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憲法裁判所による国民の信教の自由に関する判断

【一般】

11月7日にインドネシアの憲法裁判所(Mahkamah Konstitusi)はインドネシア国民の信教の自由に関する憲法の規定について判断をくだしました。これは画期的な判断だと思われるのでご紹介しておきます。

判断の要点を整理すると、以下のようになります。

  • 国民の信教の自由は、自然権にもとづく基本的人権の一つであって、憲法で保障された権利であり、国家によって与えられるものではない。
  • 国家には国民の信教の自由を保護し保障する義務がある。
  • 現行の1945年憲法第29条で規定されている「宗教」(agama)と「信仰」(kepercayaan)は二つの対等な事象である。したがって、現在、公認されている6宗教(イスラーム、プロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教、儒教)以外のインドネシア土着の信仰についても、国家は保護し保障する義務がある。

今回の憲法裁判所の判断は、今後、インドネシア社会に大きな影響を及ぼす可能性があります。

インドネシアでは、家族登録証(KK)と住民登録証(KTP)の制度が住民登録法で定められており、国民には登録が義務づけられています。KKとKTPには宗教(agama)の欄があり、公認されている6宗教のいずれかを記載することが求められてきたため、インドネシア土着の信仰を奉じる人々から改善の要求が続いていました。今回の憲法裁判所の判断は、インドネシア土着の信仰をKTPやKKに記載する道を開くものとなります。

また、国民一人一人の信教の自由は基本的人権の一つであると明言し、国家にはそれを保護し保障する義務があると判断したことも、インドネシアにおける宗教的寛容性の動向を考えるうえできわめて重要なできごとであると思われます。

詳しくは、憲法裁判所の判断を報道する以下の記事を参照してください。
・インドネシア語の新聞記事(2017年11月7日付けKompas紙
・同記事の日本語訳(メディア翻訳

以下のインドネシア語のサイトも参考になります。
インドネシア共和国1945年憲法
住民登録に関する2006年法律第23号

          

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