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Zoomによるオンライン授業

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新型コロナウイルス感染拡大にともない、東京外国語大学ではビデオ通話ができる同期型遠隔授業ではZoomを採用してオンライン授業を行うことになった。今日で新学期第1週が終わったところである。本学では非同期型遠隔授業のシステムとしてMoodleがすでに導入されているが、新たにZoomを導入した経緯を私の関わった範囲で記録しておきたい。まず、導入の理由を挙げておく。

  • 本学では語学授業が教育の根幹にあるため、学生の発音がその場で指導できるビデオ通話による同期型遠隔授業は不可欠である。
  • 授業だけでなく教授会などの学務も遠隔で行う必要があることを考慮すると、ビデオ通話ができるシステムの導入が必要である。
  • ビデオ通話ができるシステムの中で、多人数が参加するビデオ通話が比較的簡単に実施できるのがZoomである。

最後のポイントをもう少し補足しておきたい。全教員が全学生を対象に遠隔授業を実施することを想定すると、検討時点でZoomがもっとも現実的な選択であった。Polycomに代表されるテレビ会議システムは高額な設備が必要であるし、よく知られたSkypeは送信側と受信側の両方でアカウントを持つ必要がある。それに対して、Zoomはパソコンだけで利用できるし、受信側(学生)がアカウントを持つ必要がない分、導入が容易である点で、優位性が明確であった。

一方で、ほとんどの教員にとってZoomの利用経験がないため、授業の開始までに、授業運営に必要なレベルの習熟が必要となる。新年度の春学期開始が4月20日に繰り下げられたので、それまでに準備を進めることになった。

とくに、大学で教育用アカウントを購入し、専任・非常勤を問わず本学の全教員に(その後、職員にも)有償アカウントが利用できるようにする方針が決まったことは、導入を円滑に進めるうえで大きな決定であった。

3月16日(月)に教員有志によるZoomミーティング「Zoomをわいわい使ってみよう会」が開催された。これを皮切りにZoomを使った教員対象のZoom勉強会(のちに講習会)が頻繁に開催された。

3月17日(火)に、Zoomミーティングでの経験や質疑応答を記録し、共有する場として、Dropbox Paperを利用した「Zoomの使い方の疑問、あれこれ」を設置した。ここから多くのオンラインの情報共有ページが作られ、さらにマニュアルとしてまとめられたものがPDFとして大学ウェブサイトで公開された。

3月下旬の週には本学の専任教員を対象にしたZoom講習会がほぼ毎日、当初は日本語、最後は英語で開催され、4月7日(火)には本学の非常勤講師を対象にしたZoom講習会を実施した。

並行して、3月21日に、Zoom導入に係る学内の体制を検討するメーリングリストを設置した。さらに、3月31日に、教員からの質問に答えるチーム「Zoomお助け隊」を設置し、メーリングリストを公開して日本語・英語での質問に答える体制を作った。

当初から提起されていたZoomのセキュリティ問題について、本学では、遠隔授業の利便性とセキュリティ確保のバランスを取りながら、試行錯誤のうえで、大学推奨の設定を提示するとともに、学務情報システムを利用してZoomミーティングのIDとパスワードを履修学生に伝達することで、ミーティングのセキュリティを確保することとした。

4月10日(金)には大学院のオリエンテーションを動画とZoomで実施、4月13日(月)には学部のオリエンテーションを動画とZoomで実施し、学生にオンライン授業の進め方を周知した。教員のZoomによるプレミーティングの経験を経て、4月20日(月)に春学期の開始を迎えた。幸い大きな混乱はなく1週間目を終えることができた。

これまでの導入の経緯をみると、教員側で見られた問題として、最初はZoomアカウントのアクティベートの問題、その後はZoomミーティングのスケジュールや開催をめぐる問題、録画記録に関わる問題が提起された。学生側のネット環境が懸念されたが、アンケートの結果、新入生の1割弱が何らかの問題があることが判明した。在校生はおおむね問題がなかった。ネット接続の不安定性は継続した課題として残っている。

もとよりオンライン授業はZoomだけで実施するものではなく、Moodleやメールなどとの組み合わせで行われるべきものである。しかし、最初に挙げた理由でZoomの導入に注力する必要があったし、そうしたことで少なくとも最初の第1週は円滑にオンライン授業を始めることができたと総括してよいであろう。

          

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