≪ 【院生ゼミ】6月29日 | トップ | 【4年次ゼミ】7月2日 ≫

【3年次ゼミ】7月2日

【3年次対象ゼミ】

今週は、附属図書館のオンラインジャーナル・データベースを使って調べてもらった「ケチャ」と「ヴァルター・シュピース」の記事をもとに、ケチャについての理解を深めました。

現在、私たちが知っているケチャの始まりは1933年に公開されたドイツ映画「悪魔の島」の撮影がきっかけであり、その創造には、バリに住んでいたドイツ人芸術家ヴァルター・シュピース(Walter Spies)が深く関与していることを確認しました。ケチャの主要な要素としては、憑依儀礼サン・ヒャン(Sanghyang)の男声伴奏とラーマーヤナ(Ramayana)を演じる舞踊があることも確認しました。

「悪魔の島」についての基本情報は以下の通りです。

  • Insel der Dämonen(ドイツ版タイトル、イギリスではBlack Magic、アメリカではWayan: Son of a Witch)、監督Friedrich Dalsheim、白黒、78分(ドイツ版)、1933年公開、[IMDb]

当時は、それまでの無声から音声の付く映画が普及した頃で、海外ロケによるエキゾチックな題材が欧米の大衆の間で好評を博した時代でした。「悪魔の島」という題名には非キリスト教の信仰に対する西洋的な視点が含まれています。以下の論文が参考になります(JSTORで閲覧可能)。

  • Cohen, M. (2015). Representing Java and Bali in Popular Film, 1919-54: Sites of Performance, Extra-daily Bodies, Enduring Stories. In Legêne S., Purwanto B., & Nordholt H. (Eds.), Sites, Bodies and Stories: Imagining Indonesian History (pp. 132-156). SINGAPORE: NUS Press.

現在上演されているケチャでは、金色の小鹿が現れてラーマを森におびき出したあと、ラーヴァナがシーターを誘拐する場面を中心とするものが多いのですが(Youtubeの例)、かつては、猿のスグリーヴァとスバリの兄弟争いを描くものもあったことが分かります(Youtubeの例)。

次回は、以下の文献の書評レジュメをもとに議論を深めたいと思います。

  • 永淵康之「観光=植民地主義のたくらみ―1920年代のバリから」山下晋司編『観光人類学』(新曜社、1996)pp. 35-44

          

カテゴリー

新規エントリーの投稿
[権限をもつユーザのみ]