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ひとつのブログでは足らない

【ブログについて】

ブログの使い方について、前から気になっていたこととして、ある個人にとって、ひとつのブログでは足るはずがない、ということがある。

たしかに、ブログには、カテゴリーに分けてエントリーを自動的に分類する機能がある。しかし、たとえば、個人の趣味にかかわるカテゴリーと、仕事にかかわるカテゴリーとでは、たいていの場合、ひとつのブログにうまくおさまりきらないだろう。

要するに、一人の個人には複数の顔があるという基本的な事実が厳然として存在するということである。そのそれぞれについて、ウェブ上で情報発信をするとなれば、当然、複数のサイトが必要になる。このことは、htmlをしこしこと書き込んで作っていたウェブサイトでも同様に言えることなのだが、ウェブサイトの場合、作成と維持の労力が大きいことから、自ずと、一つのサイトのテーマを絞り込まざるを得なかったように思う。しかし、ブログの場合は、このような抑制があまり利いていないように思われる。その背景には、あまりにも投稿が簡単にでき、しかも、カテゴリー分けという機能があるために、なんでもかんでも書き込んでおけばブログが勝手に仕分けてくれるという(一面では安易な)依存意識がうまれやすいことがあるだろう。

しかし、より根本的な問題は、ブログによる個人情報の発信という側面が強調されるあまり、その個人のプロフィールに含まれている複数性という側面が十分に認識されていなかったことにあると思われる。会社のサーバ上で走るブログに載せた記事が元で社員が解雇された例を最近よく耳にするのも、根元的には、ひとつのサイトですべての用を足すことはできない、というウェブによる情報発信のあり方を表しているのだろう。

ひとつのサイトでは足らない、しかし、複数のサイトを運営する労力はかけられない、このジレンマも、大学のサーバでブログが広まらない要因の一つだろう。大学のサーバである以上、教育や研究という公的部分が前面にでざるを得ないし、私的な部分はひっこめざるをえない。うまくいきそうな分野として思い浮かぶのは、映画の鑑賞と表象文化の分析といった、趣味と研究が幸福に調和できそうな分野ぐらいだろうか。

          

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