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2020年11月30日

【大学院】

This week, we discuss the characteristics of the Jataka stories before observing some Jataka reliefs in Borobudur. In particular, we chose the Sasa-Jataka (Rabbit Jataka), a story of self-sacrifice for the benefit of others, and how the story spread to Japan as an episode in the Konjaku Monogatari. Finally, we discuss the episode of 捨身飼虎, bodhisattva giving up his own body to feed a tigress and cubs as depicted in the Tamamushi Shrine in the Horyuji temple.

Next week, we will discuss Borobudur's mandala arrangement of the Buddha statues and the Buddhist view of the world.

2020年11月26日

【4年次対象ゼミ】

今週は、IAさんに、「日本での経験は研修/就労終了後も活かされているのか(介護職)」というタイトルで、卒論の構成について報告してもらいました。

現在、日本では、インドネシアからの人材を含めて、外国人介護人材の受入れにあたっては、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、在留資格「技能実習」、在留資格「特定技能」という4つの制度が運用されています。このように複雑な仕組みになっているのは、その時々の政策や状況の変化にあわせてその場しのぎの対応が続いてきた結果と言えます。当然、そのしわ寄せが当事者である外国人に負わされてきました。このような観点から見ると、きわめて意義のあるテーマだと思います。

この分野では最近、以下の文献が出版されており参考になります。

現在も流動的な分野であるので、取り組みが難しいところがありますが、特定技能まで視野にいれた聞き取りを行うことで、独自の視点が盛り込める可能性が指摘されました。

ゼミでは、引用の仕方などのテクニカルな問題についても話し合うことができました。

次回は、HKさんの報告を予定しています。

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続いてNHさんに『イスラームとは何か』の書評レジュメを報告してもらいました。

発表の主なポイントは、神からムハンマドに下された啓示であるクルアーンと、預言者ムハンマドの真正な言行録とされるハディースの二つが基本的な聖典であること、19世紀以降、西欧植民支配が広がるなかでムスリムの間に、イスラームにとって危機の時代にあるという意識が生まれたことでした。

クルアーンのアラビア語韻文としての美しさが称賛されることから、キリスト教と比べてイスラームでは口承性が優位と言える可能性があること、危機の時代という意識から近代的なイスラーム改革運動が生まれたことなど、密度の濃い議論ができたと思います。

次回はOYさんの報告を予定しています。

2020年11月23日

【一般】

2020年11月19日(木)~23日(月・祝)に東京外国語大学の第98回外語祭が開催されます。今年はコロナ禍にあって初めてのオンライン外語祭となります。今後の予定については第98回外語祭公式サイトをご覧ください。

語劇は、Bawang Merah dan Bawang Putih ~2020ver~を上演します。これは2011年の第89回外語祭で上演された演目の2020年バージョンになります。無観客上演を撮影したものを外語祭期間中に動画配信する予定です。多くの方々にご覧いただければ幸いです。

2020年11月16日

【大学院】

This week, we looked into the reliefs of the life story of the Buddha in Borobudur, the magnificent Buddhist monument built in the 9th century in Central Java.

We found the video clip "Borobudur: Relief Scenes from the Life of the Buddha" particularly informative and useful.

Although Borobudur was built according to Mahayana Buddhism, there is no essential difference between the depictions of Buddha's life story in the Borobudur reliefs and in the early 19th century Burmese paintings from Theravada Buddhist tradition. Borobudur represents multiple stages of the development of Buddhism; It shows the life story of the Buddha suitable for both Theravada and Mahayana Buddhists, then it also shows the reliefs specifically intended for Mahayana Buddhists and the arrangement of the Buddha statues in the form of a mandala, only intended for Tantric Buddhists.

Next week, we will look into some of the Jataka stories in Borobudur reliefs and then Borobudur's mandala arrangement of the Buddha statues.

2020年11月12日

【4年次対象ゼミ】

今週は、KMさんに「インドネシアにおける地震・津波から考える防災の在り方」というタイトルで卒論の章立ての報告をしてもらいました。

包括的なアプローチをしており情報が多様で豊富な反面、卒論としてのまとまりが弱い点が指摘されました。全体として、共助(地域、コミュニティー内の相互協力)の観点でまとめることで、筋の通った卒論になるだろうと指摘しました。また、議論では、行政の制度面(ハード面)を扱う部分に続けて、防災教育のプログラムについての記述を加えることで、最後の、住民の防災意識(ソフト面)を扱う部分にうまく繋ぐとよいという指摘がありました。

次週は外語祭のため休講です。次回11月26日には、IAさんに報告をしてもらいます。

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続き、映像資料「発掘 幻の国策映画 日本軍政下のジャワ」(NHK総合、1989年、44分)を見ながら議論を行いました。今週見た部分ではブリタル蜂起と独立準備委員会の設置指示が描かれていました。議論を通じて、日本ではほとんど知られていないインドネシア軍政期の実態について、インドネシアからの視点で見ることの重要性を深く理解することができました。

このあと、NHさんに以下の文献についての書評レジュメを報告してもらいました。

今週は、残念ながら第1章までの報告をする時間しかなかったので、残りは次回に行ってもらうことにしました。なお、次週は外語祭のため休講なので、次回は11月26日になります。

2020年11月11日

【一般】

国際ウェビナー"The Vibration of Majapahit"がウダヤナ大学文学部考古学科とARSARIジョヨハディクスモ財団の共催で2020年11月11日(水)に開催されます。青山も午後のセッション2: Redefine Our Heritage Sites among Priority of Concernsにおいて、The Sutasoma Kakawin in the context of Majapahitというタイトルで報告します。

セッション2の開催時刻は13:45-16:00 (WIB, UTC+7=15:45-18:00 JST)です。青山の報告は14:30頃から20分を予定しています。報告は英語またはインドネシア語で、両言語による同時通訳が付きます。

Session 2, International Webinar

2020年11月 9日

【大学院】

This week, we continued to follow the life of the Buddha, as depicted in a Burmese illustrated manuscript.

Some of the highlights include:

  • Siddhartha's discovery of the state of meditation in an early childhood
  • Four sights of a sick person, an old man, a dead body, and an ascetic which compelled Siddhartha to become a wandering ascetic
  • Siddhartha's attainment of the enlightenment through meditation

The story may be divided into four parts:

  • life as a young prince indicates a secular life
  • life as a wandering ascetic indicates the importance of the middle path
  • Life as the Buddha indicates the importance of wisdom to attain enlightenment and compassion for others
  • His death indicates the complete renouncement of this-worldly conditions (and the importance of the transmission of the Buddha's teachings after his death)

The life of the Buddha has been taken as a model in the tradition of Theravada Buddhism. In the following weeks, we look into the parallel tradition in Mahayana Buddhism.

2020年11月 7日

【一般】

第51回日本インドネシア学会大会が東外大を開催校として2020年11月7日(土)に開催されました。。

  • 第51回日本インドネシア学会大会
  • 日時:2020年11月7日(土)10:30~17:00
  • 場所:オンライン(Zoom)
  • 主催:日本インドネシア学会

今回の大会はオンラインで開催されましたので、本学がZoomのホストとなり、降幡正志先生、塩原朝子先生、青山が司会を務めました。詳細は学会公式ウェブページをご覧ください

発表数は例年よりも少なくなり一日だけの開催となりましたが、いずれも充実した内容でした。また、インドネシアやマレーシアからの参加者があったこともオンラインの利点として感じられました。次回の大会は京都外国語専門学校での開催を予定しています。

プログラムは以下のとおりです。

  • 自由発表01
    • インドネシア語の最上級について(Tingkat Superlatif dalam Bahasa Indonesia)
    • 佐近優太(東京外国語大学大学院博士後期課程)
  • 自由発表02(当日キャンセル)
    • Imbuhan 'meN-kan' Sebagai Pembentuk Alternasi Kausatif(インドネシア語の自他交替について)
    • Diess Alwi Tutiarta(南山大学大学院)
  • 自由発表03
    • 中部ジャワにおける今日の人称代名詞と呼びかけ語(Personal pronouns and addressing forms in current Central Java)
    • 三宅良美(秋田大学)
  • 自由発表04
    • Kondisi Layanan Halal di Jepang dan Tantangannya -dari Studi Kasus Restoran "Kiwamiya"-(日本におけるハラール対応の現状と課題―レストラン「極味や」を事例に―)
    • 大形里美(九州国際大学)
  • 自由発表05
    • Pengajaran Penjodoh Bilangan Berasaskan Data Korpus Digital(デジタルコーパスデータに基づく助数詞の教育)
    • Dr. Norliza Jamaluddin(Universiti Pendidikan Sultan Idris, Malaysia)
  • 自由発表06
    • 東ジャワ海外出稼ぎ村におけるジェンダー関係の変容:「労働」と「お金」の関係を中心に(Changing Notions of Women's Work and Money: Rural East Java in the Era of International Migration)
    • 南家三津子
  • 自由発表07
    • カリマンタンの「無力」な祭司王に関する一考察(A Study on a "Powerless" king in Kalimantan)
    • 西島薫(京都大学学際融合教育研究推進センター)

2020年11月 5日

【4年次対象ゼミ】

今週は、KMさんに「インドネシアにおけるプラスチック汚染の対策はどうあるべきか」というタイトルで卒論の章立ての報告をしてもらいました。

理論的な説明と現状の分析のバランスが取れた章立てと感じました。議論では、リプレースよりも前にリデュースを考えるべきという意見が出ました。また、マイクロプラスチックについては大きな懸念材料ではあるけれども、研究がまだ進んでいないので、プラスチックごみに論点を絞った方がよいと指摘しました。インドネシアの特徴としてリサイクル産業がインフォーマルセクターによって担われている部分が大きいので、先行文献を調べてみるとよいと指摘しました。

次回はYIさんに報告をしてもらいます。

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週の報告で触れられた日本軍政期の宣伝映画および音楽について、具体的な状況を見るために、映像資料「発掘 幻の国策映画 日本軍政下のジャワ」(NHK総合、1989年、44分)を見ながら議論を行いました。

改めて映像を見ると、日本語の歌、インドネシア語の歌、西洋のオーケストラ曲など多様な音楽が使われていることが確認できました。

今週は「労務者」のエピソードが終わった時点(35分55秒)まで鑑賞しました。次回は、残りの映像を見た後、NHさんに報告をしてもらいます。

2020年11月 4日

【リレー講義】

今週は、アジア・アフリカ地域文化基礎のリレー講義の一環として「ラーマーヤナに見る東南アジアのインド化」という題目で水曜3限に授業を行いました。リレー講義全体の代表は島田志津夫先生ですので、リレー講義の運営・評価に関わる質問は島田先生にお願いします。

このリレー講義では資料の提示、レポートの提出等にはTUFS-Moodleを利用しているので、必ず確認をしておいてください。

【追記】

東南アジアにおけるラーマーヤナの翻訳について質問があったので、こちらで補足しておきます。

東南アジアにおけるラーマーヤナのもっとも古い翻訳は、9世紀頃に作られた古ジャワ語への翻訳です。これは、インドも含めて、サンスクリット語以外の言語にラーマーヤナが翻訳されたもっとも古い事例であるとともに、東南アジアの文学作品として現存する最古の作品です。

この作品は、ヴァールミーキ版からの翻訳ではなく、ヴァールミーキ版をもとに7世紀のインドの詩人バッティが著したサンスクリット語の韻律作品です。ヴァールミーキ版の7巻を1巻に圧縮したダイジェスト版です。とくに顕著なのは、ヴァールミーキ版の第7巻を省略している点です。ラーマとシーターの帰還は第6巻で描かれており、その後を語る第7巻は後代の補作とされているので、バッティの判断は妥当と思われます。

このため、古ジャワ語版「ラーマーヤナ」は、ヴァールミーキ版の第7巻を欠く以外は、あらすじはほぼ一致していると言えます。

この古ジャワ語版ラーマーヤナのように、古い書承作品が残っているのは、東南アジアでは例外的で、多くの場合は、芸能などの口承で伝わるか、浮彫に記録されるものでしか知ることはできません。以下のマレー語版やタイ語版は特定のテキストの翻訳や翻案というよりは、東南アジアにおける独自の発展と言った方が適切だと思われます。

15世紀にマレー半島にマラッカ王国が建国すると、書承のマレー文学が興隆します。その中に、マレー語版のラーマーヤナである「ヒカヤット・スリ・ラマ」が作られました。異本が多いのですが、全体として、ラーマの弟ラクシュマナが活躍したり、シーターをラーヴァナの娘としたり、ハヌマーンをラーマの息子とするなど、ヴァールミーキ版とは異なるところが多々あります。また、イスラームの世界観を受け入れているところも特徴的です。ただし、口承による語り自体はイスラームの到来に先立つものと推測されます。

その後、現存するタイ語版のラーマーヤナである「ラーマキエン」は19世紀初頭に作られました。その原型はすでに18世紀に成立していましたが、18世紀末に王都アユタヤが戦争で敗れたときに消失したとされています。タイ語版では、ハヌマーンの活躍が強調されたり、仏教的な世界観を受け入れているところが特徴的です。

このようにインドの古典文化に源泉があるラーマーヤナは、イスラーム化あるいは上座仏教化した東南アジアにおいても、その時々の文化的潮流の影響を受けて形を変えながら、生きつづけてきたと言えます。

さらに詳しいことは、こちらの記事を参照してください。

2020年11月 2日

【大学院】

From this week, we will look into a life story of the Buddha as depicted in a Burmese illustrated manuscript made in the early 1800s. The original manuscript, now kept in the British Library as Or. 14297, is 49 x 19 cm in size and contains 104 folds with illustrations on 52 openings. The illustrations were reproduced in the following book.

This work is a result of imagining the life of the Buddha in India in the past by the 19th century Burmese based on the Theravada Buddhist tradition. We follow the story from the Buddha's former life as Sumedha to his birth as Siddhartha.

It is interesting to note that the sage Kaladevala (also known as Asita), who predicted that prince Siddhartha would become a world-conquering monarch (chakravartin, "the wheel turner") or a Buddha ("the enlightened one"), is depicted as observing the prince's soles. This reminds us of the Buddha's footprints with symbols.

Next week, we will continue to follow the story.

          

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