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大学でのブログの活用 前編

【ブログについて】

システム・メニューの情報によると本学のMovableTypeシステムには73のブログが作られている。ブログ上のページに以下のリストを打ち込んでやると、このシステム上のブログの名称、説明、リンクが表示されるので、ざっと見てみたのだが、ほとんどが試験的に作られたものばかりで、実際に利用されているのはほんの一握りである。

<MTBlogs>
<a href="<$MTBlogURL$>"><$MTBlogName$></a><br />
<$MTBlogDescription$><br />
</MTBlogs>
ブログと言えば、ネット上では十分に認知されたテクノロジーだし、試験的にでもブログを作ってみようという人は、それなりの期待をもって(強制的にではなく)ブログを開設したと予想されるのだが、なぜブログは十分に活用されていないのだろうか。

結論から言えば、(民間プロバイダのではなく)大学のブログを使う目的と、大学が提供しているブログの仕様との間にミスマッチがある、というのが最大の理由だと思われる。

まず、ブログが十分に活用されていない理由を考えるためには、まず利用者を二つのパターンを分けてみたい。

第1のグループ かつてウェブサイトに挑戦してみたものの敷居が高くて断念した人たちが、ブログなら簡単と聞いて、試してみたが、やはり理解できない、使いにくいといった理由であきらめた。

第2のグループ ウェブサイトをすでに運用しおり、それなりの知識をもっている人が、新しいテクノロジーということでとりあえず試してみたが、継続して利用するメリットを見いだせなかった。

さて、大学に特化したブログの活用目的として考えられるのは、授業および研究(事務関連もあるがここでは省略)に関連する情報提供ということになろう。たとえば、1)学生に対する授業に関する連絡、関連情報の提供、配布資料のダウンロード可能なファイルによる提供、2)研究テーマに関連する思いつきのメモ、進捗状況の心覚え、完結した研究成果の報告、論文自体のダウンロード可能なファイルによる提供、研究会・シンポの広報、などが考えられる。

では、第1と第2のグループは、これらの目的のためにブログを使おうとして、どういう問題に行き当たるのか。

第1のグループは、なんとかブログを立ち上げても、基本的に、デフォルトの状態のままで使うことになる。このグループにとっては、まずブログでエントリーを書くことの作法を把握するのが、一つの山になるだろう。たとえば、ブログのエントリーは、作成日時順に配列され、投稿者の名と作成日時が自動的にスタンプされて表示されてしまう。このような文章作法は、日記や日誌(文字通りログ)に最適であるが、授業の連絡や、研究の報告には必ずしも重要なものではない。無視すればいいような物だが、視覚的にかなり雑音になることは確かだと思われる。

次に、カテゴリーの配列が、デフォルトの状態では、思うようにいかないのも難点である。講義ごとにカテゴリーを分けて、授業の連絡をするのに使えるのではと予想して使ってみた多くの人が、ここで失望するのではないだろうか。同じく、エントリーの中ではなく、固定したページ、たとえば、サイドバーの中で外部のウェブページとリンクを張るというのは、多くの人が希望することだと思われるが、そのためには、テンプレートを書き換えなければならず、かなり敷居が高い作業となる。

そして、最後になるが、デフォルトの状態では、どのページも代わり映えが無いうえに、誰のブログを見ても似たり寄ったりという、きわめて味気ない、画一的な状態への違和感がやがて生じてくるはずである。この印象は、ホームページビルダーのようなソフトにお任せでウェブサイトを作っていた人ほど強いかもしれない。

一方、第2のグループの場合は、上記の問題は多かれ少なかれ(手間はかかるが)乗り越えることができる。別のテンプレートを導入して置き換えることによって、レイアウトやスタイルは大きく変えることが可能であるし、カテゴリーの配列なども、テンプレートに手を加えることで解決することができる。

しかしながら、このグループにとっては、システム上の制限が重い足かせになっているように思われる。まず、グループ管理がブログ開設者の権限でできないという制限がある。たとえば、あるコースに参加する教員が共同してブログを運用しようとしても、ブログの開設者には、投稿の権限を他の教員に与えることができないので、そのたびに、システムの管理者に依頼しなければならない。

次に、アクセス制限を掛けるような仕組みが備わっていないことがある。特定のアカウントからのみアクセスできるような仕組みがあれば、たとえば、一つのゼミの参加者だけが利用できる空間が作れるのだが、システム自体が完全に外に開いているので、学生の個人情報に関わるデータの取り扱いには気を使う必要がある。

これらの制限もMovableTypeの改良によって解消される可能性もあるが、ユーザの数が限られた大学のサーバでは、簡単にバージョンアップすることも難しいであろう。現に、MovableTypeはすでに3.3になっているが、本学のシステムは3.2である。このような制限が残るのであれば、第2グループの人々は、いずれ学外のプロバイダが提供するブログへ移っていくことになろう。

ここまで、ミスマッチの要因をさぐってみたが、それでは、大学のブログが活用されるためには、どのような対策をとればよいだろうか?続きは後編で述べたい。

          

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