≪ 【院生ゼミ】7月6日 | トップ | 【4年次ゼミ】7月9日 ≫

【3年次ゼミ】7月9日

【3年次対象ゼミ】

今週は、以下の文献の書評レジュメを提出してもらい、オランダ植民地期のバリの観光化と伝統の創造について議論しました。

  • 永淵康之「観光=植民地主義のたくらみ―1920年代のバリから」山下晋司編『観光人類学』(新曜社、1996)pp. 35-44.

最初に、1906年と1908年のオランダによるバリ侵攻とバリ王族のププタン(集団自決)の衝撃について検討しました。

続いて、1932年にバリを訪問したチャップリンのドキュメンタリー映画 Chaplin in Bali(2017年)の予告編を見て、ここに描かれた、当時の欧米人がバリに見出したもの(仕事と遊びが有機的に結びついた生き方、文明に汚染されていない自然な生き方)を検討しました。また、「悪魔の島」をはじめとするバリを舞台にした当時の映画がこのような見方を助長したことも確認しました。

このようなバリの文化と社会はけっして「自然に」できあがったものではなく、1908年にバリの最後の王国を破壊した後、オランダが意図的に作り上げ、観光地として整備してきた結果である(観光と植民地支配は表裏一体)というのが、この論文の論点であることを確認しました。

このことは、同時代のバタビアの状況(自動車と路面電車が走り洋服の人々が闊歩する街並み)と比較してみると、より明らかになります。

次回は春学期最後のゼミになります。現代段階での卒論テーマと夏学期・春学期に向けての研究計画について報告をしてもらう予定です。

          

カテゴリー

新規エントリーの投稿
[権限をもつユーザのみ]