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【3年次ゼミ】11月17日

【3年次対象ゼミ】

今週は先週に引き続き、書評レジメをもとに、第6節「おわりに」の残りを検討したあと、第6節の構造を分析しました。

  • 【目的】第6節の目的は、イスラームに代表される一神教の信仰と防災の関係を検討することにあります。
  • 【対象】検討に入る前に、イスラームといっても多様であり、ここでの検討はあくまでも一般論であることを断っています。このように議論の対象に限定を加えておくことも論文では重要です。
  • 【主張:信仰のポジティブな側面の承認】先行研究(ここではアデニー・リサコットの研究)を引用して、信仰が災害からの回復にあたって肯定的な力を持ち得ることを主張します。これは、信仰が正しい防災にとってネガティブな影響を与えうる場合があることを主張したこれまでの節とバランスをとる役目をもっています。このように論文では、複数の意見を示すことで、バランスの取れた結論にいたるように配慮することが重要です。つまり、信仰をネガティブなものとして完全に否定するのではなく、そのポジティブな側面を認めたうえで、その特性に注意を払うことが必要である、という主張を導きます。
  • アデニー・リサコットの研究は、イスラームに限定されたものではありませんが、インドネシアの一神教信仰を対象にしたものなので、インドネシアのイスラームも包含しているため、ここで引用しています。このように引用する先行研究が論文の議論にとって有効であるかを吟味することも重要です。
  • 【結論】以上から、この節では、信仰が信仰する人の世界観に影響を与えることから、防災教育を実施するにあたって、対象とする人たちの信仰を考慮する必要があることを主張しています。
  • 【提言】そして、この主張から、さらに、インドネシア人を初めとするムスリムが増加し、多文化化している日本の学校においても、信仰を考慮した防災教育が必要であるという、より具体的な提言を導いています。

来週は外語祭のため休講のため、次回は12月1日です。

2週間後のゼミにむけて課題を出します。今日の第6節の分析を参考にして、まず第1節~第5節の各節は分析してください。次に、各節の分析を踏まえて、この論考全体を論文らしい形に変えるための方法を考えてください。最後に、これらをレポートにまとめて提出してください。次回のゼミではみなさんのレポートをもとに議論をおこないます。

          

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