【3年次ゼミ】11月15日
【3年次対象ゼミ】
今週は、Mさんに以下の文献の書評レジュメを報告してもらい、Kさんの司会で議論を行いました。
- 岡本正明「民主化したインドネシアにおけるトランスジェンダーの組織化と政治化、そのポジティブなパラドックス」『イスラーム世界研究』(9巻, pp. 231-251、2016年)
インドネシアにおける男性からの女性のトランスジェンダーであるワリア(waria)の組織化と政治参加について分析した論文です。議論ではLGBTについて概観したあと、ワリアを肯定するイスラーム的言説(ディスコース)がナフダトゥル・ウラマのウラマーから出されたことに焦点をあてて、その意味について検討しました。聖典の「解釈」の位置づけを切り口にしてイスラームの基本的な理解をさらに深める必要が指摘されました。
イスラームの基本については、まずは以下の文献が読み始めるのがよいでしょう。
- 中村広治郎『イスラーム教入門』(岩波新書、1998年)
- 末近浩太『イスラーム主義―もう一つの近代を構想する』(岩波新書、2018年)
ナフダトゥル・ウラマに代表されるインドネシアのリベラル派イスラームの潮流については以下の文献が参考になります。
- 青山亨「インドネシアにおけるリベラル派イスラームの新思潮―ウリル・アブシャル・アブダラのコンパス紙論説をめぐって」『東京外大東南アジア学』(9巻、pp. 24-41、2004年)
なお、論文にも出てきたジョグジャカルタは2006年に「ジョグジャカルタ原則」が採択された場所でもあり、LGBTの歴史とも縁のある都市です。
次回は外語祭があるので一回お休みです。再来週11月29日に、Hさんに書評レジュメを報告してもらう予定です。準備をお願いします。