≪ ワークショップ「中世南・東南アジアにおける仏教僧院の支援および社会的文脈についての碑文史料」 | トップ | 【4年次ゼミ】5月30日 ≫

【3年次ゼミ】5月30日

【3年次対象ゼミ】

今週は、最初に、6月21日(金)に予定しているアクティブ・ラーニングの課題を提示しました。単に調べるのではなく、疑問とそれに対する答えという特徴的な「切り口」を設けてレポートを作成してください。提出は6月13日のゼミの時間です。

続いて、先週に引き続いて、ベネディクト・アンダーソン著、白石隆・白石さや訳『定本 想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行』(2007年、書籍工房早山)の第2章「文化的根拠」の書評レジュメをもとに、議論を行いました。今回は、第2章で述べられている、非ヨーロッパ世界探査の影響による宗教共同体の衰退について検討しました。

イスラーム世界や中国世界などの非ヨーロッパ世界と出会うことで、ヨーロッパの知識人のなかにカトリック教会の権威に対して疑念が生じたことが、宗教共同体の衰退の大きな要因になったことを確認しました。とくに中国世界が(イスラーム世界と違って)一神教の神の信仰を持たないにもかかわらず高度な文明を持っていたことは、ヨーロッパの知識人に大きな衝撃を与えたことが知られています。また、アンダーソンは強調していませんが、地理的な発見自体が、不動の大地の周りを天界が周回するとする天動説を唱えていたカトリック教会の権威を揺るがしたことも注目されます。

なお、カトリック教会という巨大な宗教共同体の衰退は必ずしもキリスト教への信仰を揺るがしたわけではく、ルターのドイツ語訳聖書など民衆の口語による聖書の出版により、一人一人が聖書を読むことが可能になったことで、信仰のあり方が個人の内面の問題へとシフトしたことにも留意したく思います。このような宗教共同体の衰退は、近代の国民という「想像の共同体」の出現へとつながっていきます。

来週、6月6日は学内競漕大会のため休講なので、次回は、6月13日になります。アクティブ・ラーニングの課題レポートの報告をお願いします。

whiteboard-20160530.jpg

          

カテゴリー

新規エントリーの投稿
[権限をもつユーザのみ]