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アフリカを学ぶ、アフリカから学ぶ ~南部アフリカ開発共同体大使らによるリレー講義~

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東京外国語大学は、2012年度の学部改編で国際社会学部にアフリカ地域専攻が開設されて以来特に、アフリカを学びアフリカから学ぶための様々な取り組みをしています。

南アフリカ地域との交流深まる

ザンビア大学にて

本年9月中旬に本学小林幸江教授をはじめとすると本学代表団が南アフリカとザンビアを訪問し、プレトリア大学(南アフリカ)でおこなわれた学術交流合同ワークショップや留学フェアなどに参加しました。また、2013年に協定を締結したザンビア大学を訪問しました。同大学では、本学からの留学生が派遣されています。担当者との面談では、本学の学生交流の推進について意見を交換しました。本学は、今後、南アフリカ地域との交流をさらに深めていく予定です。

プレトリア大学にて

南部アフリカ開発共同体大使によるリレー講義

本学では、毎年秋学期に南部アフリカ開発共同体(SADC)大使らによるリレー講義をおこなっています。2012年度に、本学国際社会学部にアフリカ地域専攻が開設されて以来、毎年行われており、今年度で4回目となります。今回のTUFS Today では、その内容をご紹介します。

(Licensed under パブリック・ドメイン via ウィキメディア・コモンズ)

南部アフリカ開発共同体(SADC)とは?

南部アフリカ開発共同体は、1980年4月1日に発足した南部アフリカ開発調整会議をひきついだものです。その設立の目的は、「南部アフリカ諸国が,アパルトヘイト体制下の南アフリカ旧政権の経済的支配から脱却すること」とされています。アパルトヘイト撤廃後の1992年に「南部アフリカ開発共同体」に名称を変え,アパルトヘイトを撤廃した南アも1994年に加盟しました。以後,経済統合・共同市場を標榜し,更に紛争解決・予防のための活動も行っています。(出典:外務省HP

南部アフリカ開発共同体大使らによるリレー講義

Mohau M. 南アフリカ大使

本学では、毎年南部アフリカ開発共同体加盟国(タンザニア、ザンビア、ボツワナ、モザンビーク、アンゴラ、ジンバブエ、レソト、スワジランド、マラウイ、ナミビア、南アフリカ、モーリシャス、コンゴ(民)、マダガスカル、セーシェル)のうち12カ国の大使らがリレー形式で講義をおこなっています。

モザンビーク大使

このリレー講義は、本学のアフリカ地域専攻1年生の必修科目として開講していますが、日本と南部アフリカ諸国との交流促進も目的としているため、学内公開で他の在学生や聴講生なども参加することができます。授業はすべて英語でおこなわれています。

ボツワナ二等書記官

授業は、毎週水曜日の2限(10時10分~11時40分)。
今年のスケジュールは、次のとおりです。

第1回 10月7日(水) イントロダクション
第2回 10月14日(水) Zimbabwe ジンバブエ共和国
第3回 10月21日(水) Zambia ザンビア共和国
第4回 10月28日(水) Tanzania タンザニア連合共和国
第5回 11月4日(水) South Africa 南アフリカ共和国
第6回 11月11日(水) Namibia ナミビア共和国
第7回 11月25日(水) Mozambique モザンビーク共和国
第8回 12月2日(水) Malawi マラウイ共和国
第9回 12月9日(水) Madagascar マダガスカル共和国
第10回 12月16日(水) Lesotho レソト王国
第11回 1月6日(水) Democratic Republic of Congo(DRC) コンゴ民主共和国
第12回 1月13日(水) Botswana ボツワナ共和国
第13回 1月20日(水) Angola アンゴラ共和国

アフリカを直接学ぶと同時に、英語の講義を理解する聴解力と積極的な質問力を身につけ、総合的なコミュニケーションスキルを習得することも目標としています。

ザンビア一等書記官

これまでの受講者の方からのメッセージ

これまでこの授業を受けてきた皆さんに、感想を伺いました。

大澤緑さん(国際社会学部アフリカ地域4年)

国づくりへの思いを大使から直接聞くことで、アフリカの未来への期待と興味をを掻き立てられることがこの授業の最大の魅力でした。SADCの大使の考えに触れることで、開発問題やアフリカをより身近に感じることができ、この授業に参加したことは、一生モノの財産になったと感じています。

川井なつみさん(国際社会学部アフリカ地域2年)

この授業では、SADC加盟国の駐日大使から直接お話を伺うという、貴重な体験をさせていただきました。一口にアフリカやSADCといっても、国ごとに多様な特色があります。それぞれの国にどのような魅力があり、どのような問題を抱えているのかを知る、良い機会となりました。また、少し癖のあるアフリカ英語を聞く練習にもなります。勉強を始めたばかりのアフリカ地域専攻1年生はもちろん、2年生や3年生、また他語科の学生にとっても勉強になる授業だと思います。

松村穂菜実さん(国際社会学部アフリカ地域2年)

SADCに加盟する国々の大使のお話は非常に興味深いものでした。それぞれの国の産業や観光の特徴、日本との繋がりを学びました。その中でも私が興味をひかれたのは日本とは大きく異なる自然環境でした。写真や映像ではなくいつか自分の目で見たいと強く思いました。また、その自然の中で暮らす人々の生活にも興味を持ったので、ゼミで研究したいと思っています。機会があればまたレクチャーに参加したいと思います。

Stuart H. COMBERBACH ジンバブエ大使(当時)と

担当の坂井真紀子先生からメッセージ

坂井真紀子先生

南部アフリカ開発共同体(SADC)の駐日大使らによるリレーレクチャーは、2012年、国際社会学部の設立とアフリカ地域専攻の新設にともなって始まりました。日本で初めて学部レベルでアフリカ地域を学ぶ試みに賛同していただき、SADCの大使のみなさまから多大なサポートをいただいています。レソト、マラウイ、モザンビーク、マダガスカルといったSADCメンバー国への学生の留学も先立って実現しています。

この授業の一番の魅力は、なんといってもアフリカ各国の代表である大使および外交官の方々が自らの言葉で語ってくださることです。アフリカ地域を学ぼうと入学してきた1年生にとって、初めての生のアフリカとの出会いの場であり、他では経験できない贅沢な機会です。南部アフリカは、国ごとの豊かな多様性がある一方で、植民地支配からの独立を共に戦った絆があります。個性的な講師の方々が気さくに質問に答えてくださるので、和気あいあいとした雰囲気でアフリカの空気に触れてもらえると思います。

グローバル化する世界の中で、もはやアフリカを抜きに世界情勢は語れないほど、その存在感は増しています。ほかの地域を学ぶ人たちも、アフリカから世界を見ると今までと違った発見があるかもしれません。アフリカ地域1年生の必修授業ですが、学内の希望者は履修登録していなくても聴講できます。

John F. Kambona タンザニア公使参事官と
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