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11月14日 【3年次ゼミ】

【3年次対象ゼミ】

今日は、10月30日に80歳で死去したC.Geertz "The Religion of Java"Chicago: University of Chicago Press. 1976.のレジュメの報告がありました。

予定していた青山の論文については、次回以降、輪読するためのレジュメ分担を決めました。また、次回は、共同研究室のパソコンを使って文献検索をする方法を説明します。次週は外語祭の期間なので、次回のゼミは再来週に開催です。

以下は、今日のレジュメに対するコメントです。

この本は、信仰の様態を基準として、ジャワ社会の階層をアバンガン、サントリ、プリヤイの3類型に分類して論じています。現在では、ギアツの3類型よりも、これにオラン・クチル(庶民)を加え、正統的なイスラーム信仰の強さを軸とした、サントリ=アバンガンの軸と、社会における地位の高さを軸としたプリヤイ=オラン・クチル(庶民)の軸の組み合わせでジャワ社会を理解するようになっています。

また、アバンガンの特徴として取り上げられている共食儀礼スラマタンについて、ギアツは様々な種類があると記述していますが、むしろ、さまざまな伝統的儀礼があり、それらに共通する要素としてスラマタンが見られると理解する方が適切であると思います。

このように、ギアツの分析にはいくつもの修正が必要ですが、アバンガン、サントリ、プリヤイという分析枠を初めて提示したという点で、この本の先駆的価値はゆるがないでしょう。ギアツの研究に対する批判・反論についてはさらに調べてみてください。また、イスラーム関連の概念については、事典などで調べる必要があります。

スルタンのもとでの社会状況に関心があるのであれば、オランダ語、ジャワ語文献も必須ですが、卒論レベルであれば、まず、インドネシア語、日本語、英語で読める文献に限定できるテーマの設定が必要でしょう。オランダ植民地時代のイギリス人が書いた見聞録を中心にするなどの方策が考えられます。

          

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