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インドネシア語劇でSiau Lingを上演

【2007年度の記録】

今年も外語祭の季節がやってきました。例年2年生が中心になっておこなう語劇では、Remy Sylado原作の戯曲Siau Lingを脚色したドラマを上演します。

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■日時:2007年11月21日(水)午後6時半開演
■場所:研究講義棟101教室
■詳細は外語祭公式サイトをごらんください。

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■物語の紹介【bahasa Indonesia
1945年生まれの原作者レミ・シラド(Remy Sylado)は1930年代のインドネシア華人社会を描いた小説『チャバウカン』(茶房館)で知られていますが、本作でも15世紀の中国人タン一家を取り上げています。インドネシアではスハルト政権のもとで公の場における中国文化の表現が禁じられていたので、このように華人とジャワ人の交流を真っ正面から取り上げた文学作品の出現は時代の変化を感じさせます。

タン一家は、1405年にジャワ島中部北岸のスマランを訪れた鄭和の遠征隊から離脱して土地に定住した一家という設定になっています。15世紀前半と言えばマジャパヒト王国が栄えていた時代ですが、この頃のジャワ島北岸に中国人の居住地があったことは記録に残っていますから、タン一家のような例があったとしても不思議ではありません。

この家族のうら若い一人娘ライ・クンを妻にしようと望んでいるのが、71歳のジャワ人貴族ウィロティクトです。彼は、ジャワ島東部北岸のトゥバンのアディパティ(日本で言えば県知事にあたる役職)で、当時の貴族階級の慣習として50人もの妻を持っていますが、プリンボン(ジャワの伝統的占い)の託宣にしたがって、少女を51人めの妻に迎え入れ、他の妻たちをすべて離婚しようと考えているのです。色呆け、権力呆けした彼の姿は、権力に溺れた支配者の象徴と言ってよいでしょう。彼の妻の一人ルンゴニンが、ウィロティクトの結婚話をなんとか失敗させようと若者サミックを使って画策するところから、物語は動き始めます。題名のシャウ・リンとは縦笛のことで、物語の中である大事な役割を果たすことから、そう名付けられています。

過去を舞台にした小説は、便宜上、歴史小説と時代小説に区別されます。簡単に言えば、歴史小説は過去のある時代を史実に即して再構築したもの、時代小説は過去のある時代を舞台として作者の意図を込めて自由に創作したものです。本作は15世紀のジャワを舞台にしていますが、権力者とその取り巻きの腐敗した様子をコミカルに描くことで、むしろ現代の政治権力の腐敗に警鐘を鳴らしているように思われます。その意味で、本作は、時代小説の範疇に入る軽妙な風刺作品と言ってよいでしょう。お楽しみください。

なお、今回の上演および原作についてはガドガドAku Lelaki Malam といったブログでもインドネシア語で紹介されています。

【追記】
無事に上演を終えることができました。初日の平日、しかも一番遅い時間帯と、理想的な上演時間ではなかったと思ったのですが、大勢のお客さんたちに見に来ていただき、101の大教室もほぼいっぱいでした。在東京インドネシア大使館からも3人の賓客をお迎えしました。

いざ幕が開くと、学生たちはみんなどこからこのエネルギーをもらったのかと思うほどのパワフルな演技で、すっかり場内を虜にしたようです。サミックとライ・クンとの情感あふれるふれあい、ダエンとプリンゴロヨのコミカルな掛け合い、おかまの踊り子のエロティシズム、それに老人ウィロティクトのほぼ怪演に近い熱演などなど、一つ一つが印象に残りました。幕が閉じてからも、大きな余韻が観客席に渦巻いていたようです。最初から指導をいただいた本学外国人教員のウントゥン先生には大きな感謝の気持ちを示したいと思います。

上演の写真を紹介します(画像をクリックすると拡大)。
【写真1】鳥かごの鳥に語りかけるライ・クン
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【写真2】愉快なジャワの踊り子
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【写真3】プリンゴロヨとダエンのコミカルな掛け合い
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【写真4】見つめ合うサミックとライ・クンの二人
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【写真5】横たわるサミックに寄り添うライ・クン、ルンゴニン、プリンゴロヨ
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【写真6】アディパティ・ウィロティクトの最期
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【写真7】役者スタッフが全員そろって舞台から挨拶
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【写真8】舞台が終わって、ウントゥン先生の奥さんといっしょに
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