オンライン・プログラムも充実!アフリカと日本を結ぶ世界展開力強化事業スタート!!
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昨年度(2020年度)から東京外国語大学で始まった「大学の世界展開力強化事業(アフリカ)」をご存知でしょうか。コロナ禍で採択され、始動したこの事業では、実渡航を伴うアフリカの協定校との派遣・受入だけでなく、オンラインでの教育・交流プログラムにも力を入れています。
本学では通称「展開力アフリカ」と呼ばれるこの事業は、文部科学省「大学の世界展開力強化事業―アフリカ諸国との大学間交流形成支援―」として2020年に採択されました。本学で実施する事業の正式名称は「アフリカにおけるSDGsに向けた高度イノベーション人材育成のための国際連携教育プログラム」です。文面では英語の事業名を省略して「IAfP」 (Innovative Africa: Educational Networking Programs for Human Resource Development in Africa’s SDGs) と表記することもあります。
今回は、展開力アフリカのコーディネーター、昨年度のオンライン・プログラムに参加した学生、展開力アフリカに関わる教員へのインタビューとコメントを掲載しながら、展開力アフリカについて紹介していきます!
事業コーディネーターの神代ちひろ特任助教にインタビュー
——「展開力アフリカ」がどんなことに取り組む事業かを教えてください。
この事業では、本学が学術交流協定を結んでいる5つのアフリカの協定校(下記)と連携し、学生の派遣と受入や、オンラインでの国際教育・交流プログラムをおこないます。事業の目的は、アフリカにおける技術と社会のイノベーションの実現を主導していけるような人材を育てることです。2024年まで実施するこの事業は、国内連携大学の京都大学と協働して取り組んでいきますが、具体的なプログラムは大学別に企画して進めていきます。本学では展開⼒アフリカに関わる教員(下⽅にコメント有)や国際化拠点室の展開⼒アフリカ担当スタッフと一緒にアイディアを出し合いながら取り組んでいます。
アフリカ協定校
- ガーナ大学(ガーナ)
- プロテスタント人文・社会科学大学(ルワンダ)
- ザンビア大学(ザンビア)
- プレトリア大学(南アフリカ)
- ステレンボッシュ大学(南アフリカ)
——昨年度、本学の事業としては、国際教育・交流プログラムとして日本語集中授業、オンラインツアー、国際合同コンフェレンスを実施したと伺いました。まずは日本語集中授業について教えてください。
日本語集中授業は、博士前期課程Peace and Conflict Studiesコース (以下PCS) のコーディネーターである石田理恵特定研究員に協力していただき、PCSと連携して実施しました。PCSでは、日常生活に必要な日本語を学ぶ「サバイバル日本語」という実践的な授業を、毎年定期的に提供されています。今回は、2月上旬からおこなわれたこのサバイバル日本語の「セカンド・ステップ」という位置付けで、PCSの「ファースト・ステップ」が終わった翌日から展開力アフリカの集中授業を開講しました。この授業には、日本語学習に加えて、この機会が本学学生との交流のきっかけにもなるようにという意図がありました。なので、日本語を母語とする学生を募集し、集まった6名の方に会話練習の協力をしてもらいながら初級・中級の授業を3日間(2/18, 19, 25)実施しました(実施報告)。
——日本語集中授業は、展開力アフリカとしては初めて実施したプログラムだったそうですね。初めてということもあり、苦労されたこともあったのではないでしょうか。
展開力アフリカとして初ということに加え、私自身がこの2月に本学に着任して初めて実施するプログラムでもありましたのでとても緊張していましたが、PCSコーディネーターの石田さんや授業を担当してくれた袁シュさん(大学院博士後期課程3年、下記コメント)と綿密に相談を重ねさせていただいたおかげで、短い準備期間で実施までこぎつけることができました。実際に参加学生がオンライン上で集まってくれたときは嬉しかったですね。事業が動き出したことを感じました。
袁さんは昨年度からサバイバル日本語を担当していたこともあり頼もしく、トラブル時なども機転を利かせて対応したりと、柔軟なアイディアで授業を運営してくださったのでありがたかったです。
日本語集中授業の講師 袁シュさんのコメント
総合国際学大学院国際日本専攻 博士後期課程3年
展開力アフリカの日本語集中授業を担当させていただき、とても嬉しく思いました。最初のうちは緊張していて不安がありましたが、企画の神代さんと相談を重ねて心強くなりました。学生さんは皆勉強熱心で、使える日本語が限られていても、コミュニケーションの意欲と能力の高さが確かに伝わりました。逆に学生さんに支えられながら、授業を無事終えることができたと思います。日本人学生と会話の練習をし、言いたいことを精一杯伝えようとしている学生たちの様子を見て、心から感動しました。短い間でしたが、学生たちのこれからの生活にお役に立てれば幸いです。
——その後はオンラインツアーを実施したそうですね。
はい、広島(3/5)、瞑想(3/9)、沖縄(3/18)の3つのオンラインツアーを実施しました。留学生から「週に1度の買い物に行く以外は、ご飯も授業も余暇もすべて自室で過ごしている」と聞き、せめてオンラインツアーを通じて日本を知ってもらい、本学学生との交流を後押しするような機会を作れたらという思いで企画しました。日本語集中授業が終わった直後だったので、その流れでPCSの学生たちも多数参加してくださって嬉しかったです。
——オンラインツアー実施に向けたワーキンググループを作ったと伺いました。
先ほどお話したように、オンラインツアー実施の目的のひとつが交流を促進することでしたので、ツアー後にディスカッションの時間を設けたいと考えていました。ディスカッション内容やツアーの選定など、学生たちの意見を取り入れながら企画ができるように募集したのがワーキンググループのメンバーでした。想定よりも人が集まらず、最初はうまくいくか不安でしたが、参加してくれた3名の学生たち(下方にインタビュー・コメント有)がとても頼もしく、逆に少人数で意見を出し合えたので、膝を突き合わせて話し合うにはベストの人数だったと今は思っています。
とはいえ、実際に膝を突き合わすことはできず、ミーティングはすべてオンラインでおこないました。初回のミーティングでは、学生たちは自宅から、公園のベンチから、駐車場に停めた車の席からと三者三様な場所から参加してくれて、この時代ならではのようで印象深かったです。対面で一度もミーティングがかなわなかったことは残念でしたが、オンラインだったからこそ学生たちには忙しいスケジュールを縫ってワーキンググループに参加してもらえたのではないかと思います。
——オンラインツアーを通じた気づきや印象に残ったことはありますか。
恥ずかしいことですが、オンラインツアーより先におこなった日本語集中授業のときに、何気ない会話の中で自分の心構えを問い直させられることがありました。「最近観た映画は何ですか?」という質問に、戦争の歴史について扱った映画を観た話をしたら、紛争を経験してきた学生から「戦争は歴史じゃありません。戦争はもううんざりだから映画でまで観たくないです」というコメントがありました。オンラインツアーの参加者には、現在進行形で紛争が続いている国や、ポスト紛争国の出身者もいたので、事前にワーキンググループでも話し合い、戦争をテーマとした広島ツアー、沖縄ツアーの際には、参加者にできるだけ精神的な負担をかけないように配慮することを心がけました。気を付けてはいたのですが反省することもあり、それは次への貴重な教訓です。
広島ツアーでは、被爆者の方にお話を聞き、直接質問をさせていただける機会がありました。ある参加者がツアーの最後に話してくれたことがとても心に残っています。その方は「これまで自分が経験した紛争の話を人に語ることは避けてきましたが、これからは少しずつ語っていきたいと思えるようになりました」と話してくれました。被爆者の方が「自分が語らなければ誰が語ることができるのか」というお気持ちで語り部をされていることを知り、実際に講和を聞いて、そう思えるようになったのだそうです。だれかの心が動く瞬間に立ち会えたことはとても印象深く、忘れられない経験となりました。こういう瞬間を学生たちと一緒に重ねていけたら素敵だなと思いました。そんなプログラムを実施していくことが今の目標です。
——今年度実施する予定のオンライン・プログラムについて教えてください。
オンライン・プログラムは、大きく分けて3種類あります。①受入学生(アフリカからの留学生)向け、➁派遣学生(本学学生)向け、③国際合同コンフェレンスです。
昨年度実施した日本語集中授業とオンラインツアーは、実は受入学生向けのものでした。そこに本学学生にも加わってもらった、という形です。今年度もそれらを実施する予定ですが、オンラインツアーは、アフリカ協定校の学生も招いてオンラインでアフリカともつないで開催したいと考えています。昨年度同様、本学の学生との交流の機会にもしたいと思っていますので、みなさんの積極的なご参加をお待ちしています!
派遣学生向けの企画は、実は今年度が初めてなのでまだ構想の段階ですが、例えば展開力アフリカに関わる教員の卒論ゼミ発表に、アフリカ協定校から教員を連続的に招聘し、コメントをいただくような学術交流の機会を作ることを考えています。ほかには、アフリカスタディツアーなどもゆくゆくは企画してみたいです。
——3つ目の国際合同コンフェレンスというのはどういったものなのでしょうか。
国際合同コンフェレンスというのは、とても簡単にいうと本学とアフリカ協定校、ときに国内連携大学の京都大学も交えながらおこなう、学術的な交流の単発イベントです。コロナ禍ではオンラインで開催します。
昨年度はオンラインで「東京外大のアフリカ交換留学のこれまでとこれから―IAfPキックオフ国際合同コンフェレンス―」を実施し、5つのアフリカ協定校から大学紹介をしてもらった後、本学からアフリカ協定校に、アフリカ協定校から本学に留学した学生たちに留学体験報告をしてもらいました(本学HP実施報告、本事業HP実施報告)。イベント開催に合わせて、大石准教授がアフリカ地域専攻のHPに掲載していた留学体験記の冊子化にも取り組みました。
今年度は、現代アフリカ地域研究センターの5周年記念シンポジウムと連携した企画や、アフリカ協定校と本学の学部生・院生による学術発表の企画などを考えています。
——ほかにも展開力アフリカと関連した授業があるそうですね。
まず派遣学生向けに、春木宏介先生(獨協医科⼤学埼⽟医療センター)が春学期に担当されている「感染症・熱帯医学」があります。この授業ではフィールドワークをおこなう際に必要な疾病予防や、感染症に関する知識を得ることができます。自分の身を守るために大切な知識ですので、ぜひこの授業を活用していただきたいです。
あと秋学期に、アフリカ協定校の教員によるリレー講義「アフリカとつながる」を開講します。アフリカの教員から直接学ぶことができる貴重な機会ですので、ぜひ多くの学生に履修してもらえたら嬉しいです。私がコーディネートさせていただくのですが、アフリカについて初めて学ぶ方も学びやすいように準備したいと考えています。
ほかにも多様なバックグラウンドを持つ教員がアフリカに関する授業を開講しますので、少しでもアフリカに関心がある方は積極的に受講していただけたらと思います。私自身も春学期に世界教養プログラムで「アフリカ地域とフィールドワーク」という授業を担当していますので、在学生でご興味のある方がいれば聴講を歓迎します。
——最後に学生さんたちに向けてひとことお願いします。
コロナ禍でアフリカへの実渡航が難しい時期なので、その分オンライン・プログラムを充実させて、みなさんにアフリカについて学ぶ機会や、アフリカの方たちと交流できる機会を提供できるようにしたいと考えています。展開力アフリカを通じてこんな企画がしたい!ということなどあればぜひ教えてください。一緒に実現していきましょう!!オンライン・プログラム等は随時、展開力アフリカのHPを通じて宣伝していく予定ですので、たまにチェックしてみてください。みなさんのご参加をお待ちしています!
今回の特集では、オンライン・プログラムに焦点を当てたお話をさせていただきましたが、展開力アフリカではアフリカへの実渡航もサポートしていきます。私自身、西アフリカのブルキナファソでフィールドワークをしてきた経験もありますので、アフリカへの渡航に少しでも興味のある方、アフリカについて雑談したい方、アフリカからの留学生と交流したい方など、お気軽にオフィスに立ち寄ってもらえたら嬉しいです。
——ありがとうございました。みなさんぜひ展開力アフリカのオンライン・プログラムなどへの参加を通じて、アフリカを体験してみてくださいね!!
オンライン・プログラムに参加した学生にインタビュー
ここからは、事業コーディネーターの神代特任助教が、昨年度のオンライン・プログラムに参加した学生たちに対しておこなったインタビューと、学生からのコメントを掲載します。
アンリ・ファブリス・ンダイゼイェさん
プロテスタント人文・社会科学大学 2021年7月まで本学滞在予定
日本語集中授業、オンラインツアー(広島、瞑想、沖縄)、国際合同コンフェレンスに参加
——日本語集中授業はいかがでしたか?
日本語を学び、新しい友達を作ることができました。ブルンジ、シリア、ネパール、ハイチ、チュニジアなどから来ている学生や、日本の学生など、国際色豊かなクラスでした。授業の内容は、日常的に困ったときにどうするかを学ぶものだったので、学習意欲を刺激されました。ブレイクアウトセッション(日本語を母語とする学生と1対1での会話の練習)のおかげで、日本語を話すときの恥ずかしさを克服することができました。今は、日本語で人に話しかけることができますし、そうしていろんなことを学ぶことができます。ブレイクアウトセッションで話した人と、その後インスタグラムでつながったりして新しい友達もできたので、すごくよかったです。
——アンリさんは3つのオンラインツアーすべてに参加してくださいましたね。広島オンラインツアーはどんな経験になりましたか?
広島ツアーは感動的でしたし、面白かったです。ツアー中、1945年に広島に投下された被爆者の方の証言を伺って感情が高ぶりました。そして、その方の脱原発を主張する勇気と情熱を感じました。広島に原爆が落とされたことで、広島がどうなったのか考えたことはありますか?被爆者の方、平和を目指した活動をする方に出会えた素晴らしいバーチャルツアーでした。みなさんにもぜひ広島オンラインツアーに参加してほしいです。原爆の前、最中、後、そして今日、すべてがどのように起こったかを知り、理解し、気付くことができます。
——私たちにとって貴重な経験となりましたね。今年度も広島オンラインツアーを企画の候補に入れておきます。アンリさんは、展開力アフリカで昨年度に企画したすべてのオンライン・プログラム(日本語集中授業、オンラインツアー、国際合同コンフェレンス)に参加してくださいましたが、ご感想を教えてください。。
すべてのオンライン・プログラムに参加できてとても嬉しく、どれも素晴らしかったです。冬学期の企画だったので、時期的にもベストでした。教室内の授業の枠を越えて、新しい知識やスキルを身につけて、新しい友達を作ることができました。私たち(テンボさんと私)は事前にいろいろなオンライン・プログラムを提案してもらいました。興味があるプログラムを選ぶチャンスがあったので、素晴らしかったですしユニークでした。私たちの興味があり、好奇心を刺激されるようなプログラムを柔軟に実施してくださってありがとうございました。
——最後に本学の学生たちにメッセージをお願いします!
展開力アフリカに関わるすべてのプログラムに参加してくれたTUFSの学生さんに感謝します。ディスカッションや質問を通じて日本のことをさらに知ることができたので、参加してくれたことをありがたく思っています。参加してくれた方たちがアフリカについていろいろと質問してくれたことも嬉しかったです。兄弟が6人いると話したら、びっくりした人もいました。アフリカでは私の家族は大家族ではなく、中ぐらいです。展開力アフリカのプログラムはアフリカやそこでの暮らしを知る機会としても最適だと思います。キャンパスやSNSで私を見かけたら、いつでも話しかけてください。喜んでお話しさせていただきます。そして、もしアフリカでも会えたらびっくりです。交換留学を申し込んだら、ルワンダのプロテスタント人文・社会科学大学で会うことができますよ。
ジュスタス・テンボさん
プロテスタント人文・社会科学大学 2021年7月まで本学滞在予定
日本語集中授業、オンラインツアー(広島、瞑想、沖縄)、国際合同コンフェレンスに参加
——テンボさんは昨年度実施した3つすべてのオンラインツアーに参加してくださいましたね。特にテンボさんにとって瞑想オンラインツアーが印象的だったのではないかと感じています。母校の平和構築に関する授業で、瞑想がトラウマのケアに有効ということを勉強し、瞑想オンラインツアーに参加したいと思ったことを以前お聞きしましたが、瞑想オンラインツアーはいかがでしたか?
僧侶の方との瞑想は初めてでしたが、瞑想状態への入り方や、ひとりで瞑想をするのに丁度よい時間の長さについて学べました。瞑想は、ストレス、不安、睡眠不足、鬱などの様々な精神的問題のケアに利用できそうです。例えば私の場合、瞑想中は一つのことに考えを集中し、終わった後はリフレッシュして心の安らぎを実感できました。平和と紛争について学ぶ学生として、平和構築研究という文脈においても、トラウマのケアに利用できるという意味でも、瞑想がとても重要な面を持つことが分かりました。新型コロナウイルスのパンデミックが終わったときに、僧侶の方との瞑想を実体験できるチャンスがあったらいいなと思います。
——その機会が楽しみですね。テンボさんは国際合同コンフェレンスにも参加してくださいましたね。
TUFSとアフリカ協定校とのパートナーシップ促進を目的として交換留学の未来を考える場に参加できてとても嬉しかったです。展開力アフリカのオンラインツアーや国際合同コンフェレンスを通じて、TUFSがアフリカの大学とのつながりや協力関係作りに熱心に取り組んでいることが分かりました。大学間のパートナーシップは、学生に、文化的に多様なコミュニティから学ぶ機会を提供してくれます。そして、私たち学生同士の交流や、それを通じた知識の共有を促し、コミュニケーションのスキルを向上させ、さらには私たち学生が抱きがちなステレオタイプの考え方を緩和してくれると思います。
——テンボさんには昨年度に実施したすべてのオンライン・プログラムにご参加いただきました。ご感想を教えてください。
まず、展開力アフリカの最初の受益者になれたことを光栄に思います。このプログラムのおかげで、オンラインツアーやアフリカの大学との国際合同コンフェレンスに参加することができました。このプログラムを通じて多くのことを学びました。例えば日本語の授業では、自己紹介の仕方、道の尋ね方、食事の注文の仕方、そして医者に病状を説明する方法について初めて学び、練習することができました。そして何よりも、厳しいこのコロナ禍にも関わらず、オンライン・プログラムのおかげでいろいろな人と交流する機会が増え、アフリカと日本の両方にたくさんの友達ができました。
——そう言ってもらえるとありがたいです。最後に本学の学生さんへのメッセージをお願いします。
留学生の友達作り、異文化交流、コミュニケーション能力や語学力のブラッシュアップ、海外 (アフリカ) を対象とした研究に興味を持っている方は、TUFSで新しく始まった展開力アフリカが企画するすべてのプログラムにぜひ参加してもらいたいです。いろんな体験ができますよ。まず、プログラム参加者の出身国はさまざまなので、国境を越えた友達がたくさんできます。次に、異なる文化を持つ学生たちと学び、交流することで、多様性についての知識を深めることができます。さらに、英語、フランス語、日本語などを母語とする人との新たな出会いと交流を通じてそれらの言語について学び、練習し、語学力を向上させて自信をつけることができます。そして最後に強調したいのは、自分の研究テーマや関心のある地域 (アフリカ) によっては、自分の研究を手助けしてくれる留学生との関係を築けることです。自分の興味がある地域(アフリカ)出身の友達とディスカッションをするだけで、一冊の本を読むよりも簡単に、自分の興味のあるトピックの基礎的な知識を得ることができるはずです。ですので、ぜひ展開力アフリカが企画するいろんなプログラムに参加して、学びの機会を逃さないようにしてください。
岩本早耶香さん
国際社会学部東南アジア地域/フィリピン語4年
日本語集中授業、沖縄オンラインツアーに参加
——岩本さんは日本語集中授業の初級・中級の全6回にすべてご参加くださいました。まずは日本語集中授業のご感想を教えてください。
冬学期で自宅にいた期間だったということもあり、留学生と交流できる貴重な機会で、楽しかったです!私は自宅が大学から遠いので、オンラインの方が気軽に参加できました。またこのような機会があれば是非参加したいです。
——今回Zoomのブレイクアウトセッションを利用して受講生と1対1、あるいは1対2で話す時間を長くとりましたが、いかがでしたか?
ブレイクアウトセッションでは少人数で交流でき、ひとりひとりのことをよく知れたので良かったと思います。留学生が積極的に日本語を使って質問してくれたのが嬉しかったです。またお互い意志疎通が難しいときは英語や文字を用いるなどでき、大きな困難はありませんでした。定型文のやりとりも自由会話もバランスよくできて良かったです。留学生と交流できて貴重な機会だったと思います。加えて英語の勉強にもなったかなと思います。
——回を重ねるごとに受講生との交流が深まり、会話の内容に広がりが出ていることを感じていました。岩本さんは沖縄オンラインツアーにもご参加くださいましたね。
沖縄オンラインツアーでは沖縄の戦争について学び考えることができました。戦争が、現在にも深い爪痕を残していることを改めて感じました。オンラインツアーは初めてだったので新鮮で面白かったです。内容が少し重いものだったなというのもまた感想です。オンラインツアーと聞くと楽しい響きがあるので、もう少し楽しい内容やアクティビティ(思い付くのでは、民謡を聞いたり伝統的なお菓子の工場見学をする等)があると、多様な沖縄を知ることができると思いました。
——ご感想とご提案をありがとうございます!いただいたご意見を踏まえながら、今年度のプログラムも考えていきたいと思います。最後に在校生へのメッセージをお願いします。
私は本プログラムをゼミの先生からの紹介で知り、興味を持ったので参加しました。コロナ禍でも自宅にいながら留学生と交流をもてること、留学生の日本での学習の役に立てることが魅力だと思います。この記事を通してひとりでも多くの東京外大生にプログラムに興味を持ってもらえたら私も嬉しいです。
また、オンラインで関わりを持った留学生の皆さんといつかキャンパスで実際に会いたいです!
萩原さきさん
国際社会学部アフリカ地域 2021年3月卒業
オンラインツアーのワーキンググループ(以下、WG)に参加
——WGのメンバーとして関わって、楽しかったこと、面白かったことを教えてください。
WGに参加して一番良かったと思ったのは、広島ツアーで被爆者の方のお話を聞いた後の、留学生の反応を見たり、聞いたりしたときです。最初は、広島という大きな、重いテーマについて取り扱うことで、留学生がどう感じるか不安でした。ですがツアーの後、実際に紛争を経験したことのある留学生から「今まで話したくないと思っていた自分の経験を、これから少しずつ伝えていきたいと思った」という言葉を聞き、このようなツアーを開催することの意義を感じることができました。また、ミーティングでたくさん話し合い、より良いツアーにするためにWGでアイデアを出し合ったことも、とても楽しかったです。一つのイベントを作り上げるときの話し合いが好きなので、WGが少人数だったことで意見も言いやすく、積極的にこのイベントに携わることができました。また留学生とともに、戦争というテーマに関して真剣に議論をすることができたので、とても貴重な経験となり、新たな考え方をたくさん学ぶことができました。
——WGとして関わって大変だったことはありますか?
ある留学生の、沖縄ツアー後の言葉に、心が少し重くなりました。広島と沖縄ツアーの両方に参加してくれた彼からは「広島では大丈夫だったけれど、沖縄では辛い気持ちになった」という意見をもらいました。WGとしては、日本で起こった出来事について知ってもらいたい、という共通の思いを持ってどちらのツアーも開催しましたが、同じようなテーマを持つオンラインツアーでも、内容によっては、ツアー参加者の感じ方に差ができてしまうのだと痛感しました。その差が生まれてしまう原因についてしっかり見つめ直し、どのようにメッセージを届けることが最適なのかを考えなければ、同じようなことを繰り返してしまうと思いました。そのため、沖縄ツアーと広島ツアーの、良かった点、改善点、それぞれの特徴など、具体的に話し合える時間を作ることが必要だと感じました。(自分が学生で今年度も在学していれば、ぜひ春学期中にやりたかったくらいです。)
——最後にご感想と在学生へのメッセージをお願いします!
大学4年生の最後に、WGの一員として活動することができ、とても良い思い出になりました。広島ツアー、沖縄ツアーが開催されるまで、複数回のミーティングがあり、WGのメンバーと交流をすることもできて、とても楽しい時間を過ごすことができました。ぜひ、このツアーが今年度以降も続いて、東京外大の恒例行事になれば嬉しいです。いろいろな学びや気づきを得ることができると思うので、皆さん、ぜひ参加してみてください!
豊坂竹寿さん
総合国際学研究科世界言語社会専攻 博士前期課程2年
日本語集中授業、オンラインツアーのワーキンググループ(以下、WG)に参加
——WGのメンバーとして関わって、楽しかったこと、面白かったことを教えてください。
様々なバックグラウンドの参加者と、日本について学ぶことができ、とても面白いと感じました。特に沖縄のツアーでは、日本では沖縄戦や基地問題について知らない人のほうが少ないと思いますが、留学生の中には初めて知ったという人も多く、興味深いなと感じました。一方で平和構築を勉強している留学生は、日本人よりも広島や沖縄について知識を持っていて驚きました。
——WGとして関わって大変だったことはありますか?
オンラインツアーということで、なかなか臨場感が出にくく、どうしても受け身の学びになってしまうことが課題だと感じました。しかし、クイズや瞑想の体験、グループワークなど、ツアー主催者の方々が工夫してくださったところでは、みな積極的に参加することができました。コロナ禍が続く中で、今後もオンラインの企画は続いていくと思いますので、この状況を逆手にとった有意義な学びの場を作っていくことができればと思います。
——最後にご感想と在学生へのメッセージをお願いします!
コロナ禍でなかなか国際交流の機会がないなか、貴重な場だと思います。議論が好きな方、国際交流をしてみたい方、英語を使いたい方、是非今後の企画にも参加してみてください!
内村駿太郎さんのコメント
国際社会学部アフリカ地域 2021年3月卒業
日本語集中授業、オンラインツアーのワーキンググループ(以下、WG)に参加
大学卒業を目前にして、日本語学習とWGに参加しました。留学生が広島や沖縄での戦争をどのように捉えているのか興味があったからです。留学生の視点は自身が経験した紛争や難民生活に基づいており、驚きと共に、自分の中の当たり前を覆してくれました。そのため、特に戦争などセンシティブなテーマでは配慮が必要ですが、このような想像力を含めて、学ぶことが多くありました。
大学には多くの留学生がいますが、実際に彼らと日常レベルで交流するためには、自分から働きかける必要があると思います。日本語学習を手伝うのも、WGに参加するのもその一つの方法です。私は、今回のオンラインでのイベントでも、その後対面で会って連絡を取り合うことができました。留学生との出会いこそが、卒業後の進路にも繋がっています。
在学生の皆さんには、卒業生が羨むチャンスを是非掴んでいただきたいです。応援しています!
展開力アフリカに関わる教員からのコメント
実渡航の派遣・受入とオンライン・プログラムを実施していく展開力アフリカについて、本事業に関わる教員から学生に向けたコメントを掲載します。
武内進一教授
アフリカでは、自分で考え、行動することを強いられます。日本のように様々な制度や設備が整っているわけではないからです。でも、心配しないで。困っていれば、必ずや、あなたを助けてくれる人に巡り合います。アフリカへの留学は、自分で道を切り拓く力を身につけるとともに、他者への信頼も実感できる貴重な機会です。きっとあなたの人生を変えることでしょう。
坂井真紀子准教授
展開力アフリカは、敷居の高かったアフリカへの派遣留学とアフリカ留学生の受け入れの相互の交流をさまざまな形でバックアップする事業です。アフリカほど多様かつ広大、既存の価値観を揺さぶってくれる場所はなかなかありません。本事業が提供するアフリカ各国の大学とつなぐオンライン授業や留学生との交流プログラムを通して、まずはアフリカを体験してみませんか?アフリカは行ってみたい。でも「遠い場所」というイメージがきっと変わりますよ。
大石高典准教授
これまで20年近くカメルーン、コンゴ共和国の2ヶ国で調査研究をしてきましたが、東京外大に赴任以来、アフリカの大学との留学交流を通じて、学生さんを通じて見るアフリカからも多くを学んできました。アフリカ留学では学生たちはしばしばキャンパスを飛び出し、インターンやボランティアはもちろん、弟子入りや起業に挑戦するなど様々な「脱線」をして世界を広げています。今後、本プログラムの参加者から、道なき道を開拓するどんな生き方が出てくるのか楽しみにしています。
もっと展開力アフリカを知りたい方へ
昨年度の展開力アフリカのオンライン・プログラムの詳しい活動報告を含め、概要等は下記の公式HPに掲載しています。今年度以降実施するプログラムについても随時お知らせしていく予定です。ぜひご覧ください!
http://www.tufs.ac.jp/iafp/
展開力アフリカ、アフリカへの留学、オンライン・プログラム、アフリカに関する質問やご相談などありましたら、いつでもご連絡をお待ちしています。
大学の世界展開力強化事業(アフリカ)オフィス
研究講義棟401E3
連絡先:tenkai-africa-coordinator(at)tufs.ac.jp
※ (at) は @ に置き換えて下さい。