TUFS Today
TUFS Today
特集
東京外大教員
の本
TUFS Today
について

インターンシップ―自治体・海外大学・国際機関編

TUFS Featured

インターンシップとは、大学生などが一定期間、企業や自治体や政府機関、教育機関などで研修生として就業体験を積む制度です。実社会を体験することで職業意識を高め、大学で何を学んでおくべきかを考える機会ともなります。本学の多くの学生もインターシップにチャレンジしています。今回のTUFS Todayでは、本学学生のインターンシップのうち、大学の授業の一環として、地方自治体や国際機関、海外大学で行われているインターンシップを紹介します。これらの活動は事前・事後の学修を含め、単位として認定されています。さあ次は、あなたの番です!

1.地方自治体でのインターンシップ

言語文化学部グローバルコミュニケーション・コースでは、「多文化社会コーディネーション研究」「コミュニティ通訳研究」のインターンシップ科目のなかで、多文化社会のコーディネーションの現場におけるインターンシップを行っています。平成26年度には府中市にて、2つのインターンシップが行われました。

(1) 府中市「生活便利帳」の作成

こちらは府中市国際交流サロンが企画した外国人住民のための「生活便利帳」の作成への参画です。これには5名の学生が参加し、プランを練りました。

受講者の一人、森迫千里さん(言語文化学部・専攻言語中国語)のメッセージです。

今回、国際交流サロンの方々と協力して防災便利帳を作成しました。初め学生は、かなり世代が上のサロンの方との人生経験の差を感じ、意見をあまり言えずにいました。何を言っても、サロンの方は「若い子らの考え」と思っているような気がしていました。しかし、何度も話し合いを重ねるうちに、学生も意見を言うようになり、サロンの方も真剣に聞いて意見をくださっているとわかり、建設的な話し合いができるようになりました。納得される原案を持っていこうと必死に調べましたし、頑張った分サロンの方も真剣に見てくださいました。普段外国の方と接しているサロンの方の意見や日本語の使い方は、とても勉強になりました。逆に「おはしも」のような若い世代が知っていることは、学生が説明しました。普段関わりが少ない異世代の方との共同作業を通して、わたしたちは伝えること、何度も話し合い、信頼関係を築いていくことの大切さを学びました。世代が違うからと諦めるのではなく、世代を超えて相手を理解し、うまくやっていくにはどうするべきか考えることができました。この経験は、これから就職後のわたしたちの人生にも生きてくると思います。(府中国際交流サロン機関紙「くろすろーど」より)

できあがった「生活便利帳」は、こんな冊子です。多数印刷され、市内で配布されています。日本語の十分でない多くの市民の方に活用されることでしょう。

(2) 府中市民向け公開講座の運営

もう1チームの8名は、1月16日に開催された府中市民向け公開講座の運営にあたりました。公開講座のテーマは、生活便利帳と同じ「防災」。本学学生は、多文化社会コーディネーション論で学んだことをいかし、講座の内容の設定から実施までに関わりました。

受講者の一人、森松稜さん(言語文化学部・専攻言語アラビア語)のメッセージです。

今回の市民講座が無事に成功して、とても達成感に満ちています。というのも、今回の企画は、外国人の学習者と府中市民を繋げるという、多くの人が関わる規模の大きいプロジェクトだったからです。それを、学生が主体になり、ボランティアの方々と協力して実施しました。準備期間も長く、何度も意見交換や企画の軌道修正が行われました。学生が主体になって行動することは、大学での受動的な講義とは違い、自らが積極的に行動しなければならず、我々学生にも責任感が生まれました。今回の企画では、特にボランティアの方々と学生と頻繁に連絡を取ることが重要だと感じました。私は講座実施の班長だったので、学生、ボランティア、市役所を繋げることに専念しました。全員が同じ情報を共有するため、打ち合わせの日程を決める、話合う内容を決める、議事録を書く、次の打ち合わせまでにやることを決めるなどの点に注意しました。今回の市民講座では、プロジェクトを立ち上げることの難しさや、成功したときの達成感などを味わい、私たち皆、大きな影響をうけました。(府中国際交流サロン機関紙「くろすろーど」より)

2.海外大学でのインターンシップ

海外大学でのインターンシップは、日本語教育分野を中心に活発に行われています。

(1) グローバルコミュニケーション・コース日本語教育分野の実習

言語文化学部グローバルコミュニケーション・コースの日本語教育分野では3年生6名の学生が平成26年12月に淡江大学(台湾)で教壇実習のインターシップを体験しました。

(2) 国際交流基金の支援による海外インターンシップ

このほか、本学は国際交流基金からの助成をうけ、「海外日本語教育インターンシップ」に大学院で日本語教育や日本語を学ぶ院生らを派遣しています。平成26年度には以下の大学への学生派遣が実現しました。

  • オーストラリア国立大学
  • リュブリャーナ大学
  • マドリード自治大学
  • ヴェネチア大学
  • 韓国外国語大学
  • ブカレスト大学
  • 上海外国語大学
  • 北京大学

このうち平成27年3月に行われた上海外国語大学でのインターンシップには、日本語教育学特化コースの学生5名(3年生1名、4年生3名、修士1年1名)が参加しました。この4月に本学のGlobal Japan Office が設置された上海外国語大学との交流は、今後ますます盛んになっていくものと期待されています。

この実習については上海外国語大学のホームページにも掲載されています。併せてご覧ください。

3.国際機関でのインターンシップ

本学大学院では平成21年度以来、国連機関をはじめとする様々な国際機関における長期インターンシップの支援を実施しています。昨年度(平成26年度)には、4名の大学院生が国際機関でインターンシップを行いました。それぞれの方からメッセージをいただきました。

斎藤実由貴さん(総合国際学研究博士前期課程国際協力専攻)

所属チームの上司と
  • 派遣機関:経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)パリ本部
  • 派遣部署:Public Affairs and Communications Directorate(広報局)Media Review Team
  • 派遣期間:2014年6月2日~11月14日

後輩へのメッセージ

パリで6ヶ月間、世界各国から集まった個性あふれるスタッフの皆さんと一緒に働くという大変貴重な経験をさせてもらいました。広報局の一員としてOECDの仕事の一端を担えたことは自分にとってかけがえのない財産です。漠然とでも国際機関に興味があるなら、ぜひ自分の興味のある機関や仕事について色々と調べて可能性を広げてみるといいと思います。

竹花祐香さん(総合国際学研究博士前期課程国際協力専攻)

国連 ヨーロッパ本部前にて
  • 派遣先機関:国際移住機関(International Organization for Migration) スイス、ジュネーヴ
  • 派遣先部署 Migration Research Division
  • 派遣期間 2014年9月8日~2015年3月7日

後輩へのメッセージ

リサーチユニットの一員として働くことができたのは自分にとってかけがえのない財産となり、自信にもつながりました。決められた時間で最大限の努力をして結果を出すこと、何事にもチャレンジする精神、そして自分の意思を伝え仲間と共有することの大切さを学んだ貴重な6ヶ月間でした。可能性を広げる一つの選択肢としてぜひチャレンジしていただきたいです。

東山慎太郎さん(総合国際学研究科国際協力専攻平和構築・紛争予防専修)

イエメンからの移民避難支援時に © IOM 2015
  • 派遣先機関:国際移住機関(International Organization for Migration)スーダン共和国、ハルツーム
  • 派遣先部署:Community Social Cohesion Unit 及び Electoral Assistance 担当
  • 派遣期間:2014年9月28日~2015年3月27日

後輩へのメッセージ

国際機関では様々な国から職員が派遣され、日々業務を行っております。派遣される国・地域によって状況は変わるかもしれませんが、英語でのコミュニケーション能力は必要不可欠になります。しかし、国際機関で働きたいという気持ち、情熱はそれ以上に大切なものかと実感しております。インターンシップ時代に心掛けていた事は、(1)自分の専門分野以外の事も進んで行う、(2)会議や研修などの機会は逃さず、上司や担当者と相談し、見聞を広める、(3)同僚の意見を尊重しつつも、自身の主張をはっきりと行う。つまり、自分自身で、できる事・やりたい事を限定してしまうのではなく、いろいろチャレンジし、失敗の中から方向性を見つけて欲しいと思います。

© IOM 2015

今井ひなたさん(総合国際学研究科国際協力専攻平和構築・紛争予防専修)

ルワンダオフィスにて
  • 派遣機関:国際移住機関(International Organization of Migration) ルワンダ支局
  • 派遣部署:Labor Migration (労働移動) Chief of Mission Support (ミッションチーフ支援)
  • 派遣期間:2014年5月19日~10月1日

後輩へのメッセージ

今回のインターンシップは先ず機会を作って下さった先生方をはじめ多くの方々のご理解、そして後押しがなければ実現ができませんでした。だからこそ「学生」であることは何事にも臆することなくチャレンジできる最良のタイミングのように感じます。関心があることを思い切り探求し、試し、そしてまた分からなくなった時に勉強ができる、そのようなチャンスに恵まれたことに感謝しています。

上司に当たるスタッフと
PAGE TOP