【古典文化論】 5月14日
【東南アジア古典文化論】
今週は、東南アジアの「インド化」(Indianization)について、何を、いつ、誰が、どのようにインド化を進めたのかを検討してみました。まず、セデスのインド化の定義をもとに、インド化の概要をみたあと、東アジアの「中国化」と対比させながら、漢字に対応する南インド系ブラーフミー文字(東南アジアのインド系文字の起源)の重要性を指摘しました。
文字の使用を手がかりに、インド化の開始が一般的に5世紀頃から始まることを示しました。また、インド化の担い手としては、商人が開拓した海上交易ルートにのって僧侶が知識を伝えた状況を示しました。
東南アジアのインド化に対応する現象としてインド本土の「サンスクリット化」に注目し、グプタ朝で完成した古典的なインド文化がインド本土内で普及し、さらには東南アジアに伝播した状況を示しました。東大寺の大仏開眼供養もこのような潮流のなかでのイベントでした。
最後に、東南アジアになぜ「カースト制」が定着しなかったのか検討しました。
次回は、インドの宗教について説明する予定です。
今週は宿題が出ています。プリントでは来週提出となっていますが、再来週5月28日の授業時間中に提出してください。
■今週の配付資料
ファイルをダウンロード (326KB, PDF)
■今週の宿題
・大学のパソコンから以下にアクセス:
http://www.tufs.ac.jp/common/library/local/online/ondb-j.html
・Gale Virtual Reference Libraryに接続
・Basic Searchの枠に「Indianization」と入力し検索。ヒットしたリストから以下のリンクをクリック:
Hinduism in Southeast Asia. Vasudha Narayanan. Encyclopedia of Religion. Ed. Lindsay Jones. Vol. 6. 2nd ed. Detroit: Macmillan Reference USA, 2005. p4009-4014.
(必要ならView PDF pagesをクリックしてPDFページを表示し、プリントアウト)
・この論文の中のIndianizationについて議論をおこなっている部分(p.4010)を読み、800字以内の日本語に要約してください。とくに、現代の東南アジアにおいて古典インド文化の影響がもっとも残っている分野があきらかになるようにまとめてください。再来週5月28日の授業時間中に提出。