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#大学に生理用品を【#SDGs×東京外大・第2弾】

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3月8日は「国際女性デー」でした。「#MeToo運動」など最近高まりを見せるフェミニズム運動は、「生理」に焦点を当てたものも多くあります。そのなかの一つに「#大学に生理用品を」というプロジェクトがあります。

「#大学に生理用品を」は、排泄行為と変わらない生理現象なのにトイレットペーパーは無料で、なぜ生理用品は有料なんだろう、という大学生の疑問から始まったプロジェクトでした。

本学でも、このことについて皆で考えてみようと、広報企画として昨年2021年11月に2週間という期間を設けて同様の企画をおこない、アンケートをおこないました。

「生理の貧困」って?

「生理の貧困」という言葉を知っていますか。SDGsのなかに、「ジェンダー平等を実現しよう」という項目があります。「生理の貧困」は、生理のある人とない人の不平等に着目したトピックです。

「生理の貧困」は生活に欠かすことのできない生理用品に経済的にアクセスすることができなかったり、また経済的な問題だけでなく、家族や周囲の人の理解を得られなかったりして困窮する状態をいいます。

生理のある人に生理がもたらす影響はとても大きいものです。生理痛やPMS(Premenstrual Syndrome、月経前症候群)に悩まされる方も多く、日常に支障をきたす場合もあるにもかかわらず、いまだオープンに話すことをタブー視されている側面もあります。生理用品の課税を巡った論争も話題になっています。

みんなで考えてみよう

そこで東京外国語大学では、女性トイレ・男子トイレ・誰でもトイレを含む講義棟内のトイレ12か所の個室に、ナプキンとタンポン、シンクロフィット(ナプキンと併用し、吸水力をプラスする製品)の3種類の生理用品を無料で使えるように期間限定で置いてみました。実施時期は、2021年11月。外語祭前の2週間という期限つきではあったものの、たくさんの反響をいただきました。

実際に置いたポスター

アンケート結果から見えてきたこと

今回、生理用品とともに設置したアンケートには226人もの方にご回答いただきました。

「月経(生理)について周囲の人(家族、友人、パートナー等)と話しますか。」という質問には、約78%(176人)の方が「話す」と回答した一方で、約9%(50人)の方が「話さない」と回答しました。多くの方は「話す」と回答しましたが、その話す相手は主に「同性」「女友達」「母親」と回答した方が大半でした。

「今回の企画は2週間の期間限定ですが、大学のトイレに生理用品を常設することについてどう思いますか。」という質問には、「あったらいいなと思う」(83人)「常設すべき」(138人)という肯定的な意見が97%を占めました。

「話してみよう生理のこと:たふす本音トーク」

アンケートに答えてくださった方のうち6名と大学広報学生取材班の3人で、生理に関することや「#大学に生理用品を」についてぶっちゃけて話す「本音トーク」をおこないました。以下、本音トークの内容をお届けします。

参加者(全員ニックネーム)

大学広報 りつか
大学広報 ゆり
大学広報 もっち
なな さん(大学院総合国際学研究科博士前期課程2年)
いくら さん(言語文化学部1年)
P.N. さん
おうちゃん さん(大学院総合国際学研究科博士前期課程1年)
さこ さん(言語文化学部4年)
T さん

生理について周りの人と話す?

いくら さん 私は母親に「生理用品を買ってきて」という業務連絡だったり、女友達とお互いに「今生理なんだよね、いやだね」と話をするぐらいです。

P.N. さん 僕は生理の周期があまり安定していなくて、昔から治療を受けていたんです。その治療の成果の報告も兼ねて、親に「今月は生理がありましたよ」と報告していました。

もっち 私はまったく話さないです。家庭内でもタブーみたいな雰囲気があったので、あまり話さないようにしていた記憶がありますね。同性の友達とは「突然生理が来ちゃった」「ナプキン持ってる?」というような話はするんですけど、踏み込んで話せたことは無かったです。

さこ さん 家族の中で女性なのは母親だけなんですが、母親とも生理についてあまり話はしないですね。友達には、写真家の蜷川実花さんがプロデュースしたパッケージの、花がモチーフの生理用品が発売されたのを見て、「めっちゃ良いの出てる!」と写真を送ったこともあります。

ゆり 最近は生理用品のパッケージデザインも多様になってきましたよね。可愛らしいデザインや、「今日もがんばろう」というようなメッセージ性のものだけではなくて、スタイリッシュなデザインのものや、生理用品だとわからないようなデザインのものが売られて話題になっていますよね。

おうちゃん さん スマホで友人と「今、生理痛がつらいんだよね」と話すだけでも心理的に痛みを弱くすることができると思います。あとは、タンポンを使っているので、漏れることが多くて、例えば学校で友達と喋っているときに経血が漏れたのがわかると、話している相手が女の子であれば、「今、生理なんだ」「トイレに行ってくるね」と全部話しちゃいますね。

生理がない人と話すときは?

りつか 私は父親とは生理について全く話さないです。以前、父親とふたりで旅行していた時に、急に生理が来てしまって、スーパーで生理用品を買いに行くために言わざるを得ない状況になったことがありました。父親は生理について話すことに慣れていなくて、恥ずかしそうにしていましたね。父親世代は話す機会が私たちより少ないのかなと感じています。

なな さん 家で生理用品が切れていたら、父に「買い物に行くついでに買ってきて」と頼むことがあります。生理中の体調や体質についてはあまり触れたことはないですね。

P.N. さん 僕は以前、シェアハウスに住んでいた男性に、「先週は生理期間だったんだけど、外から見て機嫌やテンションは変わったりしていましたか?」と聞いたことがあります。その人からは「あまり気づかなかった」と言われましたね。僕は生理期間中テンションが自分でコントロール出来ないことがあって、意識していなくても怒りやすくなってしまうので、気になっていたんです。

おうちゃん さん 男の子の家で集まりがあるときにちょうど生理が来ていて、トイレを借りるときに生理用品を捨てる場所が分からなかったことがあります。その部屋の持ち主の男の子に、どこに捨てればいいか、ゴミ箱に捨てて大丈夫か、と聞くことがありました。あと、初めて生理が来たときに母親と離れて暮らしていたので、数日後に父親が(初潮を迎えることに)気づいてくれるまで黙っていました。もし母親がそばにいたら母親に話したと思います。

T さん 自分は生理が来ませんが、パートナーは生理が来るので、生理の話をする時もあります。でも自分のパートナーは症状があまり重くないようで元気そうにしているので、あまり突っ込んで話すことはないです。あとは、東京外大の人のなかにもSNSで生理の話をしている人がいますね。

ゆり 確かに、生理が来ない方にとっては、生理に関するツイートを見ているだけでも、「そういう世界があるんだな」と考えるきっかけになりますよね。

もっち 私はこの「#大学に生理用品を」の企画に関わってから男友達に話すことが増えました。予想以上に男性は生理の話を聞いてくれましたね。こちら側に配慮してくれているためだとは思いますが、男性側は少し腫れ物に触れるような反応があった気がしました。また、以前私が生理痛のつらさについて話していたら、男性から「何かごめんね」と言われたんです。もちろん男性が悪いわけじゃないし、誰が悪いというわけじゃないですよね。でもその時、男性は生理について良く知っているわけではなかったので、そう言うしかなかったのかなと思います。

パートナーと生理の付き合い方は?

りつか 私は男性のパートナーがいるので、パートナーに自分の症状についてシェアしています。積極的に体調を気遣ってくれたりしていますね。アプリで自分の生理周期を共有できるツールがあるんです。それを使ってパートナーと比較的オープンに話していますね。話しづらいなって人は、そういうツールを使って相手に自然と「今は敏感な時期だよ」と伝えるのもありだと思います。

ゆり 私はパートナーに生理痛がつらいと話すことがあります。でもやはり「あまりわかっていないだろうな」と思ってしまいますね。向こうもその話題についてあまり触れてこないです。タブーになっている部分があるのかなと思います。

P.N. さん 僕はパートナーも女性です。僕は日本に留学していて、パートナーは母国で暮らしているので、お互いを世話しあうことはできませんが、気持ちや経験を共有したりはしていますね。あとは、例えばネットで生理用品が割引キャンペーン中だったら、お互いに通販で買ってあげるというようなことはしてきました。

いくら さん 私は逆に前のパートナーとあまりそういう話ができなかったですね。それでわかり合えなかったという部分もあると思います。そういうことも言い合えるような関係だったら良かったのかなと思うんですけど、なかなか勇気がいるというか、やっぱり恥ずかしい気持ちがありましたね。

もっち わかります。私もパートナーと生理について話すことに抵抗があるタイプです。私の性格の問題だけではなくて、社会全体に生理の話をオープンに話すことを避けるような雰囲気があると思います。社会全体で生理について気軽に話せるようになれたらいいなと思っています。

T さん  パートナーが生理の時は、家事の手伝いをしたり、「こっちがやろうか」「休んでいていいよ」と言ったりします。でも自分には体験しようがないので、出しゃばって同情しすぎるのも変だなと思っています。

PMSや生理期間をどう過ごしている?

りつか 私は生理周期が安定していなくて、昨年の夏ぐらいから低用量ピルを飲み始めたんです。それで周期が安定して、生理が来る日の予測ができるようになりました。生理痛や経血量も軽くなって、かなり過ごしやすくなりましたね。生理用品はタンポンを結構使っていて、個人的には便利だと思っています。あと、月経カップは買ったんですが、全然うまく使えなくて挫折しました。最近は吸水ショーツという商品も売られるようになりましたが、軽めの日ならナプキンもタンポンも必要ないぐらいにちゃんと使えます。今スペインに留学に来ているので、こちらで売っている吸水ショーツを買ってみました。一番量の多い日に使うとさすがに吸水しきれない感じはあるので、軽い日やそろそろ来そうな時に使うのがおすすめです。私が持っているのはそのまま洗濯しても大丈夫な製品なので、洗濯も便利です。

もっち そのまま洗濯機に入れられるのもあるんですね。経血がナプキンから漏れたり、ショーツについたりした時は、ショーツを別で洗わなければいけないのが煩わしいと思っていたのですが、そのまま洗濯機に入れられると便利ですよね。

ゆり 私は生理周期が安定してきたので、生理を管理するアプリを使って、生理が来そうな日に大事な用事を入れないようにしていますね。あと、夜用のナプキンを使っていても汚してしまうことがあるので、バスタオルを敷いて眠ったりしています。ここで少し皆さんに聞きたいのですが、生理中に食欲は増しますか?

なな さん 私は生理前の方が食欲が増しますね。

いくら さん 私の場合は生理がそこまで食欲に影響していない気がします。

P.N. さん 私が調べたところによると、生理中は基礎代謝が上がるらしいんですよ。だから食欲が旺盛になっても大丈夫みたいなんです。私も生理中は甘いものがすごく食べたくなるタイプなので、それに甘えて食べても良いことにして、いつもより多く食べています。

もっち それを聞くと食べてもいいのかなって思っちゃいますね。食欲の話は個人差もあるので聞いていて興味深いです。

なな さん 私は食事に関することなのですが、生理中は食材コントロールをしています。ネットでカフェインを摂ると生理痛がひどくなるという情報を見たことがあったので、生理中はカフェインレスのものに変更したり、豆乳を飲んだりしていますね。あとは鉄やイソフラボンが入った食材を使った料理を食べたりしています。薬を飲んだりもするんですけど、価格が高いので「続けられるのかな…」と悩みながら飲んでいます。あと、私は眠くなるタイプでもあるので、食欲と眠気でそろそろ生理かどうかわかるぐらい体調の波が生まれます。それに合わせて、感情の起伏が起こらないように、普段より手を抜くというか、がんばらなくてもよいというマインドを作っておいたりしていますね。

さこ さん 私はタンポンとナプキンを併用しています。でも油断すると大洪水みたいになっちゃいます(笑)。あと、イラっとしても「まあしょうがない、私は今、血を流しているのだから」と思うようにして、うまく過ごすようにしていますね。あとは甘いものを食べたりでしょうか。私は生理痛が重い方だと思っていたのですが、意外と皆さんの話を聞いているとそれほどでもないなと思いました。

ゆり 人と比べてみないと自分の生理痛が重いのか軽いのかはわからないですよね。

P.N. さん 僕は疲れやすくなるのと、ちょっと動くと腰がすぐ崩れてしまいそうになることがありますね。

いくら さん 私はPMSの時に自己肯定感が下がってしまうことがあります。ちょっとした失敗やできなかったことに自信がなくなって、落ち込んでしまったり、自分に自信があまり無くなってしまうんです。最近はパターンがわかってきたので、「大丈夫なんだぞ」って思い込むことにしています。「ホルモンバランスが崩れているんだな」と思ってメンタルを保つようにしていますね。あと、私は生理中に必ず頭痛がするので、薬を飲んで耐えています。低用量ピルを飲んだりした方が良いのかなとか思って悩んでいます。

もっち 私もいくらさんと同じで自己肯定感が下がるのを感じます。私は生理痛が重い時があって、そうなると動けずにずっとベッドの上で寝ることしかできない時があるんです。生理前後から眠気もあるタイプなので、一日中寝てしまう日が結構あります。そういう日が続くと「また何もできなかった…」と自己肯定感がどんどん落ちて行くのを感じますね。

生理について話すとき恥ずかしいと感じる?

りつか 恥ずかしいと感じます。今回のような生理について話すように設定された場では普通に話せても、身近な人とは逆に話しにくいですね。私は家が一番話しにくい場所だと思っています。とは言っても、私は「#大学に生理用品を」の企画をやったり、女性のエンパワーメントに興味がありいろいろ調べているのを母親も知っているので、最近は母親から相談を受けたりもします。でもやはり根底には恥ずかしさがあると感じています。私自身なるべく恥ずかしいと思わないようにしようとはしていますが、社会全体で見るとまだまだ難しいのかなと思います

ゆり りつかさんが言っていた通り、身近な人の方がより話しづらいというのは本当にそうだと思います。きっかけがないと仲の良い友達でも話さないですね。この座談会が今までで一番話しやすい場だと感じています。あとは、必要に迫られて、そういう話になることはありますが、きっかけがないと絶対に触れない話題だと思います。

なな さん 私は少し前までは恥ずかしさもありました。でも最近はSNSで生理に関する啓発が盛んだったり、特集がされているのをよく見かけますし、近しい友人でピルの使用をシェアしてくれたり、気苦労をシェアしたりしてくれる子が何人かいたので、恥ずかしさがかなり軽減しました。以前と比べると、近しい女性の友人とは日常で生理について話すことが増えましたね。

もっち そうですよね。SNS上でも生理や性教育が話題に上がることが増えていますよね。

P.N. さん 僕は治療を受けていたというのもあって、毎回生理が来ることがとても嬉しいんです。だから知り合いに言いふらしちゃうんですよね。あと、子供の頃から「女性が生理を迎えて何が悪い」と思っていたので、周りの人にも「これは恥ずかしいことじゃない」とずっと発信してきました。それから、僕の高校と中学の体育の授業は過酷で、毎回長距離走をさせられたのですが、生理が被ると、体育の授業を休めたんです。そういう記憶が積み重なって生理が僕の中でポジティブなことになったんですよね。恥ずかしいというより毎回嬉しくて、ラッキーだと思うようになりました。

海外の生理事情について教えて

おうちゃん さん 私の出身は中国です。中国では、生理の時に体を冷やさないようにお湯を飲む習慣がありますね。あと、中国の大学に通っている友人に聞いたところによると、貧困地域から進学しに来た少数民族出身らしい子とは生理用品の差を感じるみたいです。布や紙を使ったりするみたいですね。

P.N. さん 小学生まではシンガポールにいましたが、中学生からは中国に住んでいました。生理用品に関しては、中国ではタンポンが避けられているような気がしますね。みんなタンポンについて誤解があるらしくて、衛生面で心配されているんだと思います。それから、中国では生理に関してはみんな気遣いをしてくれる感じですかね。日本に来てから、コンビニやドラッグストアでナプキンを買う時に、色のついた袋で包まれることに驚きました。おそらく優しい気遣いだとは思うんですが、中国ではそういうことはなくて、逆にオープンです。先ほどの話に関しても、体育の成績がその受験に関わるので、その授業自体は厳しいけれど、女の子に関しては生理痛がつらければ休んでも良いという雰囲気でした。

りつか 私は今スペインに留学しているのですが、昨日スペイン人の友達が、日本に行ったときにドラッグストアで生理用品を色のついた袋に入れられて不思議だったという話をしていました。スペインでは普通に別の商品と同じような扱いをされています。それから、スペインでは生理用品はタンポンが主流ですね。あと、日本では月経カップは主流ではないですが、スペインでは月経カップが普通のスーパーに売られています。

もっち 袋ひとつとっても国の性格がわかりますね。皆さんのお話をお伺いすると、日本では生理を隠さなきゃいけないような風潮がある気もします。

さこ さん 私は帰国子女なので、15歳までアジア各地のインターナショナルスクールに通っていました。上海の学校でも先生がイギリス人だったので、イギリスの生理事情がわかりましたね。例えば、先生に「生理痛が重いので体育を休みたい」と言っても、「タンポン突っ込んでりゃいいんだよ」と言われたこともあります。あと、ナプキンよりもタンポンが圧倒的に人気みたいです。ナプキンは逆にずれるとか、漏れるとか、かさ張るとか、汚いみたいなイメージがあるようでした。

生理の貧困を身近に感じたことはある?

もっち 正直、この企画をやるまでは「生理の貧困」を身近に感じたことがなかったです。でも振り返って考えてみると、小さい頃、ナプキンが足りなくなって困ったことがありました。父や兄がいる前では母に生理用品を買ってほしいと言えなかったんですよね。生理用品へのアクセスができない、という点で「生理の貧困」に当てはまっていたのかなと思いました。

ゆり アンケートでも父子家庭にお住まいの方で、「子供の頃お小遣いで生理用品を買っていたけれど、今思えばそれは必要経費だったからお小遣いから出すのは違ったんじゃないか」というエピソードを書いてくだった方がいましたね。

りつか 「生理の貧困」の要因の一つは、生理にどう対応していいかわからないことにあると思います。誰が悪いということではなく、接し方や生理について知る機会がもっと増えていけば、「生理の貧困」を取り巻く問題は良い方へ変わっていくんじゃないかなと思っています。

T 自分のパートナーはお店で店員から買うときに抵抗感があるみたいですね。時々自分が代わりに買いに行ったりすることもあります。私も生理用品を会計する時は「店員さんにどう思われているんだろう」「恥ずかしい」と感じますね。

ゆり 私もドラッグストアで生理用品を買う時に、もし男性のレジと女性のレジがあったら迷わず女性の方のレジを選ぶと思います。私は「生理の貧困」というトピック自体はあまり身近に感じたことがなかったんですが、プレゼンテーションの授業で、外国で生理用品が無料になったというニュースを取り上げていた方がいて、それで初めて「生理の貧困」を知りました。 あと、大学のフードパントリーで食品だけじゃなく生理用品も配布しているという記載があるのを見て、生理用品も生活に欠かせないものであり、「生理の貧困」に目を向けることの重要性を実感しました。

大学に生理用品を置くことについてどう思う?

なな さん 私は素晴らしい企画だと思いました。ちょっと前にもテレビで特集を見ていたので、行動の速さにも感動しました。企画自体にも賛成です。その理由としては、「生理の貧困」という現実のなかで、困っている方へ手を差し伸べられるのは良いことですよね。急に生理用品が必要になる方もいるので、置いてあることに救われると思います。ただ、盗難などが心配です。

いくら さん 私も良いことだと思います。正直、今まで「生理の貧困」という言葉をあまり意識した事がなかったのですが、実際自分の大学のトイレに置いてあると、自分ごととして考えることができました。自分の中で気づきがあったんですよね。

P.N. さん いくらさんがおっしゃった通り、「生理の貧困」を扱うプロジェクトが同じ大学に起きていることを嬉しく思いました。あと、やはり僕の出身国である中国には、まだナプキンやタンポンに手が出せない貧困層がたくさんいるので、生理用品が無料で手に入る仕組みが世界に広まっていけば良いなと思っています。

さこ さん 生理用品は恒常的に置いた方が良いと思います。トイレットペーパーは無料で置いてあるのだから、トイレに生理用品がないのはおかしいと思います。駅にある生理用ナプキンを買う自販機をトイレに置くのがいいと思います。でもひとつ気になるのは、駅で生理用品の自販機が減っている気がするんですよね。みんな生理は来るので、絶対にニーズはあるはずですが、何か上手くいかない原因があるんだと思います。

おうちゃん さん 私もさこさんと同じ意見で、学生カードをスライドしたら生理用品が出てくる機械とかも良いんじゃないかなと思います。でも生理用品を置くなら、やはり男女平等にしていただきたいなと思っています。男子トイレに置いてもそこまで減らないと思うんですけど、トランスジェンダーの方も使えますよね。

T さん 置かない理由が逆にないと思います。いつくるのかわからないのに、持ち歩くのは面倒じゃないですか。生理用品を入れ忘れたときに限って生理が来ることもあると思うんです。生理用品の設置形態に関しては、例えば学生課の窓口に行って受け取るかたちだとみんな嫌がると思うので、人と接せずに受け取ることの出来るかたちが理想的だと思います。あと、男子トイレに置くかどうするかという話は、無いよりはあった方が良いのかなと思います。男子トイレでは頻繁に使われるものではないと思うので、少量にしても良いんじゃないですかね。ただ、今回の企画で生理用品の種類や使い方の紙が貼ってあっただけなら、しっかりと見なかったと思うんですが、実物が置いてあったことで「なんだこれ?」と興味を持った男性もいると思います。SNSでは、「男子トイレに置かなくても良いんじゃないか」と言っている人もいましたけど、周知という意味で男性にとっても良い機会になったのではと周りの反応を見ていて思います。

もっち ナプキンは生理だけではなく、消化器系の病気の方も使うことが出来るみたいです。男女両方のトイレや誰でもトイレに置くことですべての人が使えるようにすることは重要だと思います。

大学からの協力

今回このプロジェクトを進めるにあたり、大学に協力を仰ぎました。広報マネジメント・オフィスが中心となり、他部署の皆さんや生理用品の補充など清掃員の方にもご協力いただきました。以下はご協力いただいた職員の方のお言葉です。

  • 「生理の貧困」、最近よく耳にする言葉ですが、正直どんなことか理解しておりませんでした。今回、学生さんの企画を知り、初めて意識して生理の貧困について自分なりに調べ、困っている方が1人でも減ってくれたらと微力ながらお手伝いさせていただきました。たくさんの方が生理やジェンダーについて考えるきっかけとなる、素晴らしい企画だったと思います。(施設企画課 Y. A.)
  • 「生理の貧困」については新聞などで目にすることはありましたが、あまり深く考えることはありませんでした。はじめに取材班の学生からこの企画が提案された時は、大学広報でおこなう企画として適切なのか少し不安はありましたが、企画を進めるうちに、世界の多様性を尊重する本学で、日頃から世界のさまざまな問題に向き合い学ぶ学生たちらしい広報企画であると感じるようになりました。そしてこの広報企画を通して、多くの学生さんや教職員と共に考えることができたことが、何よりも良かったと思います。(広報・社会連携室 K. T)

編集後記

「#大学に生理用品を」という企画を通じて、生理や生理用品、トランスジェンダーの方の存在、女性のエンパワーメント、男女平等についてなどさまざまなことを考えました。「生理の貧困」という言葉を知っているだけでも、これらのトピックに目を向けるチャンスになると思います。月に1度1週間程度つづく生理による体や精神への影響は学生生活や仕事で特別な対応を必要とする場合もあります。生理についてすべての人が理解し、すべての人に優しくすることができたならば、より良い社会をつくれるのではと思っております。今回の企画を行うきっかけをくださった慶應義塾大学の「#大学に生理用品を」プロジェクトメンバーの皆様、ご協力くださった本学職員の皆様には大変感謝申し上げます。

東京外国語大学広報 学生取材班 「#大学に生理用品を」担当

インタビュー後記

インタビューを通じ、生理に関することは公の場で話してはいけないトピックである、という認識を持たれている方が多いと感じました。特に、生理のない人が生理についてどう思っているか、という点は、知る機会が限られていると思います。お話を伺ったなかで、自分には経験のないことだからこそ、共感を示すことがかえって失礼になるのではないか、という不安を感じている方もいらっしゃることが印象的でした。ジェンダーや文化の括りに囚われず、互いに立場が異なる相手のことを想像し、思いやる気持ちが大切だと感じます。「本音トーク」に参加してくださった皆様、アンケートにご回答くださった在学生・教職員の皆様に改めてお礼申し上げます。多くの人にとって、本企画が生理について考え、身近な人と話すきっかけとなれば幸いです。

東京外国語大学広報 学生取材班 「#大学に生理用品を」担当

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