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【3年次ゼミ】6月24日

【3年次対象ゼミ】

今週は、『創られた伝統』の序論をもとに「創られた伝統」について検討しました。

  • エリック・ホブズボウム、テレンス・レンジャー編『創られた伝統』紀伊國屋書店、1992年

「創られた伝統」(invented tradition)の定義は、日本語版のp.18に記載されていますが、実は、この訳文には誤訳があります。その点を訂正し、分かりやすいように3つに分解して整理すると以下のようになります。

  • 創られた伝統は、一般に、明示的あるいは非明示的に受け入れられた規則に従う、一連の実践(a set of practices)のことである。
  • これらの実践は、儀礼的あるいは象徴的な性格を帯びており、反復されることで、行動にかかわる何らかの価値ないし規範を示唆する。
  • これらの実践は、反復されることで、必然的に過去からの継続性を含意する。

ゼミでは、創られた伝統と伝統的社会における慣習(custom)の違いについて検討しました。ホブズボウムによると、慣習は、先例に従う一方で、現実に合わせて変化するものであるのに対して、伝統は、過去からの継続性を反復によって示すことに意味があるので、むしろ変化しないことに価値があるとされます。

『創られた伝統』では英国法廷での伝統的な裁判官のカツラが例に取り上げられていましたが、最近のイギリスでは廃止が進んでいるようです(AFPのニュース記事参照)。

次回では、創られた伝統と因習(convention)あるいは日常慣例(routine)との区別(pp.12-13)を検討したうえで、近代化と創られた伝統の関係(pp.14-19)について検討することにします。

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