【3年次ゼミ】7月1日
【3年次対象ゼミ】
今週は、先週に引き続いて『創られた伝統』の序論を検討しました。
とくに、ホブズボウムが注目しようとする創られた伝統は、産業革命以降の近代において創られた伝統であることを確認しました。これは、近代化は伝統を破壊するという通念にあえて異を唱えようとするものである。むろん、伝統の材料は近代以前からあるものを再利用する場合も多いのですが、ナショナリズムのように近代において初めて登場するイデオロギーを補強するために伝統が創られた事例にオブズボウムは注目してようとしています。
続いて、歴史家であるボブズボウムは、過去を記述する歴史家の研究自体が(教科書を書くといった形で)新しい伝統の形成に、部分的にしろ、責任を負っていることに注意を喚起していることを確認しました。参考例として、「江戸時代」についての評価が、全面的に否定的なものからより肯定的なものへと変化した日本の事例を取り上げました。
次回は春学期最後の週となります。夏学期の研究計画を準備して提出してください。