TUFSオープンアカデミー オンライン講座スタート! 〜withコロナ時代に、教えたい、学びたい
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新型コロナウイルス感染症の流行は、全世界に甚大な被害をもたらし、これまでの生活を一変させました。感染症は東京外国語大学の教育現場や学生生活にも大きな影響を与えました。卒業式や入学式が中止となり、春学期から夏学期前半までのすべての授業がオンラインにより行われることになりました。感染予防のため課外活動を自粛し、留学先から帰国をせざるを得なかった学生も多くいました。
本学が、学術的な学習の場として、広く社会に提供している「TUFSオープンアカデミー」でも、感染の影響拡大により春期間のすべての講座を中止しました。春からの受講を楽しみにされていた受講者の皆さまのお気持ち、受講者の皆さまに講義をお届けしようと準備をしていたアカデミー講師の気持ちを思うと、大変残念でしたが、感染拡大防止の観点、そして受講者の皆さまやご家族さまの安全を考慮しての苦渋の決断となりました。
このような状況下でも、教えたい、学びたい
春期間の中止を発表したあと、受講者の皆さまやアカデミー講師から、「どのような形でも良いから○○語の学習を続けたい」「コロナに負けず、授業を続けたい」というような願いがたくさん届きました。そこで、TUFSオープンアカデミーは、わずかでも学習機会を提供すべく、新たな学びの場として、「オンライン講座」を始動することといたしました。地理的・時間的な理由により、これまで参加できなかった方も参加ができるようになります。受講受付期間・お申込方法等は、ページ末尾のお申込方法に記しています。
TUFSオープンアカデミー院長の大津友美准教授に「学び」についてインタビューしました
——学習機会の提供は社会にどのような効果があるのでしょうか。
社会や経済の変化に対応するため、人々は生涯にわたって学び続けることが求められています。外国語を習得しても海外に行かないと役立たないというイメージがある方もいらっしゃるかもしれませんが、現代の日本社会は、外国人労働者の受入などに伴い、世界中から多くの外国人を受け入れるようになりました。日本国内にいても、異文化や異なる価値観に対する理解や、学んだ知識、身に付けた言語能力を、社会に活かしていくことができるでしょう。個々人の学習成果が社会に活きることによって、地域をはじめとして私たちの街が活性化していくと考えます。
——世界中の言葉や文化・社会を教育研究する本学らしい社会貢献ですね。
はい。そして、受講者お一人お一人の充実にもつながります。心の豊かさのために学びたい、自由な時間を充実させたい、生きがいを持って過ごすために何か新しいことを始めたいという方にも、TUFS オープンアカデミーの多様な講座からたくさんの刺激を受けていただけると思います。とりわけ語学学習は、たくさんのことを記憶することの努力、母語の気づきも含めて、自らの母語にはない考え方を知る驚きなど、「脳力」向上にもってこいです。筋力を鍛えるようにピリピリとした緊張感を感じて、脳に汗をかいていただけたらと思っています。
——新型コロナウイルス感染症の影響により春期間の講座が中止になりました。
春講座の受付を始めた今年の2月頃から、私たちのキャンパスが位置する東京にも新型コロナウイルスの感染者が急速に拡大しました。学習機会を提供し続けたいと気持ちもありとても悩みましたが、受講者の皆さまと講師、そのご家族さまの安全を考慮して、3月下旬に中止を決定しました。春期間に約100講座で1600名のご受講が決まっていましたが、そのすべてを中止としました。とても残念でした。
——今回オンライン講座に切り替えて開講することになりました。
このような状況下でも、わずかでも学習機会を提供したいと思い、5月からオンライン講座化への検討を始めました。オープンアカデミー運営委員会の中にオンライン講座検討ワーキンググループを立ち上げ検討を始めましたが、大学では学部・大学院のオンライン授業を4月20日から始めていましたので、教員も事務局スタッフもオンラインへの切り替えに関してそれほどためらうことがなく検討が進められました。
——いよいよオンライン講座という新たな学びの場が始まりますね。
秋期間講座に先立ち、9月に夏期間短期集中講座として全5回の講座を5つ用意し7月に受講者を募集しました。お申込みいただいた方の居住地をみると、海外を含むこれまでの教室型ではご受講できなかった地域の方からたくさんのお申し込みをいただいています。世界の言葉や文化・社会を扱う国立大学として、日本全国、あるいは海外に住む日本とつながりのある方々に語学や世界教養の学習機会を提供できることは、とても嬉しいことです。積極的にご利用・ご活用いただけたらと思います。
TUFSオープンアカデミーの歴史
新たなスタイルを紹介する前に、TUFSオープンアカデミーの歴史について簡単に触れます。
TUFSオープンアカデミーは、2006年10月1日に開校しました。卒業生、地域の住民の方々、さらには一般の方々に対し、生涯学習の機会を少しでも多く提供しようという趣旨に基づき、当時の大学開放・広報室(室長:亀山郁夫学長特別補佐(当時))が中心となって新たに立ち上げられました。
語学講座(当時は外国語講座と呼ばれていました)は、前期・後期の通年クラスとして構成されました。現在もこの方式は変わっていません。2016年度には、この通年クラスに、夏だけの短期集中講座が加わりました。開校した2006年はトライアル・セメスターとして合計25講座が用意されました。そのうち語学講座はわずか4言語でした。13年後の現在では37言語(コロナ前は最終的に41言語)になりました。これまでに50言語の講座を提供してきています。語学講座の他にも、多様な教養講座を開講しています。
2019年度末までの受講者数は、延べ22,642名に上ります。多くの方々にTUFSオープンアカデミーをご利用いただいてきました。
オープンアカデミーの新たな学びの様式
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、私たちの生活は大きく変化し制限されることも多くなりました。旅行へ行きづらい、外にもなかなか出られない、というこの時でも、ご自宅から会場に通うことなく授業を受けることができます。遠方からのご受講も可能になりましたし、会場までの移動の時間も節約できるようになります。
TUFSオープンアカデミーの「オンライン講座」では、ビデオ会議ツール「Zoom」を使用しリアルタイムで授業を配信します。資料の受け渡しや講師からの連絡などは「Google Classroom」を使用して行います。
どのような講座があるの?
11月開講の秋期間オンライン講座では、37言語の語学講座を100講座と、世界を深く知る教養講座を20講座、計120講座用意しました。どのような講座があるか、いくつかご紹介します。
37言語の語学講座
秋期間には、次の37言語の講座を用意しました。聞き慣れない言語もあるのではないでしょうか。他ではなかなか学べない言語も多数用意しています。
- アムハラ語
- アラビア語(エジプト)
- イタリア語
- ウクライナ語
- ウルドゥー語
- エスペラント語
- オランダ語
- 広東語
- カンボジア語
- キルギス語
- クルド語
- サンスクリット語
- スペイン語
- スロヴェニア語
- スワヒリ語
- タイ語
- チベット語
- 中国語
- 朝鮮語
- ドイツ語
- ネパール語
- バスク語
- ハンガリー語
- 東アルメニア語
- ヒンディー語
- フィンランド語
- フランス語
- ブルガリア語
- ベトナム語
- ベンガル語
- ポーランド語
- ポルトガル語
- マルタ語
- マレー語
- モンゴル語
- ルーマニア語
- ロシア語
この中から、いくつかの講座をご紹介します。
アムハラ語初級
アムハラ語を学べる教室はなかなかないのではないでしょうか。アムハラ語は、東アフリカに位置する国・エチオピアの共通語です。講座を担当する若狭基道講師は、断続的にエチオピアで現地調査を続け、エチオピア人のマラソン選手などのアムハラ語の通訳などの経験も豊富。2018年度には、日本語で読める待望の入門書『ニューエクスプレス アムハラ語』(白水社)を刊行しました。
本講座では、最初の3回で文字と発音を習得し、その後、テキストに沿って、文法を少しずつ学んでいきます。なかなか日本で学ぶことのできないアムハラ語を、著者から直接学ぶことのできる、とても貴重な講座です!
エチオピアに興味のある方、アフリカの言語やセム語全般に興味のある方に特におすすめ。
ウクライナ語
初級Ⅰ〜ウクライナ語の世界へようこそ〜
初中級Ⅰ〜丸ごと楽しむウクライナ〜
中級Ⅰ〜実際に使えるウクライナ語〜
ウクライナの首都キエフは、かつてヨーロッパ最大の都市でしたが、現代では、真の姿をあまり知られていない、いわば秘境。チャイコフスキー音楽の源泉の一つもここにあり、ボルシチも本来ウクライナ料理。親日国ウクライナはヨーロッパを知る上でも、鍵となります。
初級クラスでは、文字と発音から始め、基礎文法と語彙、聞いて話して読んで書く基本的な技能の習得と発展を目指します。
初中級クラスでは、丁寧な解説により、聞き、話し、読み、書くをアグレッシブに習得します。旅行などで実際に使える会話力を伸ばし、新聞や歌、映像、小説など多様な教材を用いて授業を行います。
中級クラスでは、楽しく学び、旅行などで実際に使えるウクライナ語習得を目指します。教材は教科書、新聞、歌や古典や現代の作品です。
音楽や映像など、生きたウクライナ語に触れながら楽しく着実に学んでいきます。伝統ある「新しい」国、ウクライナの言葉について学び、その文化的魅力に触れてみませんか?
広東語
初級、初中級、中級、上級(聴解・口頭表現)、上級(読解)
広東語講座では、レベル別、上級者向けには重点をおく学習別の講座を、計5つ用意しています。授業を担当する郭 文灝(かく まんほう)講師は、趣味が音楽、料理と食べ歩きの、香港生まれのネイティブ講師。レッスンでは内容に合わせて香港のカルチャーなども紹介します。
初級クラスでは、講座の前半は発音(特に声調)を中心とした内容で、後半は簡単な会話を通して広東語を覚えていきます。
初中級クラスでは、発音を復習しながら、新しい語彙や文法を積み上げていきます。
中級クラスでは、テキストに沿ってレッスンを進めながら、講座の後半は聴解や発表などのアクティビティを中心にレッスンを進めます。
上級(聴解・口頭表現)クラスでは、リスニング力や口頭表現力を伸ばしていきます。
上級(読解)クラスでは、日本人の男性と香港人の女性とのラブストーリーを題材に、物語を楽しみながらより高度な広東語の表現を身につけていきます。
チベット語
初級、初中級、中級
チベット語にはいくつかの方言があり、それぞれの間で時には意思の疎通がむずかしいほどの違いがあります。標準語や共通語といえるものはありません。本アカデミーで学ぶのは、ラサを中心とした中央チベットで話されている言葉で、他の地域でも比較的通じやすいのが特長です。
初級クラスでは、文字と基礎的な文法を理解し、簡単な会話の力を身につけることをめざします。文字を覚えることから始め、テキストにそって会話を練習しながら、文法を理解していきます。
初中級クラスでは、名詞や形容詞に判断動詞、存在動詞を続ける文、「予定や習慣」「進行中や習慣、近接未来」「完了した行為」を表す助動詞(句)について復習したのち、「結果状態の助動詞」、推量表現などに進みます。
中級クラスでは、民話などの語りものの書き起こしや新聞記事などを使用し、会話の練習とともに読解力を高める訓練をします。
世界を深く知る教養講座
東アジアにおけるひとの移動 〜旧「満洲」に渡った朝鮮人移民を考える〜 前編 / 後編
東京外国語大学の教授らがリレー形式で講義を担当します。テキスト『「満洲」に渡った朝鮮人たち ~写真でたどる記憶と痕跡~』に沿って、そこにある人びとの体験・表情を記録する写真、また背景となる東アジア近代史・植民地の政治社会・関連する文学作品に関する論考をもとに解説・考察を進めます。近代日本植民地主義によって移動し移動させられた他者の体験・記憶・現在を知り、歴史と現在をつなぐ視点をも獲得します。
講座は、前編・後編に分けて受講者を募集します。2つとも受講するとより理解が深まりますが、興味に応じて個別に受講することも可能です。
死生観について考える
①諸宗教にみる死生観
②臨死体験:信仰と科学の間
近年、少子高齢化社会が進展する中、死について思いをはせることが誰にとっても身近なことになってきています。死生観について考える2つの講座を用意しました。東京外国語大学で宗教学を教える丹羽泉教授が講義します。
「諸宗教にみる死生観」講座では、宗教学の視点から、世界の宗教文化にみられる死生観について概観し、人が死をどのように意味づけ、理解してきたかについて共に学びを深めていきます。
「臨死体験:信仰と科学の間」講座では、近年、米国を拠点として進んでいる臨死体験に関する学際的な研究の最前線を紹介しつつ、宗教学的な視点から、臨死体験者の報告内容と諸宗教の死生観との関連について考察し、共に学びを深めていきます。
講座は、上記2つに分けて受講者を募集します。2つとも受講するとより理解が深まりますが、興味に応じて個別に受講することも可能です。
受講受付期間・お申込方法
受付期間
一般受付
① スペイン語とロシア語の講座は、9月16日(水)午前10時〜10月7日(水)
② ①以外の講座は、9月17日(木)午前10時〜10月7日(水)
※申込アクセスの集中によりWebサイトにつながりにくくなることを避けるため、受付開始日を言語ごとに分けることにいたしました。再度ご確認をお願いいたします。
① スペイン語、ロシア語の語学講座
2020年9月16日(水)10:00~ 10月7日(水)23:59
② イタリア語、ドイツ語、フランス語、ポルトガル語の語学講座
2020年9月17日(木)10:00~ 10月7日(水)23:59
③ オランダ語、スロヴェニア語、バスク語、ハンガリー語、フィンランド語、ブルガリア語、ポーランド語、マルタ語、ルーマニア語の語学講座
2020年9月18日(金)10:00~ 10月7日(水)23:59
④ アムハラ語、アラビア語(エジプト)、クルド語、スワヒリ語、東アルメニア語、キルギス語、ウクライナ語、エスペラント語の語学講座
2020年9月23日(水)10:00~ 10月7日(水)23:59
⑤ ウルドゥー語、広東語、カンボジア語、サンスクリット語、タイ語、チベット語、中国語、朝鮮語、ネパール語、ヒンディー語、ベトナム語、ベンガル語、マレー語、モンゴル語の語学講座
2020年9月24日(木)10:00~ 10月7日(水)23:59
⑥ 教養講座
2020年9月25日(金)10:00~ 10月7日(水)23:59
春期間申込者の優先受付期間
① スペイン語とロシア語の講座は、9月2日(水)午前10時〜9月10日(木)
② ①以外の講座は、9月3日(木)午前10時〜9月10日(木)
お申込方法
ウェブ申請フォームからの受付のみとなります。
※郵送、電子メール、ファックス、電話、持込での受付はできません。
受講料のお支払いは、クレジットカード払い(申込時)のみとなります。
お申込方法、受講にかかるシステム環境の準備等の詳細については、TUFSオープンアカデミーウェブサイトをご覧ください。
お問合せ先
東京外国語大学オープンアカデミー事務局(広報・社会連携室 広報係)
tufs-openacademy[at]tufs.ac.jp([at]を@に変えて送信ください)
※現在、感染予防のため、スタッフの在宅勤務を実施しています。窓口は閉鎖しており電話もつながりにくい状況のため、誠に恐れ入りますが、お問合せ等は電子メールにてお願いいたします。