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【古典文化論】 2月4日

【東南アジア古典文化論】

今週は今学期最後の授業です。配付資料をもとに、14世紀にジャワで作られたスタソーマ物語を分析することによって、「インド化」した東南アジアにおける仏教思想の到達点を検討します。スタソーマ物語では密教の不二一元論に基づいて、仏伝、ジャータカ、ヒンドゥー叙事詩の物語の要素を包括した物語が語られています。スライドでは、20世紀にバリで作成されたスタソーマ物語の天井画を紹介します。

期末課題レポートを提出してもらいました。

1学期から2学期にかけて長いあいだ受講ありがとうございました。追記に期末課題レポートへの講評を記しているので参考にしてください。

■今週の配付資料
「スタソーマの概要」 ファイルをダウンロード (223KB, PDF)

【期末課題レポートへの講評】
課題1
 須弥山儀に基づいて伝統的な仏教の世界観を説明する部分は、ほとんどの人がきちんと説明できていました。
 ただし、釈迦の「降兜卒・入胎」を説明する部分で、ほとんどの人が言葉の解釈(兜卒天から降りて摩耶夫人の胎内に入った)にとどまっていたのは残念でした。須弥山の上空に浮かぶ兜卒天(六欲天の一つ)から、須弥山の南方の大陸である閻浮提(人間の世界)に転生したことまで指摘してもらうと、仏教的世界観の中での位置付けならびに課題2の輪廻転生の問題とも関連づけることができて、理解が深まったと思います。

課題2
 輪廻転生は仏教とヒンドゥー教の区別なく古代のインド社会において共有されていた認識ですが、六道の中の輪廻を苦とみる仏教とヴィシュヌ神への帰依を強調するラーマーヤナにおけるヒンドゥー教では、輪廻転生への見方が違うことを見落とすことはできません。
 ラーマーヤナでは、輪廻転生が、ヴィシュヌ神の10のアヴァターラの一つであるラーマが悪鬼ラーヴァナを倒し、世界にダルマ(秩序)を回復するという大きなテーマを支えるために使われていることに注目して欲しいと思います。
 課題1に比べて課題2の解答の分量が少ない人が多かったのが気になりましたが、ラーマ以外の登場人物の輪廻転生や、ヴィシュヌにかけられた呪い(シーターとの離別)についても調べてくれた人がいたのはよかったと思います。

          

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