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2026年9月2日(水)から8日(火)まで、アメリカ合衆国ハワイ州オアフ島において、2026年度ハワイスタディツアーを実施しました。

東京外国語大学は東京農工大学と「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」において、文理協働的な研究を展開しています。本スタディツアーは、東京外国語大学J-PEAKS研究プロジェクト「タロイモ栽培と稲作から読み解くハワイの土地・水利用の歴史と現在:植民地主義の遺産と農地再生の可能性」参画教員を中心に、東京外国語大学学際研究共創センター(TReNDセンター)と、大学の世界展開力強化事業「太平洋を≪架橋≫するブリッジ・パーソン養成プログラム(TP-Bridge)」が企画・運営したものです。

今回は学生14名、教職員4名が参加しました。ハワイにおける土地・水・生態系の伝統体系である ahupuaʻa(アフプアア)を手がかりに、ハワイの文化と社会、農業、食、先住民の権利、植民地主義、サステナビリティなどについて、現地での講義やフィールドワークを通して学びました。

今回のTUFS Todayでは、ハワイスタディツアーの様子を紹介いたします。

事前学習――それぞれの問いを持って現地へ

出発前には全3回の事前学習を実施しました。

ハワイの土地・水・農業と多文化社会、島嶼地域における農業、ハワイ王国の転覆、ネイティブハワイアン向け住宅区画ハワイアン・ホームステッドなどについて学ぶとともに、学生一人ひとりが現地で何を見て、何を考えたいかを整理し、自分自身の問いを設定しました。事前講義は松平けあき特任助教が担当したほか、東京農工大学の新井祥穂教授、関東学院大学の四條真也准教授にもご協力いただきました。

Day 1|ハワイ大学で土地・水・食をめぐる課題を学ぶ

現地到着後、ハワイ大学マノア校を訪問しました。

同校内に所在する「Kamakakūokalani Center for Hawaiian Studies」(カマカクーオカラニ・ハワイ研究センター)では、kalo(タロイモ)畑やMānoa Stream(オアフ島ホノルルのマノア渓谷(Mānoa Valley)を流れる小川)を見学しました。

タロイモ畑におけるレクチャー

その後、社会学博士課程のMadison Owens氏から、米軍施設をめぐるハワイの水質汚染とその社会運動について、ハワイ大学マノア校の木村あや教授(社会学)からは、ハワイにおけるフード・サステナビリティ(長期的に安定して食料を生産・供給できる仕組みを維持すること)と不平等について講義を受けました。特に「solutionism」(ソリューショニズム)の問題について学び、社会課題を単純な技術的解決や市場的解決に回収させず、構造的・歴史的に捉える視点を得ることができ、その後のスタディツアーでの学びの視野を広げることができました。土地や水をめぐる問題が、環境問題だけではなく、植民地主義、軍事、社会的不平等などと深く結びついていることを学びました。

木村教授によるレクチャー

Day 2|kaloとpoiから、文化と産業のつながりを考える

2日目は、食品加工会社「Taro Brand Company」を訪問し、蒸したkalo(タロイモ)を水とともに撞いたネイティブ・ハワイアンの主食poiの機械による加工について学びました。プレゼンテーションと工場見学を通じて、ハワイの伝統食であるpoiが、現代の食品産業のなかでどのように商業的に生産され、受け継がれているのかを知る機会となりました。

加工用タロイモの山
食品加工の工場を見学

Day3|土地に触れ、農業と文化の関係を学ぶ

「Mānoa Heritage Center」(マノア・ヘリテージセンター)では、ハワイの伝統的な植物と人々の生活・文化との関係について学びました。

マノア文化遺産センターでの集合写真

オアフ島にある有機農場「Mohala Farms」(モハラ・ファームズ)では、かつてプランテーションとして利用された土壌の回復に、長い時間をかけて取り組んできた経緯について学びました。有機農業や農場運営について説明を受けた後、実際に除草作業をおこない、ti leaf(ティーリーフ。ハワイで大切にされている植物)を用いたレイ作りを通じて体験的に学びました。

モハラ・ファームでのレクチャー
実際に除草作業を体験

Day4|loʻi kaloで地域の人々とともに農作業を体験

早朝にファーマーズマーケットを見学し、地元で生産・販売されている農産物や加工品の種類や価格などから、ハワイの農業と消費のあり方について考えました。

ファーマーズマーケット

その後、ハワイ大学マノア校の伝統的なタロイモ水田の教育・文化施設「Ka Papa Loʻi ʻo Kānewai」(カ・パパ・ロイ・オ・カーネヴァイ)では、毎月第1土曜日に開催されるコミュニティ・ワークデーに参加しました。ハワイ大学マノア校の学生や地域住民とともにタロイモ水田「loʻi kalo」で農作業を行い、kalo(タロイモ)の栽培と土地・水・コミュニティとの結びつきを、実際の作業を通して学びました。

コミュニティ・ワークデーでの農作業体験

Day5|ahupuaʻaを山から海まで捉える

ハワイ伝統の養魚池「Heʻeia Fishpond」(ヘエイア・フィッシュポンド)に赴き、ハワイ大学マノア校のUlla Hasager氏によるレクチャーを受け、サトウキビプランテーションによる水利用の変化、気候変動による海面上昇、ネイティブハワイアンの漁業の歴史について学びました。

伝統的な土地・資源管理システム「ahupuaʻa」(アフプアア)では、山から海へと流れる水を通じて、上流のloʻi kalo(タロイモ水田)などの栄養分が海岸部のfishpond(養魚池)へ運ばれ、魚を育む仕組みが形成されていました。kalo(タロイモ)やloʻi(水田)を通して学んできた土地と水の歴史を、海やfishpondという別の側面から捉えることで、山から海までを一体として考えるahupuaʻaへの理解をさらに深める機会となりました。

フィッシュポンドでのレクチャー

その後、キリスト教会「Church of the Crossroads」(クロスローズ教会)で振り返りを行いました。同教会は、ハワイで初めて人種・エスニシティの垣根を越えて若者たちによって設立された教会であり、現在も平和・社会正義・環境正義の問題に取り組んでいます。

学生はグループに分かれて各訪問先で印象に残ったことを話し合った後、出発前に設定した自分自身の問いと、現地で得た学びについて一人ずつ共有しました。事前の問いがより深まったり、新しい問いを見つけたり、それまでの考え方を変化させたりなど、それぞれが自身の学びを言葉にする時間となりました。

振り返りの時間

Day6―7|帰国

おみやげ、写真、思い出を携え、全員無事に日本へ戻りました。(7日現地発、8日日本着)

2026年度ハワイスタディツアー研究報告会のご案内

2026年9月29日(火)17:40-20:10に、東京外国語大学研究講義棟109教室およびZoomにて、学生が学びの成果を発表する報告会を開催します。東京外国語大学および東京農工大学の学生・教職員の方のご参加をお待ちしています。

詳細・登録はこちら(9月27日(日)まで。対面のみ予約なしの当日参加歓迎。)

「観光地」だけではないハワイへ

今回のスタディツアーでは、土地・水・食・農業をめぐる問題を、単独の環境問題や文化体験としてではなく、植民地主義による土地喪失、プランテーション経済、観光開発、軍事利用、資本主義、気候変動などと結びついた複合的な問題として考えました。

学生は各訪問先で積極的に質問し、自分自身の問いと現地で見聞きしたことを結びつけながら学びを深めました。

一連の事前学習と現地でのフィールドワークを通じて、ハワイを単なる「観光地」としてではなく、植民地主義、多文化社会、先住民の権利、食と農業、環境正義が交差する場として捉え直す機会となりました。

謝辞

私たちは、ハワイがKānaka Maoli(ネイティブ・ハワイアン)の祖先から受け継がれてきた土地であること、ハワイの現在の土地と社会がハワイ王国の転覆と植民地主義の歴史の上にあることを認識します。本スタディツアーでは、オアフ島の各地で、ʻāina(土地)、wai(水)、kai(海)と人々との関係を育み、守り、次世代へと継承してきたKānaka Maoliの歴史、知識、実践から多くを学びました。訪問者として学ぶ機会を与えてくださった土地と人々に深く感謝し、そこで得た学びを敬意と責任をもって受け継いでいきます。 

本スタディツアーの実施にあたり、ハワイ大学マノア校の木村あや先生には、現地での学習内容の検討、訪問先のご紹介、講義や現地でのご対応など、多大なご協力をいただきました。心より御礼申し上げます。 また、各訪問先で学生を温かく受け入れ、貴重な知識や経験を共有してくださった皆さま、本スタディツアーの実施にご協力くださったすべての関係者の皆さまに、深く感謝申し上げます。

ラストの集合写真

昨年のスタディツアーの様子はこちら [ハワイの食と農業を通じて学ぶ──文理協働のスタディツアー報告]

東京外国語大学J-PEAKS研究プロジェクト「タロイモ栽培と稲作から読み解くハワイの土地・水利用の歴史と現在」についてはこちら(ハワイの土地・ 水利用の歴史と現在 - 東京外国語大学学際研究共創センターTReND)

関連リンク

本件に関するお問い合わせ先

東京外国語大学J-PEAKS研究プロジェクト「タロイモ栽培と稲作から読み解くハワイの土地・水利用の歴史と現在」

hawaiiproject[at]tufs.ac.jp([at]を@に変えて送信ください)

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