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インドネシア語の旧綴りに注意

【インドネシア語専攻で勉強する人のために】

現在のインドネシア語の綴り方は1972年に定められた正書法(Ejaan Yang Disempurnakan, EYD)に基づいています。古いインドネシア語のテキストを読む場合には、むろん古い正書法を理解しておく必要がありますが、実は現代のテキストを読む場合にも、古い正書法の基本を知っておかないと困る場合があります。それは、人名などの固有名詞のなかには、今でも古い正書法による旧綴りで表記されているものがあるからです。名前の綴りはそれだけその人のアイデンティティに結びついていると感じられるからでしょう。日本でもたとえば「澤」が「沢」になっても名前を書くときは「澤」と表記する人がいるのと似ています。

古い正書法はオランダ語の正書法を基本にしたものなので、私たちにはあまりなじみがない綴りがあり、つい勘違いしがちです。

以下に、旧綴りと現行の綴りの対照表をあげておきます。A→Bの左側が旧綴りで右側が現行の綴りです。つまり、テキストのなかの人名が旧綴りである場合、Aと書いてあればBに書き換えて読まなければならない、ということです。

j→y
dj→j
tj→c
nj→ny
sj→sy
ch→kh
oe→u
ie→i
ij→ei
次に人名の例をあげておきます。左側が旧綴りが使われている表記の例で、右側が現行の綴りに書き換えた表記です。
Atmadjaja→Atmajaya アトマジャヤ
Tjokroaminoto→Cokroaminoto チョクロアミノト
Alisjahbana→Alisyahbana アリシャバナ
Soekarno→Sukarno スカルノ
Bacharuddin Jusuf Habibie→Bakharuddin Yusuf Habibi バハルディン・ユスフ・ハビビ
Tien→Tin ティン(スハルト大統領夫人の愛称)
この表から、オバマ大統領のインドネシア人の継父Soetoroさんの名前がソエトロではなくストロであることがわかります。

【補足】
インドネシア語(および諸地方語)の表記と正書法については、本学の塩原朝子さんの簡潔なまとめ(34KB, PDF)があるので、参照してください。

          

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