≪ 大学でのブログの活用 前編 | トップ | ブログの手直し ≫

大学でのブログの活用 後編

【ブログについて】

前編では、大学のブログが十分に活用されていない要因を分析してみた。後編では、活用されるための方策について考えてみたい。

むろん、前編で述べた個別的な不具合を解消することも必要なのだが、それ以前に考えておかなければならない、もっと基本的な問題があるように思われる。それは、そもそも何のためにブログというシステムを使うのかという問題である。

大学のブログを使う目的は、すでに前編で述べた。問題は、その目的を達成するために、利用者はブログというシステムに何を期待しているのか、ということである。この期待が満たされない限り、利用者はブログを継続して利用しようと言う気にはならないであろう。

結論から言うと、教員や学生がネットでつながっており、ネット上でウェブを使って情報をやりとりするという仕組みがすでに情報インフラとしてできあがっていることを前提とした場合、ブログに期待される機能とは、最近広まってきた表現で言うところのCMS(Contents Management System)であろう。簡単に言えば、ウェブ上に簡単にサイトを構築し、テキスト、画像、音声、映像などのデータをやりとりできる仕組みということになる。

具体的に言えば、以下のような機能が最低でも欲しいところである。
1. 簡単な作業でレイアウトが完成し、ウェブサイトが構築できる。レイアウトはあとでも改変が可能。
2. テキストに適当なラベルをつけて、ウェブ上から投稿すると、システムが自動的にウェブサイト上にテキストを表示する。
3. テキストだけではなく、時間割のような表や図なども、ウェブページに簡単に表示することができる。
4. 固定した静的なページも簡単に作れる。
5. 特定のページにアクセス制限を掛けることができる。
6. システムの管理をグループでおこなうことができる。
本学のブログを見ると、1や2はある程度実現しているが、それ以外の機能は不十分である。

客観的にみて、MovableType本体だけを見た場合、大学の教員が求めるCMSの機能を満たしているとは言えない。これは、MovableTypeがもともと日記、日誌、ジャーナル的な情報発信のために開発されてきたことを考えれば当然だろう。Movable Typeという言葉が「活字」という意味なのは示唆的である。

利用者が求めているものは、結局、ブログという技術なのではなく、ウェブ上でのコンテンツの簡単な管理手段だと言ってよいだろう。したがって、MovableTypeで使われている技術を核にして、大学のウェブサイトとして望まれるCMSの機能を付けたようなシステムへと発展していくことが、理想的な姿だと思う。実際、このようなCMSは市販のパッケージとして存在する。

今回はウェブサイト構築手段としてのブログを評価したので、コメント、トラックバック、pingなどの双方向のコミュニケーションについてはまったく触れなかった。複数のブログが、これらの技術によってつながって、開かれたコミュニティを作り上げるというのが、ブログの社会的な側面であり、ブログというテクノロジーの背後にある理念であろう。この点から言えば、本学のブログ導入に際して、大学側からほとんどサポートがなされていないというのは、諸般の理由があるのだろうが、ブログ本来のやり方ではないと言えるだろう。

今回のMovableTypeとの出会いは、ブログの根底にこれまで使ってきたxhtmlやcssがあることを確認できたよい機会となったし、ウェブ上での新しい技術についていろいろと考えさせられるよい機会にもなった。次のステップとして、コメントやトラックバックなどを活用した、学生と教員との間のコミュニケーションの手段となるのかどうか、試行錯誤を重ねてみたいと思う。

          

カテゴリー

新規エントリーの投稿
[権限をもつユーザのみ]