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【3年次ゼミ】6月18日

【3年次対象ゼミ】

今週は、ホブズボウム編著『創られた伝統』(紀伊國屋書店、1992年)のホブズボウム「序論:伝統は創り出される」の書評レジュメをもとに議論をしました。

とくに結論部で述べられている、近代の国家が悠久の過去に起源があるという共同体(国民)を創造している、という一見、逆説的に見える事実に注目すべきであるという主張は、アンダーソンの言う想像された共同体としての国民という議論と、明確につながっていることを確認しました。

続いて、ホブズボウムが、近代に創造された新しい伝統と、前近代の古い伝統を区別している点を確認しました。古い伝統が衰退した分を新しい伝統が補うことになったが、古い伝統が社会の中で果たしていた役割と比べて、新しい伝統の役割ははるかに小さいと主張されています。

自由主義者や社会主義者のような改革者と伝統の創造との関係についても議論を行いましたが、この点については、もう少し原文を見直した方がよいようです。

また、伝統が創り出される背景についても、次回に改めて議論することにします。

『創られた伝統』を読んだあとは、インドネシアの事例として、オランダ植民地期のバリの観光と芸能を取り上げる予定です。

          

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