行われていましたし、太平洋地域では現在でも人気のある嗜好品です。

ヤシ科のビンロウの実(英語でベテル)を石灰などともにコショウ科のキンマの葉で包んで口に入れ、口の中でくちゃくちゃと噛みます。噛んでいると顔のまわりがホカホカとして高揚感が出てきます。噛んだ後は吐き出すのですが、赤い色になっていて、ちょっと見たところは血のようです。

夏休み前に出した課題は「インドネシアの華人」というものでしたが、報告は「華人アイデンティティ」というより広がりのあるテーマにになりました。このように、自分でテーマを掘り下げていくのはとてもよいことです。

中国人の海外流出の歴史はきわめて長いので、それぞれの時代的段階で状況は異なっています。今回の報告では、この部分がさらっと触れられていましたが、今後はもっと深く調べてみるとよいと思います。

たとえば、明朝時代の鄭和の南海遠征を「民間友好活動」として述べていますが、これは明帝国の国家事業であったと考える方が適切だと思います。また、植民地期の中国人コミュニティ形成の要因については、中国人同士の相互扶助の側面だけではなく、植民地支配者側の政策についても考えてみる必要があると思います。

2006年12月11日

【インドネシア語読解】

今週のBBCのニュースは、A班によるバンダ・アチェを訪問したクリントン前アメリカ大統領の話でした。来週はB班に準備をお願いします。

引き続いて、小テストを行いました。読解テキストの第1章から2個所取り出し、日本語への翻訳をしてもらいました。結果は近く公表します。

テキストの方は、p.18の第1行まで進みました。来週は続きの文から始めます。

今週の授業のポイントを以下にまとめておきます。

1. 「性格」を意味するsifatsipatは同じ語です。アラビア語のsifatに由来しますが、もともとマレー語にはfの音が無かったので、pの音に変わったのがsipatです。しかし、現在ではsifatの方が一般的です。テキストでは、sifatとsipatの両方が同じページで使われており、興味をひきます。このように、アラビア語起源の単語の場合、fとpが交代する場合があるので、覚えておくとよいでしょう。

2.17ページの文の構造について説明をしておきます。
Yang dimaksud oleh Ruth Bennedict 「ルース・ベネディクトが意図したこととは」
ialah [英語のbe動詞に相当]
kenyataan 「(...という)事実である」
■bahwa [英語の接続詞thatに相当する]
■■orang Barat 「西洋人は」[bahwa節内の主語です]
■■(sebelum melakukan sesuatu)「何かをする前に」[副詞節です]
■■mempertimbangkan maslah-masalah moral 「道徳的な諸問題を考慮する」
■■←seperti yang diajarkan oleh agama misalnya 「たとえば宗教によって教えられているような」[masalah-masalah moralを修飾する形容詞句です]
長い文でも、構造を見きわめていくと、けっして難しくはありません。

2006年12月 8日

【2006年度の記録】

最近のBBC Indonesia.comのニュースからBill Clinton di Banda Aceh(2006年12月2日)を読解授業を受けている2年生が翻訳したものです(一部手を加えてあります)。

前アメリカ合衆国大統領、ビル・クリントンは12月2日、津波支援のための国連特別大使としてアチェを訪れた。

アチェ・ブサルのルン・ラヤ避難民キャンプで被災者を収容する仮設住宅を視察した際、クリントンは住民達の暖かい歓迎を受けた。

クリントンはまた、アチェの住宅再建の遅れに対し憂慮を表した、とAFP通信社は伝えた。

津波支援に関する国連特別大使としての仕事を終えるクリントンは、住む場所を失った住民の三分の一がようやく恒久的な住宅に再めるようになった、と述べた。

現地政府と国際社会は、ただちにこの状況を改善すべきであると述べた。

クリントンのアチェへの来訪は、津波の災害にあった国々への一連の来訪である。クリントンはアチェを訪れる前にインドとタイへ行った。

2004年12月26日、津波がインド洋のいくつかの地域を襲って、総計22万名に達すると推定される犠牲者が出た。

【ポイント】
訳文で「住宅再建」と訳してあるところは、原文ではpembangunan kembaliとなっています。このように名詞+kembaliまたは動詞+kembaliの表現は、しばしば英語のre-に対応すると覚えておくと便利です。この例では、pembangunan kembalireconstructionに対応しています。

【ジャワ文化概説】

今日から、マハーバーラタの説明に入りました。まず主要な登場人物の関係を示したあと、物語の粗筋の説明にはいり、第3編「森林編」が終わるところまで進みました。来週は、第4編の説明から始めます。

マハーバーラタは、物語の基本的な筋(幹の部分)よりもそこから分かれたエピソード(枝葉の部分)の方に面白さの秘密があります。粗筋はあくまでも基本的部分にすぎない点を含んだうえで、講義を聴いてください。

【4年次対象ゼミ】

今日のゼミは、冬休み前卒論・卒研最終報告会の第1回として、5名の報告がありました。そのうち卒研の3名の分がいずれもDVDを使った映像記録を含んでいたのは、新しい傾向のように感じました。ただ、映像記録の編集にはいろいろノウハウが必要なので、限られた時間内で完成するように計画を立てておくことが必要となります。

報告会のあと、希望者を対象に、ワードの使い方、とくにタブとインデントの使い方について説明をおこないました。

来週は、冬休み前卒論・卒研最終報告会の第2回です。開始時間は、予定を繰り下げて午後5時からになります。

以下、今週のポイントです。

1. 文の照応 卒論・卒研のようなフォーマルな文章では、とくに照応ということが大事です。たとえば、「第一に、...」と書き始めた文は「...ということである。」、「...である。」、「...したという点である。」という風に体言で結ぶ必要があります。

2. 表記の整合性 卒論・卒研のようなフォーマルな文章では、表記の整合性に気をつける必要があります。たとえば、月の表記を「5月」と書いたり「五月」と書いたり統一が取れていない文章は、表記の整合性に欠けています。横書きの場合は、アラビア数字(「5月」)に統一した方がよいでしょう。地名でも「スラカルタ」と「ソロ」をいつまでも混ぜて書くのは望ましくありません。「スラカルタ」で統一するのであれば、最初に「スラカルタ(ソロ)」と書いて、あとは「スラカルタ」で統一するようにしましょう。

3. 一つのパラグラフには一つの大きなアイデア、一つのセンテンスには一つの具体的なアイデアをいれるようにしましょう。文章の意味がすっきりしないときには、パラグラフの内容を整理したり、センテンスを二つに分けてみることを検討するとよいと思います。

4. 卒論・卒研は、最終的には、それでもって読み手に何を伝えたいのか、という書き手のメッセージが大切です。何を伝えたいのか、がはっきりすれば、文章の中に何を盛り込んだらよいのかもはっきりしてきます。

2006年12月 6日

【一般】

スシロ・バンバン・ユドヨノ・インドネシア大統領が2006年11月26日から29日まで国賓として来日しました。安倍総理大臣と会談をおこない、共同声明を発表しました。詳しくは外務省のウェブ・ページに掲載されています。

2006年12月 5日

【地域基礎】

今週は、まず「バリ島の社会と文化」について残っていた質問に対する回答をしてもらいました。バリ島でジャワが舞台になったパンジ物語に人気があるのはどうしてかという質問でした。これは、14世紀以降、バリがジャワの文化的・政治的勢力圏の中に入ったことが理由となります。そのあと、「アチェの社会と文化」と「ミナンカバウの社会と文化」の報告をおこなってもらいました。授業アンケートがあったので時間が10分ほど短くなってしまいました。

来週は「パプアニューギニアの社会と文化」と「華人アイデンティティ」の報告を予定しています。

以下、今週の報告に関連するポイントです。

アチェの報告で、masjidを「イスラーム寺院」と訳していますが、仏教の寺院のように中に崇拝の対象を祀っているわけではないので、「マスジッド」または「モスク」としておいた方がよいと思います。

アチェについては、バイトゥルラーマン・モスクがオランダによっていつ建立されたのか、インドネシア政府と自由アチェ運動との和平交渉がなぜフィンランドで開かれたのかを調べてくるのが宿題となりました。

アチェについての報告は幅広く調べていますが、自分が調べた情報の内容はよく吟味しておく必要があると思います。たとえば、資料Aと資料Bの内容が矛盾しているようなときは、(どちらかが単純に間違っているのでなければ)それぞれ何を根拠として違った記述がなされているかを考える必要があります。

ミナンカバウについての報告はよくまとまっていましたが、誤字が多いのに注意です。「南東語族」は「南島語族」、「バドリ運動」は「パドリ運動」、「妻門婚」は「妻問婚(つまどいこん)」の誤りです。また、スマトラを指すというサンスクリットAvarnadvipaSuvarnadvipaの誤りと思われます。

ミナンカバウ族は世界的にも有名な母系社会で、いろいろと興味深い特徴をもっています。パダン料理の名前で知られるミナンカバウの料理がインドネシア中に広まったのも、財産を相続できない男たちが故郷を離れて出稼ぎにでるためです。

【3年次対象ゼミ】

先週に引き続き、青山の論文(青山 亨 「インドネシアにおけるリベラル派イスラームの新思潮―ウリル・アブシャル・アブダラのコンパス紙論説をめぐって―」『東京外大東南アジア学』 9:24-41, 2004.)の第4節のレジュメを報告してもらいました。第3節は報告者が欠席だったので、次回に回します。

次週は、中間報告会です。各自、卒論・卒研の基本的構成(目次)、内容の要旨、参考文献目録をまとめて作成して、前日までにゼミ・メーリングリストで流してください。流れた分は人数分用意しておきます。まにあわなかった人は、当日人数分のコピーを用意してもってきてください。

以下、第4節のポイントです。

第4節に、ファトワーという用語が出てきますが、これは、『岩波イスラーム辞典』によると「法学者が一般信徒の質問に対して、口頭または書面で提示する法学的な回答」のことです。ファトワーは法学者の資格をもつものであれば誰でも出すことができますから、法学者によって異なった結論になることもありますし、法律のような強制力をもつものではありません。ファトワーを出したウラマーたちが警察に告発したのは、神への冒涜を禁じる法律に対する違反行為があったという彼らの判断に基づくものです。もし警察が取り調べ、違反行為があったとなれば、容疑者は逮捕され裁判にかけられたうえで、有罪なら刑を受けることになります。このように、インドネシアではイスラーム法にもとづくファトワーによる罪と法律上の犯罪とは別物です。

近代のイスラーム改革派は、スーフィズム(神秘主義)に対しては迷信として、ウラマーたちに対しては保守的として反対し、クルアーンとハディースの戻ることを主張しました。そのなかから、人間の理性の神のまえでの無力を前提として、聖典の字義通りの理解を主張した人々が原理主義的イスラームとなり、人間の理性の力を信じて、聖典の文脈にしたがった解釈を主張した人々が近代主義的イスラームとなったと言ってよいでしょう。この理性と信仰をめぐる問題は、ローマ教皇ベネディクト16世の発言が引き起こした議論(「インドネシアの神・神々・カミ」に対する質問・コメントへの回答4を参照)にも関係する、奥の深い問題です。


2006年12月 1日

【ジャワ文化概説】

今週はラーマーヤナについての講義の最終回です。ラーマーヤナの登場人物の名前のサンスクリット、現代ジャワ語、タイ語の対照表を使って、名前の違いと共通性を確認しました。

引き続いて、タイの宮廷舞踊コーンによるラーマキエンの上演をビデオで鑑賞しました。今回、鑑賞したラーマキエンは、ラーマとトッサカン(ラーヴァナのこと)との決戦の場面が描かれています。シータが出てこないこと、ラーマが勝利したあと車に乗ってアヨーディヤーへ凱旋することなどが特徴的です。

続いて、ジャワにおけるラーマーヤナの受容と変化を「古典的」ラーマ物語と「近世的」ラーマ物語をキーワードにして読み解きました。とくに「近世的」ラーマ物語には、1)イスラームの世界観の枠組みの中にあること、2)ラーヴァナの物語が物語全体の初めに出てくること、3)シータがラーマの妹であり、かつ、ラーヴァナの娘であるとか、ハヌマーンがラーマの息子といった複雑な関係をもつこと、に特徴があります。

来週から、ラーマーヤナに並ぶもうひとつのヒンドゥー叙事詩であるマハーバーラタについての講義になります。配付資料にいれたマハーバーラタの登場人物一覧とあらすじをよく読んで、自分なりに整理をしておいてください。

【インドネシア語読解】

外語祭が終わって最初の授業でした。2年生の皆さんは語劇の上演、お疲れさまでした。大変に好評だったと聞いています。

今週は、BBCのニュースのレポートが出ていなかったので、青山が用意したニュース(インドネシア政府のHIV/AIDS対策は不十分)を読みました。来週はA班の人に準備をお願いします。

テキストの方は、第2章Rasa Maluに入って、p.16の第2パラグラフまで進みました。第2パラグラフの説明が途中で終わったので、来週はここからはじめます。

来週は、第1章を対象にした小テストをします。復習をちゃんとしてきてください。

今週の授業のポイントを以下にまとめておきます。

1. 感情を示す形容詞を使う場合、感情の原因を示すために、「~なので」とか「~をしたとき」といった接続詞をともなうことがしばしばあります。テキストでは次の構文が使われています。

Mereka merasa heran ketika melihat ...
彼らは...を見て驚いた。
この文のketikaは、「~したとき驚いた」と訳す必要はなく「~て驚いた」と訳すだけで十分です。

2. mengepelの基語はpelです。1音節の基語には、このように語としてのまとまりをつくるためにkeをつけることがあります。

3. bukan (saja) A, melainkan (juga) Bは、すでに出てきましたが、英語のnot only A but also Bに相当する強調の構文ですね。

4. sejalan denganという構文にはsejalanという語が使われています。sejalanに使われている接頭辞seには、1)ひとつ、2)同じ、3)すべてといった意味があります。ここでは「同じ」という意味で理解しましょう。つまり「~と同じ道」という意味です。ここから、「~に通じる」とか「~に則って」といった訳をつけることができます。

Gejala itu sejalan dengan orang Jepang sendiri.
この現象には日本人自身に通じるところがある。

          

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