インドネシア共和国の紋章はガルダ・パンチャシラ(Garuda Pancasila)と呼ばれるもので、神話の鳥ガルダがパンチャシラ(国家五原則)を表した五つのシンボルを描いた楯を持つ姿に描かれています。
これまでなかなかパソコンで使えるような高解像度の画像ファイルがなかったのですが、2008年2月になってWikipediaのページに高解像度でとても美しい画像ファイルがアップされました。パブリック・ドメインなので著作権の問題なくだれでも使えるようにしてくれているところが◎です。

さて、これがその画像でなのですが、実は、一か所大変な間違いがあります。すでに間違いの指摘はなされているようなので、早急に訂正されることを望むところです。というわけで、せっかくの画像ですが、このままでは使えないということで×です。(画像が掲載されているWikipediaのページはこちら。現在は訂正されています。【下の続報参照】)
どこが間違いかは、続きに書いておきました。
どこが間違いかおわかりでしょうか。ガルダが握っている帯に書かれている「BHINNEKA TUNGGAL INKA」に綴りの間違いがあります。「INKA」ではなく「IKA」が正しいのです。
これは、「多様性の中の統一」を意味するインドネシア共和国の国是です。この大事な言葉に間違いがあるようでは残念です。
確かに、これまでの低解像度の画像ファイルでは「IKA」が「INKA」に読めてしまえたのかもしれません。画像をアップしたSagredoさんはアメリカ在住の人ということなので、おそらくこの言葉を知らなかったのでしょう。
ともあれ、今までの解像度が低い画像であれば、間違いに気づくこともなかったのでしょうが、高解像であるがゆえに正確さが求められるようになったわけです。何事も原典にあたるべしという基本の大事さをあらためて教えられたケースです。
【追記】
上の間違いに気づいたすぐあとになって、Wikipediaの別のページに正しい画像がアップされているのを見つけました。こちらも高解像の美しい画像で、当然のことながらパブリック・ドメインです。ガルダの目つきとか、鎖の形とかが、こちらの方が自然な感じがします。花丸です。
とりあえず授業にはこちらを使うことで問題は解決しました。それにしても、Wikipediaに2種類のガルダ・パンチャシラがあったとは意外な発見です。

こちらが正しいガルダ・パンチャシラです。2008年5月にアップされています。(画像が掲載されているWikipediaのページはこちら)
【続報】
さきほどWikipediaの画像をチェックしてみたところ、新しい画像がアップされており、間違いが訂正されていました。
変更履歴を見てみると、間違いの指摘が出てすぐに、10月29日に最初の作者とは別の人が訂正された画像をアップしたようです。集団で知識を積み上げていくというWikipediaらしい仕組みがかいま見えたできごとでした。