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最新・ウェブページの引用の方法

【インドネシア語専攻で勉強する人のために】

このブログでは、これまでにも「ウェブページの引用の方法」について説明をしてきました

さらに、その前提となる紙媒体の文献の引用の方法についても説明をしてきました。

このページは、2回にわたっておこなってきた「ウェブページの引用の方法」の完結編にあたります。書き始めから10年かかったのは、とにもかくにも筆者の怠慢のせいですが、ウェブページの引用の方法を私自身が見定めるのにこれだけの時間が必要だったということでもあります。ここでは、日本語のウェブページを例としてウェブサイトにある文献の引用の方法をまとめておくことにします。

まず初めに、引用の基本を振り返っておきます。卒論などの論文では、引用(参照も含みます)という行為は以下の三つが必ずセットになっていなければなりません。これを仮に「引用の三位一体」と呼んでおきます。

  • 本文の中で引用をおこなう(引用)
  • 引用した文献の出典を本文の中で明らかにする(出典表示)
  • 引用された文献の書誌情報を一覧にして示す(参考文献リスト)

これらが揃っていれば、ある文献からの引用が本文中にあった場合、読者は出典表示を見ることで、参考文献リストに挙げられたその文献の書誌情報をすばやく紛れなく知ることができます。原則として、引用された文献と参考文献リストに記載された文献は一対一で対応していなければなりません。言い方を変えれば、引用された文献はすべて参考文献リストに記載されていなければならないし、その逆もまた然り、ということです。

本文中の出典表示は、引用された文献と参考文献リストを結びつけるリンクとして、重要な役割をになっています。このブログでは「著者名・刊行年方式」を推奨しています。

ウェブページからの引用であっても、著者名(あるいは刊行組織名)と刊行年が明示されていれば(あるいは十分に推測可能であれば)、紙媒体の文献と同じやり方で引用することが可能です。以下、代表的な例を示しますので、これらを参考に工夫してください。

例1 ウェブ・ジャーナルに掲載されている記事

『シノドス』というウェブ・ジャーナルの記事。著者名と刊行年が明示されており、紙媒体の文献と同様の扱いが可能な場合。

【例1:本文中の引用と出典表示】

現在のところ、スハルト独裁体制崩壊後に民主化が進展したインドネシアと「アラブの春」以降の中東が歩んだ道のりの違いは顕著であるが、「インドネシアが今あるところに至るまでに独立後70年近くを要している」事実には留意しておく必要がある(青山 2016)。

【例1:参考文献リスト中の記載】

青山 亨. 2016. 「インドネシアのイスラーム社会―ムスリム・アイデンティティと消費社会」. 『シノドス』. http://synodos.jp/international/17467/2,?(2017年1月2日閲覧)

例2 組織のウェブサイトに掲載されているPDFの記事(著者名あり・刊行年なし)

国際交流基金のウェブサイトに掲載されているPDFの記事。著者名のみで刊行年は明示されておらず、刊行組織が明らかな場合。n.d.はno date(「刊行年不明」)の略。PDFのURLを記載。

【例2:本文中の引用と出典表示】

1997年に日本で初演されたアジア6か国共同制作の舞台劇「リア」にはインドネシアのガムラン音楽も使われている(畠由紀 n.d.)。

【例2:参考文献リスト中の記載】

畠由紀. n.d. 「ノウハウシリーズ:演劇の国際共同制作6ヵ国の「リア」」. 国際交流基金ウェブサイト. https://www.jpf.go.jp/j/about/survey/knowhow/pdf/know31.pdf,(2017年1月2日閲覧)

例3 組織のウェブサイトに掲載されているPDFの報告書(著者名なし・刊行年あり)

外務省のウェブサイトに掲載されているPDFの報告書。著者名は明示されていないが、刊行年は報告書の中に表示されている場合。著者名の代わりに報告書作成主体の組織名を使用。PDFのURLを記載。

【例3:本文中の引用と出典表示】

日本政府はインドネシアについて「民主主義や人権、市場経済といった基本的な価値観を我が国と共有し、かつ幅広い国民レベルでの長い友好関係を有する戦略的パートナーである」と位置付けている(外務省 2012)。

【例3:参考文献リスト中の記載】

外務省. 2012. 「対インドネシア共和国 国別援助方針」. 外務省ウェブサイト.?http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/000072224.pdf,?(2017年1月2日閲覧)

例4 組織のウェブサイトに掲載されたウェブページ(著者名なし・刊行年なし)

国際交流基金のウェブサイトに掲載されているウェブページ。著者名・刊行年ともに明示されていない場合。著者名の代わりに組織名を使用。

【例4:本文中の引用と出典表示】

国際交流基金では1995年に「アジアのモダニズム―その多様な展開:インドネシア、フィリピン、タイ」と題した展覧会を開催した(国際交流基金 n.d.)。

【例4:参考文献リスト中の記載】

国際交流基金. n.d. 「過去40年の活動から時代の顔やざわめきがよみがえる」. 国際交流基金ウェブサイト. https://www.jpf.go.jp/j/about/outline/about_05.html, (2017年1月2日閲覧)

例5 著者名・刊行年方式の代わりに注を使う場合

上記のように、ウェブページの文献でも著者名・刊行年方式で出典表示が可能な場合にはできるだけ工夫してそのようにします。もしそれでうまくいかない場合には、注番号を付けて注の中で文献の出典を記載することも可能です。この場合でも、参考文献リストに文献を記載しておく必要があります。

【例5:本文中の引用と注番号】

国際交流基金では1995年に「アジアのモダニズム―その多様な展開:インドネシア、フィリピン、タイ」と題した展覧会を開催した1

【例5:注の記載】

1?国際交流基金ウェブサイトの 「過去40年の活動から時代の顔やざわめきがよみがえる」(https://www.jpf.go.jp/j/about/outline/about_05.html)を参照。

【例5:参考文献リスト中の記載】

国際交流基金. 「過去40年の活動から時代の顔やざわめきがよみがえる」. 国際交流基金ウェブサイト. https://www.jpf.go.jp/j/about/outline/about_05.html, (2017年1月2日閲覧)

なお、論文の中でウェブページの文献を引用している場合には、参考文献リスト自体を、紙媒体の文献をまとめた「参考文献一覧」とウェブページの文献をまとめた「参考URL一覧」の二つに分けることを検討してください。参考URL一覧の配列は見出し語(著者名・組織名・ウェブサイト名など)の五十音順にし、刊行年の記載は不要です(例5はこの方式の例です)。

最後に、ウェブページの文献を含むオンライン上の情報を参考文献として取り扱うにあたっては、科学技術系寄りの内容ですが、科学技術振興機構のSIST(科学技術情報流通技術基準)のサイトが提供している「SIST 02 参照文献の書き方」(PDF)がもっとも包括的であるようです。これの要点をまとめた簡潔な手引きとして「参考文献の役割と書き方」(PDF)があります。このブログ記事を書くための資料を探しているなかで見つけたので、参考にさせてもらいました。

          

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