Campus Art at TUFS
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東京外国語大学のキャンパスのなかには、多くのアート作品が飾られています。これらは、2000年のキャンパス移転に際し、「快適で希望や誇りを与えてくれる学びの舎を」との思いから、整備されました。これには、当時の東京芸術大学澄川学長らのご協力があり、また本学卒業生のアーティストの方々にも参加いただきました。今回のTUFS Todayでは、その作品を一つ一つ、ご紹介します。なお、コメントは、アーティストの方々から作品提供当時にいただいたもので、『東京外国語大学府中新キャンパス 2000.9.27 オープニング・セレモニー』と題する冊子から転用するものです。
翔
製作: 澄川 喜一
略歴:1931年生まれ。1956年 東京芸術大学彫刻科卒業。1995年~2001年 東京芸術大学学長。彫刻家。
コメント:Foreign Studies のFを象形化し、力強く飛翔することをイメージした彫刻。御影石の割り肌の力強さを残しながら、研磨したシャープな形を対比させ、未来を志向する彫刻作品です。Fの形を翼のかたちにデフォルメし、新キャンパスの広場の環境に最も適する造形となるよう留意しています。
Scarab Island Meditation
製作:Lita Albuquerque
略歴:1946年カルフォルニア生まれ。
説明:スカラベの瞑想から生まれた宇宙や海、島々のイメージと潜在意識を表現した作品です。使用された作品内の26カ国の言葉は、東京外国語大学で履修できる26言語(当時)としており、背後の深青色の壁パネルにガラスに刻まれた様々な言葉が影を落とし、その透明感と奥行きが生み出す陰影は、さらに生命の神秘の表現を象徴的にしています。
ことばの海
製作:五十嵐 威暢
略歴:1944年生まれ。1968年多摩美術大学卒業。カルフォルニア大学ロサンゼルス校客員教授、多摩美術大学教授。
コメント:性格も表情も異なる数種類の木を削り、一部彩色し積層して「言葉の海」を作りました。時を経て2000本あまりの木は色味を増し、その性格を主張しながらエントランスの壁の中で「共存」を目指します。水平に構成された画面は複雑なディテールを宿しながら、全体として「世界」を平和で穏やかな「調和」として捉え表現しています。
青の砂漠・赤の砂漠
製作:本田 孝一
略歴:1946年生まれ。東京外国語大学アラビア語学科卒業。アラビア語書道芸術家。
コメント:「青の砂漠」「赤の砂漠」はペアともいえる作品です。私はかつてアラビア半島の砂漠で調査の仕事に従事したことがあります。その時の砂漠の風光の美しさは今でも脳裏に焼き付いて離れません。その自然の機微をアラビア書道作品の中で表現しようと思いました。書いた言葉は『コーラン』の章句。その中にはすべて自然は神を賛美していると書かれています。
わ・話・輪・和
製作:井上 博史
略歴:1937年生まれ。東京外国語大学イタリア語学科中退。ステンドグラスおよびモザイク芸術作家。
コメント:このモザイクは、曲線、直線、平坦な色面の要素を組み合わせています。流れ、その断面、衝突、流れの復活をグラデーションを使いながら、全体を調和させる、という純粋に造形的な面白さを考えて出発しました。作り手の自由な発想とともに、環境への効果、意味づけ、調和も必要です。タブローとは違うところです。ときには近づき、個々のピースの輝き、変化を確かめ愉しんでください。
結び
世界の花
製作:北村 温子
略歴:1942年生まれ。1983年女子美術大学卒。(株)オパを設立し、活動。
コメント:2000年2月2日は、私の壁画制作活動の20周年。名誉ある建造物に2作品を発表できて光栄です。(図書館にある)「結び」は、愛と平和が人との交流で結ばれることを、日本の四季の折々にこめ、世界で唯一の象眼七宝焼技法で表現しています。(回廊をかざる)「世界の花」は、東京外国語大学が交流している44か国(当時)のうち、40か国の国花やそれに準じる花を製作したものです。
CORE
製作:望月 雅生
略歴:1948年生まれ。1980年、ローマ国立アカデミー卒業。彫刻家。
コメント:我々人間の身体は祖先から受けつがれ、新しく生まれ変わりながら長い進化の旅を続けてきた。同様に、社会もまた、誕生と消滅を繰り返しながら進歩と進化の歴史を歩んできた。そうした、目に見えないときの流れを形にしたのが、CORE である。金色のCOREを中心に層を重ね広がるコラムは、膨大な時の流れを象徴し、外へと発展しつづける大学の文化を象徴した。球体は、1階から2階へと連続しており、コラム下半分は1階、上半分は2階で見られる連続性のある作品とした。
浮女
製作:伊藤 高麗子(東京芸術大学工芸科平成11年卒業)
木もれ日
製作:吉川 道子
略歴:1944年生まれ。女子美術短期大学卒。造形美術家。
コメント:高原の四季の移り変わりは、それぞれに心を止めてしまいます。若い緑が芽吹始め、静かな山の中では、冬の間、厚い氷もわれてぶつかりあう済んだ音を響かせて春を迎え、夏は、高い木々をとおして明るい光がさし、落ち葉、冬は銀世界の広がる自然界の情景と、日本は、いつの季節も、光と風を運んでくれるように感じます。