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【3年次ゼミ】5月14日

【3年次対象ゼミ】

今週は、先週に引き続いてベネディクト・アンダーソン『定本 想像の共同体:ナショナリズムの起源と流行』の書評レジュメをもとに議論をおこないました。

最初に、先週読んだ序章(第1章)の内容を振り返り、とくに、ナショナリズムの日本語訳について検討しました。簡単に整理すると以下のようになります。

  • 1. nationは「国民」と訳される。この場合、nationalismの訳は「国民主義」となる。
  • なお、United Nationsは「国際連合」と訳されているけれども、本来は「団結した諸国民」という意味である。
  • ちなみに、インドネシア語ではnationはbangsaと訳される。国際連合はPerserikatan Bangsa-Bangsaと訳されており、United Nationsの原意に近い。
  • 2. nationは、いまだ独立して国民になっていない集団が国民になることを目指している状態では「民族」とも訳される。この場合、nationalismの訳は「民族主義」となる。したがって、オランダからのインドネシア「民族」の独立を主張したスカルノはnationalist「民族主義者」と呼ばれる。
  • 3. 日本語ではethnic groupも「民族」と訳される。「インドネシアは多民族国家である。そのうちジャワ人(族)が最大の民族である」という文の「民族」はethnic groupの意味である。日本語では「民族」の意味が2種類あって使い分けられているので注意が必要。
  • ちなみに、インドネシア語ではethnic groupはsuku bangsaと訳されており、日本語のような混乱はない。

続いて、第2章の冒頭を取り上げ、ナショナリズムは、個人は死んでもネーションは不滅という感情を提供する点で、かつて宗教共同体がもっていた機能をになっているというアンダーソンの指摘を検討しました。

次回は、第2章の続きを読んでいきます。そのあと第3章に進むので、第3章の書評レジュメの提出をお願いします。

          

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