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卒論の参考文献一覧の書き方

【インドネシア語専攻で勉強する人のために】

参考文献一覧は、卒論・卒研(以下、卒論)でもっとも大切な要素の一つです。参考文献一覧は、著者がどれだけの資料を利用して卒論を書いたかの証明でもあり、その卒論の内容の正確さを吟味するときの手がかりでもあり、その卒論を読んでさらに研究を進めたい人への道しるべとなるからです。

参考文献一覧には、卒論の本文中の引用と照応して、引用の典拠を示すための参考文献一覧と、あるテーマについて参考とすべき文献を集めた参考文献一覧の2種類があります。両者は微妙に異なりますが、ここでは卒論で使われる前者の書き方について説明します。

1. 文献の種類別の記載方法
参考文献の書き方は、細かく見ればそれだけで1冊の本になるほど、複雑ですが、基本にもどれば、次の3種類をおさえておけば、ほとんど間に合います。

1. 本まるごと
2. 論文集形式の本に収められた1つの論文
3. 雑誌に収められた1つの論文

1には、一人の著者が書いた本(単著)、複数の著者が書いた本(共著)、編者が編集した本などがあります。

2には、「論文集」と銘打っていなくても、『講座 東南アジア史』の中の一つの章だとか、『もっと知りたいインドネシア』の中の一つの章だとかが該当します。

3で雑誌というのは、定期刊行物(periodical)のことです。1と2が、ある決まった時点で刊行されるのに対して、定期刊行物は年に1回(年刊)、年に4回(季刊)、月に1回(月刊)といった風に、定期的に刊行されるという特徴があります。したがって、雑誌にはたいてい「巻」とか「号」といった番号がつきます。通例、1年間に複数回刊行される雑誌の場合、1年分をまとめて「巻」と呼び、そのなかの1部を「号」と呼びます。たとえば、35巻4号というのは、その雑誌が発刊してから35年目にはいってから4番目の号という意味である可能性が高いです。大学の紀要は(たいてい年刊の)雑誌に該当します。

1、2、3に共通していることは、いずれも、著者(または編者)の名前がはっきりしているという点にあります。この点で、新聞の記事などとは異なります。

卒論の参考文献では、各項目の最初は必ず、著者(編者)の氏名、出版年が最初に来ます。なぜなら、この二つの要素が見出しになって、配列されるからです。この後の要素は、1か2か3で異なります。

【1の場合】
中村廣治朗. 1997. 『イスラームと近代』(叢書 現代の宗教13)岩波書店.

佐藤百合・編. 2001. 『インドネシア資料データ―スハルト政権崩壊からメガワティ政権誕生まで―』アジア経済研究所.

【2の場合】
青山 亨. 2001. 「東ジャワの統一王権―アイルランガ政権からクディリ王国へ―」『東南アジア古代国家の成立と展開』(岩波講座 東南アジア史2)岩波書店. pp.141-167.

【3の場合】
青山 亨. 2004. 「インドネシアにおけるリベラル派イスラームの新思潮―ウリル・アブシャル・アブダラのコンバス紙論説をめぐって―」『東京外大 東南アジア学』9: 24-42.

最後の例は、9巻の24ページから42ページまでという意味です。9巻の2号なら「9(2):24-42」と表記します。

なお、同じ著書が同じ年に2つ以上の文献を出しているときは、年の部分を「2003a」「2003b」のようにアルファベットを付けて区別します。

2. 文献の配列方法
当然のことですが、文献一覧に載せる文献は一つではありません。本文で参照された文献を素早く見つけ出すためには文献の配列に工夫する必要があります。日本語の文献が中心の場合はあいうえお順で、英語やインドネシア語などの文献が中心の場合はアルファベット順で配列します。両者がまじっている場合には、二つに分けてください。

日本語の文献は、次の例のように、著者の苗字、著者が組織の場合は組織名の読み仮名のあいうえお順に配列します。同一著者の文献が複数ある場合は、出版年の古い順から新しい順に配列します。

アルフォンス・デュプロン 1992 『サンティヤゴ巡礼の世界』原書房でゅぷろんで配列(あるふぉんすではない)
日本観光協会 2006 『数字で見る観光―2006年度版』 創成社にほんかんこうきょうかいで配列
山下晋司編 1996 『観光人類学』新曜社やましたしんじで配列
以上、簡単ですが、基本的な用例ですから、参考にしてください。

最後になりましたが、参考文献一覧の書き方は、細部になると、自分で書き方を決める必要が出てくる場合があります。そのとき、大事なことは、一度決めた書き方は最初から最後まで変えないという、一貫性です。不明な点があれば、コメントをしてください。

卒論の本文の中で文献を参照する方法は別のページで説明しています。

          

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