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2022年12月22日

【4年次対象ゼミ】

今週は今年最後のゼミでした。

原稿がほぼできている人には原稿のファイルを、まだの人には目次を含む概要のファイルをアップしてもらい、卒論の内容について最終報告をしてもらい、提出までに検討すべき事柄を確認しました。卒論は12月22日から1月16日までの期間に教務課が指定したGoogle Classroomに提出してください。

Hさん:インドネシアの月経教育について。世界的な動向のなかにあるトピックを、インドネシア特有の状況から読み解き、具体的な改善案に結び付けようとする政策提言的な卒論になりそうです。

Mさん:タマン・シスワと民族主義運動について。タマン・シスワは、政治からあえて距離を置くことで、インドネシア民族主義運動がオランダによって弾圧された1930年代にも、民族主義運動の精神を継承することができたとすれば、興味深いことです。

Sさん:カルティニとバティックと職業教育について。若くして亡くなったカルティニの言動を辿っていくと、民族主義運動の先駆者という後代からのレッテル以上に、女性を含む民衆の商品生産とヨーロッパの市場を結びつけるプロデューサーないしはエージェント的な役割が見えてきそうです。

Tさん:1974年イスラム婚姻法について。(植民地以来のオランダが作った法律を脱し)インドネシア人自身が作った法律を導入したいという意向と、イスラームの政治的影響を排除したスハルト政権の意向がどのようにイスラム婚姻法として結実したかが明らかになると興味深いです。

Oさん:バリ料理について。食材、調味料、主食・主菜、デザート・お菓子の4つの領域からバリ料理とその文化的背景を読み解く興味深い卒業研究になりそうです。

次回は1月12日です。卒業発表会および卒論集作成について説明をおこないます。

健康に気を付けて、よい新年が迎えられるようがんばってください。

【3年次対象ゼミ】

今週は今年最後のゼミです。先週に引き続き映画『青空はぼくの家』の残りの部分を鑑賞しました。

裕福な家庭の少年と貧しい家庭の少年の友情という(監督自ら認めているように)おとぎ話ですが、貧富の格差というテーマがしっかりと示されています。さらに、民衆(rakyat)が大統領を選ぶという(教科書にも書かれている)理想と、現職大統領が常に再選されるという絶望的な現実との断絶をあぶり出す映画の語りに、貧富の格差を解決するはずの政治のゆがみに対する鋭い批判が内包されています。権威主義体制としてのスハルト体制の明暗を描いた作品です。この映画が公開されて四半世紀が経った2014年に、住む家の強制退去を自ら経験したジョコ・ウィドドが大統領に選ばれたというのは、インドネシア社会の転換を象徴するできごとと言ってよいでしょう。

ゼミの後半では、卒論研究計画あるいは留学研究計画の報告をしてもらい、方向性として問題がないことを確認しました。

次回は、2023年1月12日になります。冬休みの課題は別途連絡します。お互い健康に気をつけて、よい新年を迎えましょう。

2022年12月21日

【一般】

集英社による『アジア人物史』全12巻(+索引巻)の刊行が12月21日から始まりました。青山も編集委員の一人として参加し、また、第1、3、4、5、7巻の東南アジアに関わる項目の一部を担当しています。第1回配本は2022年12月1日(木)発売の第7巻で、以降毎月刊行予定です。詳しくは集英社の公式サイトをご覧ください。

第7巻では、第12章近世東南アジアにおける王国とムラユ世界の展開のうち島嶼部の「はじめに」、「ハサヌディン」、「羅芳伯」の3項目の執筆を担当しました。

姜尚中総監修・青山亨他編『アジア人物史第7巻 近世の帝国の繁栄とヨーロッパ』集英社. pp. 732-734, pp. 753-756, p. 766, 808pp. ISBN 978-408157107-9.

書籍『アジア人物史第7巻 近世の帝国の繁栄とヨーロッパ』の表紙

集英社ウェブサイト

2022年12月15日

【4年次対象ゼミ】

今週は、卒論執筆のなかでゼミ生が悩んでいることについて相談を受けました。

1. 用語・概念の取扱い。用語・概念は同時代の当事者たちが使っていたものと、当事者の外の観察者や後代の研究者が名付けたものとが区別できることに注意をはらっておくとよいでしょう。たとえば、インドネシアの「民族主義」や「ナショナリズム」は後者であり、必ずしも当事者たちが使っていたわけはありません。これらを区別したうえで、卒論の中ではどう使うかを意識しておくことが大切です。

2. 卒論の構成と注。卒論を書いていると、本筋のテーマには必ずしも関係しない事柄の説明に文章が多くさかれ、全体の構成のバランスが崩れることがあります。そのような場合には、注を使うと問題を回避できる場合があります。本体の説明は最小限におさえ、注により詳しい説明を移すとよいでしょう。

3. 社会的意義。提案型の卒論であれば、社会的意義は明確ですが、そうでない卒論の場合、とくに文系の卒論では、社会的意義は必ずしも明確でないことがあります。社会的意義を示すことは必須ではありませんが、テーマをより広い文脈に置くことで、現在の社会的課題を理解する助けになるようであれば、そのことを「はじめに」の中で書くことは十分に価値があるでしょう。

4. ソーシャル・メディアの扱い。ソーシャル・メディアを情報源に使うことは、現代の卒論ではよくあることです。個人情報が含まれている場合は、仮名にするなどの工夫をするとよいでしょう。

次回は、今年最後のゼミです。卒論提出前の発表会を予定しています。卒論の構成と情報源が分かるよう、目次と参考文献の部分を提示して、卒論の概要を報告してください。また、卒論の原稿が(ほぼ)出来ている人は原稿も提出してください。

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に続いて、インドネシア映画『青空はぼくの家』を鑑賞しました。二人の少年が泥棒から取り戻した財布を持ち主に返しに行く場面までを見ました。

次回は、今年最後のゼミです。映画の残りの部分を最後まで鑑賞したあと、卒論作成に向けての研究計画を発表してもらいます。留学予定者は留学先での計画を発表してください。

2022年12月 8日

【4年次対象ゼミ】

今週は、卒論を作成するうえで最低限知っておくべき機能について説明をしました。主な項目は以下のとおりです。

  • スタイルの設定:とくに「見出し」の設定(TEXT BODY, BIBLIO, HEADING1, HEADING2など)
  • ページ番号の挿入と設定
  • 改ページとセクションの設定
  • 「扉」と「目次」の作成

詳しくは以下のページやネットの情報を参考にしてください。

【3年次対象ゼミ】

今週は、インドネシア映画『青空はぼくの家』の最初の42分を鑑賞しました。スハルト政権期の政府が提示する理想と現実との格差が、学校での授業とスラムの生活という対照的な映像を何度も切り返すことで、はっきりと浮かび上がってくることを確認しました。次回は、残りの部分を鑑賞してます。

2022年12月 1日

【4年次対象ゼミ】

今週は、Sさんにカルティニと女性教育についての卒論の進捗報告をしてもらいました。カルティニは、女性教育を通じて、女性が職業をもち、自立した人生を送れることを目指したことを確認しました。とくに、女性が自分の意思に反して結婚を強制されないことが重要ですが、その理由の一つとして、カルティニ自身の母が第二夫人として日陰の人生を送らざるをえなかったことがあります。また、カルティニの思想を理解するうえでは、カルティニがオランダ語を通じて読んでいた当時のヨーロッパの女性権利拡張の思想を考慮することが必要となります。最後に、職人がほぼ一貫して工程に関与できる木彫りと異なって、分業体制にならざるを得ないバティック生産においては、どこまで女性が自立しうるのか、検討が必要であることが示されました。

次回は、卒論を作成するうえで役に立つWordの使い方について説明をおこないます。

【3年次対象ゼミ】

今週は、これまで書評レジメを通じて分析してきた論考を材料として、これを卒論として再構成するためにはどうすればよいかを検討しました。その結果、最初に問いを提示し、根拠に基づく論証を経て、答えに至る道筋を考えてみました。

次回からは、2週間にわたって、スハルト政権期の社会を描いたインドネシア映画を鑑賞しながら、映画に描かれた社会と文化を読み解いていくことにします。対象とする映画は、『青空はぼくの家』(Langitku Rumahku、スラムット・ラハルジョ・ジャロット監督、1989年、102分)です。

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