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引用の方法

【インドネシア語専攻で勉強する人のために】

卒論を作成するにあたっては引用はさけて通ることはできません。そこで、正しい引用の方法を知る必要があります。ここでは、3つの方法に分けて説明します。引用についてもっと知りたい人は、慶応大学KITIEの「引用について理解する」を読んでみてください(←これも引用の一つです)。(2018-05-24に【補足】に加筆をしました。)

1. 元の文章をそのまま引用する(短い場合)
引用する文章が短い場合には、元の文章をかぎカッコでくくって、自分の文章の流れを損なわないように挿入します。たとえば、

日本神話の一つのカテゴリーとして中世神話に注目した山本ひろ子によれば、中世神話を生み出した時代は本地垂迹説を旗印とする神道思想の変革期であり、その思想的潮流には「記紀神話の秩序を大きく逸脱した、新しい神話的な思考が醸成され」ていたとされる(山本 1998: 7)。つまり、本地垂迹説によって神々の位置づけが根本的に変化したために、神話世界の起点である創造神話の再構築が必要となった。その結果が中世神話の神話世界というわけである。

原文では「醸成される。」となっていますが、文章の流れを損なわないために、「醸成され」までを引用している点に注意してください。

2. 元の文章をそのまま引用する(長い場合)
引用する文章が長い場合には、元の文章を一つの固まり(ブロック)として扱い、本文からは前後1行あけ、本文よりも左右ともに狭めた形で挿入します(ワープロ・ソフトのインデントを使うと簡単に表現できます)。1.の場合と違って、かぎカッコは不要です。ただし、1.と同様に、自分の文章の流れは損なわないようにします。

日本神話の一つのカテゴリーとして中世神話に注目した山本ひろ子は、中世神話を生み出した時代は本地垂迹説に基づく神道思想の変革の時代であると述べたうえで、なぜ中世神話が開闢神話を新たに書き直したかについて、次のように述べている。
神々の変貌を旗印とする神信仰の刷新は、宇宙や神々の始原・その意味相を捉え返し、再創造するという、ロゴスの運動なしには成り立たない。そこに記紀神話の秩序を大きく逸脱した、新しい神話的な思考が醸成される。それゆえに神道書の多くは、世界の創造=天地開闢から語り起こされていったのである。(山本 1998: 7)

つまり、本地垂迹説によって神々の位置づけが根本的に変化したために、神話世界の起点である創造神話の再構築が必要となった。その結果が中世神話の神話世界というわけである。

引用する文章の途中や最後を省略したいときは「[中略]」や「[後略]」を使うことができます。

3. 自分のことばに書き直して引用する
引用する文章を自分のことばとして咀嚼して書く場合です。むろん、核となる主張・見解が引用元の著者の主張・見解であることが明らかになるように書くことが必要です。

中世神道の研究をおこなっている山本ひろ子(1998: 6-7)は、本地垂迹説の出現によって神々が仏や菩薩の化現とみなされるようになったため、このような宗教観を表現しかつ正当化するために、記紀の創造神話が新たに書き直されようになったと指摘している。

引用元の著者の主張(創造神話が新たに書き直された)と、それを引用するあなた自身の論述(山本は...と指摘している)が混乱しないよう、文の構造には十分な注意をはらってください。

【補足】この3番めの方法については「要約」または「参照」と呼ぶこともあります。また、自分のことばに書き直す点に着目して「パラフレーズ(言い換え)」と呼ぶこともあります。パラフレーズのコツについては「剽窃を避ける」が参考になります。いずれにしても、「引用」と同じように考えて取り扱うことがポイントです。

本文中に引用の出典を明記する
いずれの引用方法を使った場合でも、本文中に引用の出典を明記する必要があります。具体的には「引用するときの出典表示の方法」で説明しているので参照してください。

参考文献目録に引用した文献を記載する
当然のことですが、卒論の末尾の文献目録に引用した文献を記載することを忘れてはいけません。詳しくは「卒論の参考文献一覧の書き方」で説明しています。上の例では、引用した文献は1冊の図書ですから、次のようになります。

参考文献   山本ひろ子. 1998. 『中世神話』(岩波新書)岩波書店.

引用の方法の基本は以上です。正しい引用が自由にできるようなると、文章の表現も豊かになります。ぜひ習得してください。

          

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