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【3年次ゼミ】6月4日

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続いてベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体:ナショナリズムの起源と流行』の書評レジュメをもとに議論をおこないました。

最初に、第2章で述べられている、近代の時間と対比されている前近代の時間である「予知と成就の時間」「メシア的時間」について検討し、神の目から見たとき過去も現在(そして未来)も同時であるような時間のとらえ方であることを確認しました。これは、新聞の紙面で世界各地の出来事がたまたま同じ日付で発生したために記事として並列されているという近代的な同時性とは異なるものです。

続いて、第3章の「国民意識の起源」について書評レジュメにもとに議論をおこないました。国民意識の発生について、アンダーソンは消極的な要因3つと積極的な要因3つを指摘しています。書評レジュメを作るときには、このように、テキストの構造をしっかりと把握する作業をまずおこなうことが大切です。

前近代では、民衆には読めないラテン語のテキストが単に文字で書かれているがゆえに秘儀性を帯びていたのに対して、近代では、民衆にも読める俗語のテキストが普及することで書かれている内容が重要になったことを確認しました。アンダーソンの議論では、このように、言語についての考察が豊かな点が特徴的です。

次回では、本章の核心である「出版資本主義」についてさらに掘り下げてみたいと思います。

『想像の共同体』についてはとりあえず第3章までとし、このあとはホブズボウムの「創られた伝統」について読んでみる予定です。

またここまでのまとめてとして、アンダーソンの主張を踏まえつつ、インドネシアの国民意識の形成について、自分なりの切り口で論じてもらうことを課題として出すことにします。

          

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