今週は、前回12月7日と前々回11月30日に提示した課題について検討しました。
ナショナリズムと人種主義の違いについてのアンダーソンの主張は十分に明らかになったと思います。なお、訳文の「ナショナリズムが歴史的運命の言語で考える」は、原文に即して「ナショナリズムが歴史的運命という見地から考える」と訳すと分かりやすいことが分かりました。1945年8月17日に独立を宣言したという歴史的事件が国民国家インドネシアの成立に重要な意味を持っていることを例として挙げておきます。
国民は言語によって想像された共同体であるがゆえに「国民は同時に開かれかつ閉ざされたもの」である例として、英語を学ぶことで国民国家イギリスの一員となった日系イギリス人作家のカズオ・イシグロを挙げておきます。
最後に、「こうした言葉で、スワルディは、...人種主義的運命論そのものの土台を突き崩した」については、インドネシアを植民地として支配するオランダが、オランダのフランスからの独立記念日を祝うようインドネシア人に要求することの矛盾を突いていることが明らかになりました。
今回は、卒論作成に役立つワードの機能について説明する時間がなかったので、今後のゼミの時間を使って行うことにします。
次回の12月21日には、Fさんに第9章「歴史の天使」の書評報告をおこなってもらう予定です。
なお、来年になってから、1月11日か1月18日のいずれかで、卒論・卒研の構想について第2回の中間報告をしてもらう予定なので、卒論・卒研の構想についてA4判1枚にまとめおいてください。
あわせて、冬休みにはカズオ・イシグロの作品を一つ読んで、感想文を作成してください。年明けのゼミで発表してもらう予定です。

