【3年次ゼミ】5月13日
【3年次対象ゼミ】
今週は641教室での対面授業でした。先週に引き続き「序章」について、以下のポイントを中心に議論し、内容の理解を深めました。
まず、「ナショナリズム」の日本語訳として「国民主義」と「民族主義」の2つがあることを出発点に、日本語の「民族」には英語のnation、インドネシア語のbangsaという意味と、英語のethnic group、インドネシア語のsuku bangasaという意味の二つがあること、現代の近代国家においては、領土、国民、主権からなる国民国家(nation state)が国家の「あるべき形」であるという考え方が一般化したことを確認しました。
アンダーソンはそのような「国民」が実は「想像された共同体」(に過ぎない)ないことを指摘しました。ただ、ナショナリズムには様々な弊害(例:ユーゴスラビア紛争)がありますが、植民地の独立などの面では意義があったとアンダーソン自身は考えているようです。
次に、なぜナショナリズムはマルクス主義にとって「変則」だとアンダーソンは述べたのかについて検討しました。マルクス主義理論では、社会は階級(資本家と労働者)によって分けられ、同じ階級は国境を越えて連帯すべきものとして理解されていました。現実には、マルクス主義を標榜する国家さえも、ナショナリズムの原理で動かざるをえなかったことを確認しました。
ホワイトボードの記録をアップしておきます。
次回は、「序章」について、以下のポイント:
- アンダーソンは、なぜナショナリズムの定義を「人類学的精神」でおこなうと述べたでしょうか?
- アンダーソンによるナショナリズムの定義にある、「想像されたもの」「限られたもの」「主権的なもの」「一つの共同体」として想像される、というのは、それぞれどういう意味でしょうか?
について検討します。
そのあと、第2章「文化的根源」の検討にはいるので、書評レジュメを作成して提出してください。