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【3年次ゼミ】6月25日

【3年次対象ゼミ】

今週は、最初に大学附属図書館のオンラインジャーナル・データベースにアクセスして論文や記事を検索する方法について紹介しました。今週のゼミで取り上げたのは、学部生にも使いやすい以下のリソースです。

  • CiNii 国内の学術雑誌の検索
  • J-STAGE 国内のオンラインジャーナルの検索
  • JapanKnowledge Lib 『岩波 世界人名大辞典』『東洋文庫』などの日本語の参考図書の検索
  • 聞蔵IIビジュアル(朝日新聞) 朝日新聞の記事の検索
  • JSTOR 英語の人文・社会科学分野の学術雑誌の検索
  • Gale eBooks 英語の参考図書の検索

オンラインジャーナルに収録された論文や記事のうち、オープンアクセス(Open Access)になっているものは、論文や記事そのものをPDFで読んだり、ダウンロードしたりすることができます。

オンラインのPDFの文献を保存する場合、自分のパソコンにダウンロードするだけではなく、クラウドのストレージに保存すると効率的です。今週のゼミではEvernoteというクラウド・ストレージを紹介しました。また、Webクリッパーを使うとブラウザーで表示されている情報をその場でEvernoteに保存することができます。

また、PDFの文献を読むとき、検索機能(Windowsではコントロール+F、Macではコマンド+F)を使ってキーワードを見つけると効率的です。

練習として、Gale eBooksを使ってKecakとWalter Spiesについて調べる課題を出しました。

ゼミの後半は、「序論:伝統は創り出される」について残った論点を検討しました。まず、「新しく創り出された伝統」は、しばしば古い材料を再構成して創られたという指摘を検討しました。日本の国歌「君が代」が、和歌(10世紀の古今和歌集)から取った歌詞と雅楽から取った旋律を採用しながら、近代的な国民国家の象徴として創り出されたことが例として挙げらることを確認しました。

次に、歴史学者であるホブズボウムの関心が、近代、つまり産業革命以降、とりわけ19世紀以降の「創られた伝統」にあることを確認しました。言い換えれば、アンダーソンの「想像された共同体」としての「国民国家」によって創り出された「伝統」であると言ってよいでしょう。

この点で、「解説」で文化人類学者の青木保が指摘しているように、今目の前で観察できる「文化」に関心を持ってきた文化人類学者は、ホブズボウムの指摘によって過去の「伝統」に関心を持つようになったものの、近代以前の異文化を対象としている限りは、ホブズボウムの「創られた伝統」の議論とは、似ているようで異なっているということになります。

次回からは、これまでの議論を踏まえつつ、対象をインドネシアに移し、オランダ時代のバリの観光開発を論じた以下の論文をもとに議論をする予定です。

  • 永淵康之「観光=植民地主義のたくらみ―1920年代のバリから」山下晋司編『観光人類学』(新曜社、1996)pp. 35-44

          

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