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【民族と民族問題の諸相】 11月10日

【リレー講義】

11月10日水曜日4限に、総合科目IVのリレー講義『民族と民族問題の諸相』の一部として「インドネシア」を担当します。11月10日、11月17日、12月1日の3回講義をおこないます。

昨年度と同様に、全3回のなかでは、東南アジアの多民族国家としてのインドネシアを紹介し、第1週では国民国家インドネシアにおける多民族の共存を、第2週では国民国家インドネシアに対抗する民族、あるいは国家のなかで対立する民族を、第3週では国民国家インドネシアにおける外来少数民族である華人の位置をとりあげます。

第1週の今日の授業では以下の3点をおさえました。
1. 多民族(多文化・多言語・多宗教)国家の一例としてのインドネシアの概要を理解する。
2. インドネシアの多民族性の歴史的背景を理解する。
3. インドネシアにおける多民族共存の実状を理解する。
映像素材としては「南の国のデパートガール」を使いました。

■第1回(11月10日) 多民族の共存(今週)
第2回(11月17日) インドネシアに対抗する民族
第3回(12月1日) インドネシアの華人


228人分のレスポンス・シートの提出がありました。レスポンス・シートはすべて読ませてもらいました。出された質問・コメントの中から代表的なものを取り上げて、授業の補足をしたいと思います。2009年度の講義の質問に対する回答も参考になるので、読んでおいてください。(回答を掲載しました。2010-12-24)

2009年度第1回講義での回答
2009年度第2回講義での回答
2009年度第3回講義での回答


質問
 視聴した映像資料のナレーションによると、大型ショッピングセンターはジャカルタにしかないとのことでした。なぜなのでしょうか?
回答
 インドネシアに巨大なショッピングセンターがあることに驚いた人が多かったようです。実のところ、現在の東南アジアには、日本と遜色のないショッピングセンター(モールなどを含む)が多数あります(ちなみに、フィリピンのマニラに「アジア最大」と称するものがあります)。
 映像資料として見てもらった番組は1995年制作のものです。この当時は、たしかに大型ショッピングセンターはジャカルタしかありませんでしたが、現在は、ジャワ島を中心に、インドネシアの各地の大都市で建設されています。
 ショッピングセンターが成り立つには、ある程度の規模の購買力をもつ都市住民が存在することが前提となります。1995年にはまだジャカルタに限定されていたこのような状況が、堅調な経済成長を追い風にして、現在ではインドネシア各地の大都市に広がったと言ってよいでしょう。


質問
 視聴した映像資料では、食事を手で食べていましたが、手で食べる習慣と宗教とは関係があるのでしょうか?
回答
 食事を手でする場面も、多くの人の印象に残ったようです。結論から言うと、手で食べる習慣は東南アジアではごく普通のことです。これは、宗教とは無関係な習慣ということです。 


質問
 映像資料で紹介されていましたが、物価が安いことに驚きました。現在はどうなのでしょうか?
回答
 映像資料のなかでは、デパートの社員食堂の昼食が2000ルピア、日本円に換算して90円だと紹介されていました。社員食堂ということもありますが、これは確かに安いですね。一般的に、発展途上国では人件費が安いために、物価が安い傾向にあります。
 このときの為替レートは、22ルピア=1円でした。現在(2010年12月24日現在)の為替レートは、109ルピア=1円ですので、円高の傾向であることがわかります。インドネシアのルピアに対して円高であることも、円に換算したときの物価が安く観じられる要因の一つです。
 なお、現在、焼きめし一皿を注文すると10,000ルピアくらいですから、円に換算すると92円くらいで、1997年とあまり変わっていないことになります。


質問
 映像資料では、ムスリムの女性が肌を見せていたり、男性と握手をしていましが、普通のことなのでしょうか?
回答
 この点も意外に思われたことの一つのようですが、イスラームの慣習は、地域や時代によって大きく異なります。
 インドネシアでもジャワ島では、とくにジャカルタのような大都市では、ムスリムの女性が肌を見せていたり、男性と握手することはごく普通のことです。ただ、握手と言っても、手のひら同士を接触させる力強い握手ではなく、指の部分同士を重ねるような弱い握手をするのがインドネシア流です。
 イスラームが強い地域にいくと、女性が肌を隠す傾向にありますが、それでも一部の中東地域のように隠すことはありません。また、男性との握手にも抵抗はないようです。


          

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