12月12日 【地域基礎の授業】
【地域基礎】
今週は「パプアニューギニアの社会と文化」と「華人アイデンティティ」の報告をしてもらいました。夏休みの課題として今回のレポートの作成を指示したときに、選択できるテーマの一つとして出したのが「トラジャまたはパプアの社会と文化のいずれか」というものでした。実は、このパプアはニューギニア島西部のパプア州のつもりでだったのですが、今回の報告者は、パプアニューギニアのこととして報告されました。誤解を防ぐためにも、課題テーマの発表時には、ニューギニア島西部のパプアと書いておくべきだったと反省しています。
この地域は、スハルト時代にはイリアンジャヤ州と呼ばれていましたが、2002年にパプア州に改称し、さらに2003年には、最西部を西イリアンジャヤ州が分離しました。したがって、ニューギニア島のインドネシア側の部分については、正式には西イリアンジャヤ州およびパプア州と書かなければなりません。[ウィキペディア「パプア州」の項目を参照]
いずれにせよ、今回の報告は2人ともしっかりとした調査に基づいた、中身のある報告だったと思います。
今年の授業は今日が最後です。次回は、1月16日に「インドネシアの経済」と「日本の対インドネシアODA援助」についての報告を予定しています。
冬休み中の宿題があります。インドネシアに関連する本を一冊読んで、そのレジュメをA4判1枚にまとめて、1月16日に提出してください。それでは、良い新年を迎えてください。
以下、今週の報告に関連するポイントです。
パプアニューギニアの嗜好品としてベテル・チューイングがあげられています。チューイング・ガムのようにベテルの実をかむことをいいます。これはパプアニューギニア独特の嗜好品というわけではなく、インドネシアでもかつては広く行われていましたし、太平洋地域では現在でも人気のある嗜好品です。
ヤシ科のビンロウの実(英語でベテル)を石灰などともにコショウ科のキンマの葉で包んで口に入れ、口の中でくちゃくちゃと噛みます。噛んでいると顔のまわりがホカホカとして高揚感が出てきます。噛んだ後は吐き出すのですが、赤い色になっていて、ちょっと見たところは血のようです。
夏休み前に出した課題は「インドネシアの華人」というものでしたが、報告は「華人アイデンティティ」というより広がりのあるテーマにになりました。このように、自分でテーマを掘り下げていくのはとてもよいことです。
中国人の海外流出の歴史はきわめて長いので、それぞれの時代的段階で状況は異なっています。今回の報告では、この部分がさらっと触れられていましたが、今後はもっと深く調べてみるとよいと思います。
たとえば、明朝時代の鄭和の南海遠征を「民間友好活動」として述べていますが、これは明帝国の国家事業であったと考える方が適切だと思います。また、植民地期の中国人コミュニティ形成の要因については、中国人同士の相互扶助の側面だけではなく、植民地支配者側の政策についても考えてみる必要があると思います。