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【3年次ゼミ】5月18日

【3年次対象ゼミ】

先週に引き続き、山口・金子・津田「序 英雄大国インドネシア」の書評レジュメを発表してもらい、議論をおこないました。今日も2人に報告してもらいました。

日本とインドネシアを比較した場合、インドネシアではオランダ植民地支配への抵抗、民族主義運動への参加、独立戦争への貢献といった要因が国民英雄に選定される前提となっていることが明らかになりました。これは、インドネシアというそれまでに存在していなかった国家を作るにあたって、国民に国民としての意識を醸成するために必要であったと考えられます。それに対して、日本の場合は国民国家をまったく新しく作る必要がなかったこと、戦後は平和主義を一貫して掲げたことが、インドネシアのような英雄を生み出さなかった理由であると考えられます。

また、国民英雄の選ばれ方も、独立直後のスカルノによるトップダウン式の選定、同じくスハルトによるトップダウン式であっても地方の英雄の掘り起こしに目配りした選定、そして、英雄のネタが切れたポスト・スハルト期におけるボトム・アップ式の選定へと、変化が見られることが確認されました。

さらに、英雄は人物であるがゆえに、国民にとって目に見える(銅像)、身近な(通りの名前)形での「分かりやすい」国民統合のシンボルとなっていることが指摘されました。これについても、日本の場合(二宮尊徳の像など)との比較が議論されました。

次回は、残りの3人に引き続き報告をしてもらう予定です。

          

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