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2008年度第3回イスラーム文化表象科研研究会

【一般】

基盤研究(B)『地球規模における「イスラーム」表象の宗教的・文化的総合研究』の2008年度第3回研究会を以下のとおり開催します。

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[ポスターのファイル](PDF, 204KB)をダウンロードできます。

■科研《地球規模における「イスラーム」表象の宗教的・文化的総合研究》第3回研究会
■国際セミナー「イスラームと文学表象」
□報告:エカ・クルニアワン(作家)「イスラームと文学表象」
□コメント1 柳原孝敦氏(本学スペイン語専攻):スペイン語文学の視点から
□コメント2 澤井志保(本学博士課程):現代インドネシア文学界の潮流
■日時:2008年12月1日(月)16:30-18:30
■場所:東京外国語大学 研究講義棟 総合文化研究所会議室(422)
■報告はインドネシア語、日本語通訳つき。

■趣旨:
インドネシアの新進文学者エカ・クルニアワン氏(Eka Kurniawan)をお招きし、近作の小説に描かれたイスラームについて語っていただき、しばしば政治・宗教の側面でのみ語られがちなイスラームについて、文学作品におけるイスラームの表象という視点から討議いたします。

エカ氏の前作『美は傷』は、ラテン・アメリカ文学の影響を濃厚に受けた作品ですので柳原孝敦氏(本学スペイン語専攻)にスペイン語文学の視点から、また、最近のインドネシア文学界の潮流について、澤井志保氏(本学博士課程)に、コメントをしてもらいます。

メンバー以外の方、学生・院生にも公開していますので、ふるってご参加ください。

■『美は傷―混血の娼婦デウィ・アユ一族の悲劇』(上下2巻.新風舎文庫.新風舎.2006年)は絶版ですが古書で入手可能です。
■エカ氏には個人ウェブサイトEka Kurniawan Projectがあります(インドネシア語)。

【追記】
セミナーは無事に終了しました。28名の方々の出席があり、活発なコメントや質問をいただきました。青山ゼミの学生たちも参加してくれました。参加者の皆様にお礼を申し上げます。会場の様子を写した写真を紹介します。

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右から、エカさん、通訳者の西広さん、コメンテータの柳原さん、澤井さん、座長の青山。

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会場の様子。

今回のセミナーでは、エカさんがポスト・ガルシア世代の作家であることが改めて確認されました。しかし、ガルシア・マルケスや日本のポスト・ガルシア世代である中上健次の作品世界が男系中心主義であるのとは異なり、エカさんの作品世界が女系中心主義である点が特徴的であるという指摘をいただきました。これは、東南アジア社会が双系社会であることと関係があるのかもしれません。

また、ガルシア・マルケスの『百年の孤独』と対照的にエカさんの『美は傷』では、墓を掘り返す人に焦点が当てられていることの意義についても指摘がありました。

最後に、インドネシア人の出席者の質問に答えて、エカさんから、イスラームが多数派であるインドネシア社会において主流派のイスラームの見解に疑義を呈することのリスクが指摘されたことが印象に残りました。

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